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第24話 園遊会の罠、魔力の暴力
そして一週間後。
運命の「春の園遊会」が開催された。
会場となる王宮の庭園には、色とりどりの花が咲き誇り、着飾った貴族たちが談笑している。
しかし、私とディルク様が現れた瞬間、その空気はピンと張り詰めたものに変わった。
「……見ろ、あれが噂の」
「魔力なしの女狐か……」
「陛下をたぶらかした魔女め」
扇子の裏から、無遠慮な視線と囁き声が突き刺さる。
今日の私は、ディルク様特注の深紅のドレスを纏っている。
露出は控えめだが、その分、体のラインが艶めかしく強調され、彼の「独占欲」が服を着て歩いているような格好だ。
「気にするな、リリアナ。……虫の羽音だ」
ディルク様は私の腰を抱き寄せ、周囲を威圧するように睨みつけた。
彼の腕の中にいれば、どんな悪意も届かない気がする。
けれど、今日ここに来たのは「守られるため」だけじゃない。私が彼の妻としてふさわしいと、証明するためだ。
「陛下! お待ちしておりました!」
人の波を割って現れたのは、宰相ベルンシュタイン公爵と、その娘エリーゼ嬢だった。
エリーゼ嬢は、まるで自分こそが主役だと言わんばかりの、金糸をふんだんに使った豪華なドレスを着ている。
「本日は、陛下とリリアナ嬢のために、特別な『余興』を用意いたしました」
公爵がニヤリと笑い、手を叩いた。
すると、会場の中央に巨大な魔法陣が描かれた台座が運ばれてきた。
「帝国では古来より、皇后となる者は、その強大な魔力で皇帝陛下に『守護の祝福』を捧げる習わしがございます」
公爵は、勝ち誇ったように私を見た。
「エリーゼ。陛下に、お前の愛と魔力を捧げるのだ」
「はい、お父様」
エリーゼ嬢が優雅に進み出る。
彼女が杖を振ると、魔法陣が眩い光を放ち始めた。
「陛下。私の『聖なる光』で、陛下の忌まわしき呪いを少しでも浄化して差し上げますわ!」
彼女が高らかに詠唱すると、キラキラとした光の粒子が渦を巻き、ディルク様に向かって殺到した。
それは客観的に見れば、幻想的で美しい光景だった。
会場の貴族たちからも、「おおっ!」「なんと神々しい……!」と感嘆の声が上がる。
しかし。
「……ぐっ!?」
ディルク様が、苦悶の声を漏らした。
彼の顔色が青ざめ、額に脂汗が浮かぶ。
「ディルク様!?」
「……チッ、臭い……。吐き気がする……」
彼は口元を押さえ、よろめいた。
エリーゼ嬢の放つ「聖なる光」が、ディルク様の「死の呪い」と反発し合い、彼にとっては猛毒ガスを浴びせられているような苦痛を与えていたのだ。
彼の体から、防御反応としての黒い瘴気がバチバチと溢れ出し始める。
このままでは暴走してしまう!
「あ、あら? 陛下、いかがなさいましたの? こんなに素晴らしい魔法ですのに!」
エリーゼ嬢は気づかない。自分の「善意」が彼を傷つけていることに気づかず、さらに魔力を強めようとしている。
周囲の貴族たちも、「陛下が感動で震えておられる!」などと勘違いしている。
(……許せない)
私の大切な人を、自分勝手な理屈で苦しめるなんて。
私は迷わず、ディルク様の前に飛び出した。
「やめてください! ディルク様が苦しんでいます!」
「はぁ? 何をおっしゃいますの。これは高位の浄化魔法ですわよ? 無能な貴女には理解できませんの?」
エリーゼ嬢は杖を下ろそうとしない。
ディルク様の瘴気が膨れ上がり、周囲の空気がピリピリと震えだす。
爆発まで、あと数秒。
(私が……止めなきゃ!)
