『パンツの色』を視るだけで最強になった俺、聖女様の『白』で無敵の守護騎士と崇められる ~七色のヒロインに挟まれて理性が限界突破~

白山 乃愛

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第1章

第2話 青き参謀の分析と、聖女様の「距離感」は守備力ゼロ

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「……邪魔だ。物理的に邪魔すぎる」

翌朝。通学路を歩く俺、色島カナタの前には、巨大な障害物があった。
それは、電柱でもなければ、バリケードでもない。

俺の頭上から、少し斜め前方に突き刺さっている、直径50センチはある巨大なピンク色の光の矢印だ。

《視覚情報解析:【好意の矢印(ビッグ・ラブ・アロー)】》
《発信源:真白セイラ》
《属性:【依存】・【崇拝】・【重力異常】》

「昨日、セイラ会長に『白馬の騎士』認定されてからこれだ……。歩くたびに前髪に当たって鬱陶しいんだよ!」

俺が手で払おうとすると、矢印は「ボヨヨン」とゴムまりのような弾力で跳ね返ってきた。
硬いのか柔らかいのか分からないが、とにかく主張が激しい。
すれ違う生徒たちは「何あれ……」「カナタの周りだけ空間が歪んでない?」と遠巻きにヒソヒソ話している。

「よう、英雄。朝から『愛』が重そうだな」

不意に背後から声をかけられた。
振り返ると、瓶底眼鏡をかけた秀才風の男――幼馴染の西園寺(さいおんじ)レオが、ニヤニヤしながら立っていた。

「レオか。……見てくれよこれ。どうすれば消えるんだ?」

「無理だね。僕の計算によれば、その矢印の質量は、彼女の『想いの重さ』に比例している。……つまり、今の彼女にとって君は、地球の重力よりも重要な存在ということさ」

レオが眼鏡をクイッと押し上げる。
こいつは学年トップの成績を誇る天才だが、その実態は、俺の『煩悩眼』の秘密を知る唯一の協力者であり、重度の変態データマニアだ。

「それよりカナタ。昨日の『白』のデータ、取れているか?」

レオが小脇に抱えたノートパソコンを開く。

「昨日の君の出力係数は、通常時の53万倍だ。……セイラ会長の『純白(スノー・ホワイト)』は、防御力特化。白は『無垢』であり『拒絶』の象徴だが、君はその拒絶を『守りたい(=見続けたい)』という欲望で突破し、エネルギーに変えた」

「大声で分析するな。変態だと思われるだろ」

「安心してくれ。僕の今日のパンツは『青(冷静)』だ。……しかも、通気性とホールド感を極めた、最高級シルクのブリーフだ。いざとなれば、この知性(パンツ)で論破できる」

「ブリーフで論破できるわけないだろ!」

俺たちがそんな不毛な会話をしていると、校門付近が急に騒がしくなった。

「キャー! セイラ様よ!」
「今日も素敵……!」

モーゼの十戒のごとく、生徒の波が割れる。
その中央を、朝陽を背負って歩いてくる一人の少女。
真白セイラ会長だ。

銀髪がサラサラと流れ、宝石のような碧眼がキラキラと輝いている。
だが、俺には見えていた。
彼女の頭上から伸びるピンク色の巨大な矢印が、衛星軌道レーザーのように俺の脳天をロックオンしているのを。

「……見つけました」

セイラ会長は俺の目の前で立ち止まり、慈愛に満ちた(そして少し圧のある)微笑みを向けた。
その距離、わずか30センチ。
パーソナルスペースという概念が死んでいる。

「おはようございます、カナタくん。……お迎えに上がりました」

「えっ? む、迎え?」

「はい。昨日、貴方を私の『専属守護騎士(ナイト)』に任命しましたよね? ……さあ、生徒会室へ行きましょう。貴方の『白』と、私の『白』を……深く、深く交じり合わせるために」

