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第二章 1年生 1学期
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5月の終わりになって、リース会社から車が納車された。
スバル/フォレスターという中型のワゴン車だけど、ホワイトで車高が高い分、大きく見える。
週末を迎えて、土曜日の早朝に車を出す。
慣らし運転を兼ねて、別府まで行く事にした。
福岡都市高速から九州自動車道に入り、鳥栖で分岐して大分道を走る。
法定速度で走っていれば、何の不安も無い。
追い越し車線に出て加速しても、俺の意志に反応する十分な余裕があった。
何より気持ち良く走れるのは関東に比べて九州は車が少ない。2時間走って温泉に浸かり、また2時間かけて戻って来た。
全然疲れないし、むしろストレス解消になったくらいだ。
これからのカーライフが楽しみになった。
GW明けから正規の実習、講義の後に、実習室で自習の居残りをするようになった。
俺は製パン科のメンバーに混じって、強力粉と水を混ぜ合わせ、捏ねてグルテンを出す。
この手作業を通じて、感覚を体に覚えさせていく。
それには製パンの実習だけでは時間が足りない。
「香山さん、パン作りに夢中ですね」
「ああ、製パン科に入っておけば良かったと後悔してる」
俺と話しているのは、製パン科の江口花蓮だ。
高校の調理科から特待生で入学しており、パン作りにかける情熱も技術も他者を圧倒している。
俺が製パン科に混じって自習していたら、すぐに声を掛けてくれた。
童顔で丸い目が可愛いが、コックコートでも隠せないほど立派な胸を持っている。
「ベーカリーカフェを考えてるんですか?」
「カフェを一人で切り盛りするためには、作り置き出来る惣菜パンは選択肢の一つだ」
「プランが具体的ですね」
「大人は夢を見ないんだ。
実現可能なプランだけを追いかけてる」
ホイロ※から発酵が終わった生地を出して、切り分けて伸ばしたらバターロールに巻いていく。
もう一度、ホイロに戻して2次発酵が終わったらオーブンに入れて焼きあげる。
その時間を使って、ハンドドリップでコーヒーを淹れる。
これも実習の一つだ、丁寧に一杯ずつ仕上げていく。
同じ作業台のメンバーで、焼き上がったばかりのパンとコーヒーで味見の時間を楽しむ。
「香山さんのパン、巻きが強くて硬い仕上がりになってます」
「ちょっと、形にこだわりすぎたな」
失敗から学ぶ、これを経験する為に学校に来た。
「でも、このコーヒーは好きな味」
「俺が気に入ってる店の豆を持ってきた」
「どこの店ですか?」
「秘密だ」
「ずるい、私も連れていってください」
「カフェ巡りは一人がいいんだ、味に集中出来る」
「研究熱心なんですね」
「まずは人の成功から学ぶ。その先に個性があると思ってる」
※ホイロ(焙炉)オーブンで焼成する前のパン生地に、最適な温度と湿度で最終発酵を行い、ふっくらと柔らかい食感に焼き上げるための製パン機械
スバル/フォレスターという中型のワゴン車だけど、ホワイトで車高が高い分、大きく見える。
週末を迎えて、土曜日の早朝に車を出す。
慣らし運転を兼ねて、別府まで行く事にした。
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法定速度で走っていれば、何の不安も無い。
追い越し車線に出て加速しても、俺の意志に反応する十分な余裕があった。
何より気持ち良く走れるのは関東に比べて九州は車が少ない。2時間走って温泉に浸かり、また2時間かけて戻って来た。
全然疲れないし、むしろストレス解消になったくらいだ。
これからのカーライフが楽しみになった。
GW明けから正規の実習、講義の後に、実習室で自習の居残りをするようになった。
俺は製パン科のメンバーに混じって、強力粉と水を混ぜ合わせ、捏ねてグルテンを出す。
この手作業を通じて、感覚を体に覚えさせていく。
それには製パンの実習だけでは時間が足りない。
「香山さん、パン作りに夢中ですね」
「ああ、製パン科に入っておけば良かったと後悔してる」
俺と話しているのは、製パン科の江口花蓮だ。
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俺が製パン科に混じって自習していたら、すぐに声を掛けてくれた。
童顔で丸い目が可愛いが、コックコートでも隠せないほど立派な胸を持っている。
「ベーカリーカフェを考えてるんですか?」
「カフェを一人で切り盛りするためには、作り置き出来る惣菜パンは選択肢の一つだ」
「プランが具体的ですね」
「大人は夢を見ないんだ。
実現可能なプランだけを追いかけてる」
ホイロ※から発酵が終わった生地を出して、切り分けて伸ばしたらバターロールに巻いていく。
もう一度、ホイロに戻して2次発酵が終わったらオーブンに入れて焼きあげる。
その時間を使って、ハンドドリップでコーヒーを淹れる。
これも実習の一つだ、丁寧に一杯ずつ仕上げていく。
同じ作業台のメンバーで、焼き上がったばかりのパンとコーヒーで味見の時間を楽しむ。
「香山さんのパン、巻きが強くて硬い仕上がりになってます」
「ちょっと、形にこだわりすぎたな」
失敗から学ぶ、これを経験する為に学校に来た。
「でも、このコーヒーは好きな味」
「俺が気に入ってる店の豆を持ってきた」
「どこの店ですか?」
「秘密だ」
「ずるい、私も連れていってください」
「カフェ巡りは一人がいいんだ、味に集中出来る」
「研究熱心なんですね」
「まずは人の成功から学ぶ。その先に個性があると思ってる」
※ホイロ(焙炉)オーブンで焼成する前のパン生地に、最適な温度と湿度で最終発酵を行い、ふっくらと柔らかい食感に焼き上げるための製パン機械
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