私はドレスの裾を翻し、エリーゼ嬢とディルク様の間に割って入った。
そして、彼に向かって降り注ぐ「光の粒子」を、真正面から体で受け止めた。
「リリアナッ!?」
ディルク様の叫び声。
光が私の体に直撃する。
普通なら弾き飛ばされるか、魔力酔いで倒れるほどの奔流。
――シュゥゥゥ……。
けれど、光は私に触れた瞬間、吸い込まれるように消滅した。
熱くも、痛くもない。
私の体――『虚無の器』が、エリーゼ嬢の魔力をただのエネルギーとして飲み込み、無効化したのだ。
「な……っ!?」
エリーゼ嬢が目を見開く。
会場が静まり返った。
あんなに派手だった魔法の渦が、私の一歩で、跡形もなく消え失せていたからだ。
「……私の魔法が、消された? 馬鹿な、貴女は魔力がないはず……!」
「ええ、ありません。だからこそ、邪魔なものを消すことができるんです」
私は毅然と言い放ち、苦しむディルク様の方へ振り返った。
彼の周囲には、まだ暴走しかけた黒い瘴気が漂っている。
「ディルク様、失礼します」
私は衆人環視の中、彼に歩み寄り――その両頬を、両手で優しく挟み込んだ。
「……ん、ぁ……」
私の手が触れた場所から、黒い瘴気がスーッと引いていく。
彼の乱れた呼吸が整い、苦痛に歪んでいた表情が、安らぎへと変わっていく。
「……ああ、楽になった。……毒気が抜けていく」
彼は私の手首を掴み、すがるようにその掌にキスをした。
「やはり、俺を救えるのはお前だけだ。……あの女の魔法は、俺にとっては汚物でしかない」
「はい。私が全部、消しましたから」
私は彼を見つめ、微笑んだ。
そして、凍りつく会場に向かって、はっきりと宣言した。
「ベルンシュタイン公爵、そして皆様。……ご覧いただけましたか?」
私はディルク様を背に庇うように立ち、凛とした声で告げた。
「貴方たちの自慢の魔法は、彼を傷つける刃でしかありません。……この国で唯一、彼の痛みを消し、その御身を守れる『盾』となれるのは――魔力を持たない私だけです」
「な、生意気な……!」
公爵が顔を真っ赤にして震えている。
しかし、誰も反論できなかった。
最強の皇帝が、私の腕の中でだけ安らかな顔をしているという「事実」を、見せつけられてしまったのだから。
「……勝負あり、だな」
回復したディルク様が、冷ややかな瞳でエリーゼ嬢を見下ろした。
「エリーゼと言ったか。……貴様の魔法は不快だった。二度と俺の前で杖を振るな」
「そ、そんな……陛下……」
エリーゼ嬢がその場に崩れ落ちる。
ざまぁみろ、とは言わない。
ただ、格の違いを見せつけられた彼女のプライドは、ズタズタに引き裂かれたはずだ。
「行くぞ、リリアナ。空気が悪い」
ディルク様は私を横抱きに抱え上げると、呆然とする貴族たちを尻目に、颯爽と歩き出した。
「褒めてやる。……よく俺を守ったな、俺の可愛い騎士様」
耳元で囁かれた甘い言葉に、私は今日一番の赤面を捧げることになった。
運命の「春の園遊会」が開催された。
会場となる王宮の庭園には、色とりどりの花が咲き誇り、着飾った貴族たちが談笑している。
しかし、私とディルク様が現れた瞬間、その空気はピンと張り詰めたものに変わった。
「……見ろ、あれが噂の」
「魔力なしの女狐か……」
「陛下をたぶらかした魔女め」
扇子の裏から、無遠慮な視線と囁き声が突き刺さる。
今日の私は、ディルク様特注の深紅のドレスを纏っている。
露出は控えめだが、その分、体のラインが艶めかしく強調され、彼の「独占欲」が服を着て歩いているような格好だ。
「気にするな、リリアナ。……虫の羽音だ」
ディルク様は私の腰を抱き寄せ、周囲を威圧するように睨みつけた。
彼の腕の中にいれば、どんな悪意も届かない気がする。
けれど、今日ここに来たのは「守られるため」だけじゃない。私が彼の妻としてふさわしいと、証明するためだ。
「陛下! お待ちしておりました!」
人の波を割って現れたのは、宰相ベルンシュタイン公爵と、その娘エリーゼ嬢だった。
エリーゼ嬢は、まるで自分こそが主役だと言わんばかりの、金糸をふんだんに使った豪華なドレスを着ている。
「本日は、陛下とリリアナ嬢のために、特別な『余興』を用意いたしました」
公爵がニヤリと笑い、手を叩いた。
すると、会場の中央に巨大な魔法陣が描かれた台座が運ばれてきた。
「帝国では古来より、皇后となる者は、その強大な魔力で皇帝陛下に『守護の祝福』を捧げる習わしがございます」
公爵は、勝ち誇ったように私を見た。
「エリーゼ。陛下に、お前の愛と魔力を捧げるのだ」
「はい、お父様」
エリーゼ嬢が優雅に進み出る。
彼女が杖を振ると、魔法陣が眩い光を放ち始めた。
「陛下。私の『聖なる光』で、陛下の忌まわしき呪いを少しでも浄化して差し上げますわ!」
彼女が高らかに詠唱すると、キラキラとした光の粒子が渦を巻き、ディルク様に向かって殺到した。
それは客観的に見れば、幻想的で美しい光景だった。
会場の貴族たちからも、「おおっ!」「なんと神々しい……!」と感嘆の声が上がる。
しかし。
「……ぐっ!?」
ディルク様が、苦悶の声を漏らした。
彼の顔色が青ざめ、額に脂汗が浮かぶ。
「ディルク様!?」
「……チッ、臭い……。吐き気がする……」
彼は口元を押さえ、よろめいた。
エリーゼ嬢の放つ「聖なる光」が、ディルク様の「死の呪い」と反発し合い、彼にとっては猛毒ガスを浴びせられているような苦痛を与えていたのだ。
彼の体から、防御反応としての黒い瘴気がバチバチと溢れ出し始める。
このままでは暴走してしまう!