校門付近が静まり返った。
「深く交じり合わせる」というワードの破壊力が高すぎる。

「ちょ、会長! 誤解を招く言い方は……!」

「拒否権はありません」

セイラ会長は俺の腕をガシッと掴んだ。
華奢な見た目からは想像できない握力。
昨日の「白(防御)」エネルギーが、今は「拘束力」として作用しているらしい。
俺の二の腕に、彼女の豊満な果実がムニュリと押し付けられる。

「ひゃっ!?」

「連行します」

「うわぁぁぁ!? レオ、助けろ!」

俺は親友に助けを求めた。
だが、レオは冷静に眼鏡を押し上げ、親指を立てた。

「行きたまえ、友よ。……これは君の『白』への耐性テストだ。データは後で送ってくれ」

「この裏切り者ォォォ!」

俺はズルズルと引きずられ、ドナドナのように校舎へと連れ去られた。

          

連行された先は、学園最上階にある生徒会室だった。
そこは教室3つ分ほどの広さがあり、アンティーク調の家具が並ぶ、貴族のサロンのような空間だった。

「さあ、座ってください」

セイラ会長に促され、俺は高級そうな革張りのソファに座らされた。
彼女は俺の対面に座る……かと思いきや、なぜか俺の隣に、太ももが触れ合う距離で座ってきた。

「あ、あの……会長? 近くないですか?」

「そうですか? ……私たちは『魂の伴侶』なのですから、これくらい普通では?」

セイラ会長が首を傾げる。
その拍子に、彼女の銀髪が俺の頬をくすぐり、甘い花の香りが鼻孔を刺激する。
近い。
物理的距離もそうだが、精神的距離感がバグっている。

「単刀直入に聞きます、カナタくん。……貴方のその力、どこで手に入れたのですか?」

彼女の瞳が真剣な色を帯びる。

「Fランクの貴方が、Sランクの私と同等の『白』のオーラを出した。……あれは、ただの怪力ではありません。もっと高貴で、神聖な……」

(いや、ただのパンツへの執着心です)

真実を言えば殺される。社会的に抹殺される。
俺は冷や汗を流しながら、師匠の言葉を思い出した。
『困ったときは、哲学的なことを言って煙に巻け』

「……それは、俺の中に眠る『守りたい』という意志が、形になっただけです」

「意志……!」

セイラ会長が感動したように息を呑んだ。
その瞳が潤み、頬がバラ色に染まる。

「素晴らしい……! やはり貴方は、私と同じ種類の人間なのですね!」

彼女は俺の手を両手で包み込み、自分の胸元へと引き寄せた。

「この学園で、私はずっと孤独でした。……誰も彼もが、私の『Sランク』という力だけを見て、私自身を見てくれなかった」

彼女の手の温もりが伝わってくる。
そして、引き寄せられた俺の手の甲が、彼女の制服越しに、とんでもない弾力を捉えてしまった。

ムニュゥ……。

「っ!?」

「でも、貴方は違う。……私の危機に、誰よりも早く駆けつけ、私を守ってくれた。……貴方だけが、私の『盾』になってくれる」

セイラ会長の吐息が熱い。
感動的なシーンだ。
だが、俺の脳内システムは別の処理に追われていた。

《接触感知:右手上腕部》
《対象:聖女の双丘(ホーリー・マウンテン)》
《弾力解析:【SSランク】・【高反発】・【モチモチ】》
《警告:理性が崩壊寸前です》

(やばい! 柔らかすぎる! しかも会長、無防備すぎるだろ!)

彼女は「絶対防御」の能力者だ。
敵の攻撃は防ぐが、自分が心を許した相手への「物理的防御力」はゼロらしい。
むしろ、マイナスだ。俺の手を自分から押し付けてきている。

「カナタくん。……もっと、貴方のことを知りたい」

セイラ会長が身を乗り出す。
俺はソファの背もたれに追い詰められた。
彼女の顔が近づく。
整いすぎた美貌。吐息がかかる距離。

「ちょ、会長! 落ち着いて!」

「落ち着いています。……これは『魂の同期(シンクロ)』です。……目を閉じて」

彼女が目を閉じ、唇を寄せてくる。
これは……キス!?
いや、さすがに展開が早すぎる! まだ第2話だぞ!?
だが、このままでは俺の『煩悩眼』が、彼女のスカートの中身ではなく、別の「大人の階段」を登ってしまう!

その時。

カチャリ。

生徒会室の窓の鍵が開く音がした。

「――そこまでだ、聖女様。……僕の友人の貞操が危機に瀕しているようだが?」

「きゃっ!?」

セイラ会長が驚いて飛び退く。
窓枠に立っていたのは、青いブリーフ(推定)を履いた参謀、レオだった。
彼は3階の窓から、どうやって侵入したのか、平然とカーテンを開けて入ってきた。

「レオ!? お前、どこから……!」

「計算通りさ。……この部屋の空調ダクトの配置と、風速、そして君のピンチ係数から、突入時間を割り出した」

レオが埃を払いながら、セイラ会長に対峙する。

「貴様……何者です? ここが生徒会室だと分かっているのですか?」

セイラ会長が瞬時に「生徒会長」の顔に戻る。
全身から冷たい「白」の威圧感が放たれる。
空気が凍りつくほどのプレッシャー。
だが、レオは動じない。眼鏡をクイッと押し上げるだけだ。

「僕は西園寺レオ。……彼、色島カナタの『頭脳』を担当している男だ」

「頭脳?」

「ああ。カナタは肉体(と煩悩)担当。僕が作戦担当だ。……会長、君のその『密着戦術』は、彼には逆効果だよ」

レオが不敵に笑う。

「彼は『刺激』に弱い。……君のような高潔な存在が、不用意に肌を重ねれば……彼の『リミッター』が外れ、暴走する恐れがある」

「暴走……?」

セイラ会長が不安そうに俺を見る。

「そ、そうです。俺は……興奮すると、力が制御できなくなるんです!」

俺はレオの嘘(半分本当)に乗っかった。
鼻血で失血死するという意味での暴走だが。

「……なるほど。強大すぎる力ゆえの代償、ということですね」

セイラ会長が勝手に納得してくれた。
彼女の中で、俺は「強大な力を持ちながら、それを制御するために孤独に戦う戦士」という設定になったらしい。
ピンク色の矢印が、さらに太く、輝きを増した気がする。

「分かりました。……では、順序を守りましょう」

セイラ会長が立ち上がり、スカートの埃を払う。
その動作で、再びスカートがふわりと揺れた。

チラッ。

一瞬だけ見えた、聖域の入り口。
それだけで、俺の『煩悩眼』が反応する。

《チラリズム判定:成功》
《視認:純白の残像》
《ステータス上昇:【動体視力】+50》
《鼻血ゲージ:微増》

「カナタくん。……貴方には、まず『生徒会見習い』として、私の側にいてもらいます。……そしていつか、貴方の全てを私が受け止められるようになるまで……待ちます」

彼女は頬を染め、恥じらうように言った。
その姿は、先ほどの威圧感が嘘のように可愛らしい。

「ただし」

彼女の声が、再び低くなった。

「逃げることは許しませんよ? ……貴方はもう、私だけの『白』なのですから」

ズズズズズ……。
背後に重厚な防御壁(物理)が出現し、退路を断たれる。
ヤンデレの素質開花だ。

「……はい、喜んで」

俺は引きつった笑顔で答えるしかなかった。
隣でレオが「やれやれ、これからのデータ収集が楽しみだ」と、青い手帳に何かを書き込んでいた。

こうして俺は、正式に(強制的に)生徒会という名の魔境へと足を踏み入れることになった。
だが、俺たちはまだ知らなかった。
この生徒会には、白だけでなく、もっと危険な「色」を持つ猛者たちが潜んでいることを。

「……ふん。新しい男? 興味ないわね」

生徒会室の奥、闇に包まれた執務室から、鋭い視線が俺たちを狙っていたことに。

漆黒のオーラを纏った小悪魔が、その爪を研いでいた。
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