「あ、あら? 陛下、いかがなさいましたの? こんなに素晴らしい魔法ですのに!」
エリーゼ嬢は気づかない。自分の「善意」が彼を傷つけていることに気づかず、さらに魔力を強めようとしている。
周囲の貴族たちも、「陛下が感動で震えておられる!」などと勘違いしている。
(……許せない)
私の大切な人を、自分勝手な理屈で苦しめるなんて。
私は迷わず、ディルク様の前に飛び出した。
「やめてください! ディルク様が苦しんでいます!」
「はぁ? 何をおっしゃいますの。これは高位の浄化魔法ですわよ? 無能な貴女には理解できませんの?」
エリーゼ嬢は杖を下ろそうとしない。
ディルク様の瘴気が膨れ上がり、周囲の空気がピリピリと震えだす。
爆発まで、あと数秒。
(私が……止めなきゃ!)
私はドレスの裾を翻し、エリーゼ嬢とディルク様の間に割って入った。
そして、彼に向かって降り注ぐ「光の粒子」を、真正面から体で受け止めた。
「リリアナッ!?」
ディルク様の叫び声。
光が私の体に直撃する。
普通なら弾き飛ばされるか、魔力酔いで倒れるほどの奔流。
――シュゥゥゥ……。
けれど、光は私に触れた瞬間、吸い込まれるように消滅した。
熱くも、痛くもない。
私の体――『虚無の器』が、エリーゼ嬢の魔力をただのエネルギーとして飲み込み、無効化したのだ。
「な……っ!?」
エリーゼ嬢が目を見開く。
会場が静まり返った。
あんなに派手だった魔法の渦が、私の一歩で、跡形もなく消え失せていたからだ。
「……私の魔法が、消された? 馬鹿な、貴女は魔力がないはず……!」
「ええ、ありません。だからこそ、邪魔なものを消すことができるんです」
私は毅然と言い放ち、苦しむディルク様の方へ振り返った。
彼の周囲には、まだ暴走しかけた黒い瘴気が漂っている。
「ディルク様、失礼します」
私は衆人環視の中、彼に歩み寄り――その両頬を、両手で優しく挟み込んだ。
「……ん、ぁ……」
私の手が触れた場所から、黒い瘴気がスーッと引いていく。
彼の乱れた呼吸が整い、苦痛に歪んでいた表情が、安らぎへと変わっていく。
「……ああ、楽になった。……毒気が抜けていく」
彼は私の手首を掴み、すがるようにその掌にキスをした。
「やはり、俺を救えるのはお前だけだ。……あの女の魔法は、俺にとっては汚物でしかない」
「はい。私が全部、消しましたから」
私は彼を見つめ、微笑んだ。
そして、凍りつく会場に向かって、はっきりと宣言した。
「ベルンシュタイン公爵、そして皆様。……ご覧いただけましたか?」
私はディルク様を背に庇うように立ち、凛とした声で告げた。
「貴方たちの自慢の魔法は、彼を傷つける刃でしかありません。……この国で唯一、彼の痛みを消し、その御身を守れる『盾』となれるのは――魔力を持たない私だけです」
「な、生意気な……!」
公爵が顔を真っ赤にして震えている。
しかし、誰も反論できなかった。
最強の皇帝が、私の腕の中でだけ安らかな顔をしているという「事実」を、見せつけられてしまったのだから。
「……勝負あり、だな」
回復したディルク様が、冷ややかな瞳でエリーゼ嬢を見下ろした。
「エリーゼと言ったか。……貴様の魔法は不快だった。二度と俺の前で杖を振るな」
「そ、そんな……陛下……」
エリーゼ嬢がその場に崩れ落ちる。
ざまぁみろ、とは言わない。
ただ、格の違いを見せつけられた彼女のプライドは、ズタズタに引き裂かれたはずだ。
「行くぞ、リリアナ。空気が悪い」
ディルク様は私を横抱きに抱え上げると、呆然とする貴族たちを尻目に、颯爽と歩き出した。
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