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第三章 1年生 夏休み
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東京の3日目は朝から、かっぱ橋道具街に向かう。
ネットで下調べをしていたが、想像以上にプロ向けの調理道具店が並んでいる。
俺が欲しいのは、ペティナイフ※と柔らかい食パンをサンドイッチ用に薄く切れるパン切り包丁だ。
包丁専門店を次から次へと見て回るが、なかなか手に馴染むものが見つからない。
専門店のレベルだと切れ味はそれほど大差ない。
午前中いっぱいで10軒の店を回って、やっと自分の手にピタリと合ったものがあった。
刃渡り130mmの鋼製、八角形に削られた樫木の柄がついている。
持った時の重さとバランスが俺の理想通りだ。
「野菜や果物を切るなら、このサイズが一番です。
正しく研いでやれば、10年は使えます。
プロが使い込んでも、5年は大丈夫でしょう」
このナイフを研げなくなるほど使い込めば、俺の腕も上がっているはずだ。
自分の感覚を信じて、購入を決めた。
「柔らかい食パンを切る、パン切り包丁も欲しいんですが?」
「こちらのドイツ製ブレッドナイフはプロの皆さんに人気で、10インチと9インチが選べます」
「どう違うんですか?」
「お客様なら10インチで大丈夫です。9インチは女性向きですね」
一瞬、花蓮の事が頭に浮かぶ。
あれだけ教わったのに、まだお礼もしていない。
「両方買いますけど、9インチはプレゼント包装にしてもらえますか」
「もちろん、任せてください」
店員さんは心得ていた。
コーヒー用具専門店では、実習班のメンバーたちにラテアート用のミルクピッチャーを選ぶ。
散々悩んだ末に、ちょっと良い物にしてみた。
高橋さんにも、新潟燕三条製のプロ用を選択。
自分の為には、一人用のドリップポットを色々と試して決めた。
買ったものを全て宅急便の事務所に持ち込み、自宅まで送る手続きが終わった頃には夕方になっていた。
翌日は、朝から青山までタクシーでお土産を買いに行く。
チョコレートを手に入れたら、待たせていた車で羽田まで送ってもらった。
博多に戻って数日後、自宅で配達指定の宅急便を受け取る。
花蓮に連絡したら、オープンキャンパスの準備を手伝っている様子。
お土産を持って製菓学校を訪ねる。
まず事務所の皆さんにお土産を渡してから、花蓮に会った。
「約束通り、お土産を持って来た」
「ありがとう、このチョコレートが食べたかったの」
「それと、君が教えてくれたことに対する感謝の気持ちだ。
受け取って欲しい」
プレゼント包装された箱を渡すと、怪訝な顔をしている。
「開けていい?」
「どうぞ、もう君の物だ」
包装を丁寧に剥がして、箱を取り出す。
開けるとブレッドナイフが出て来たので、花蓮が驚いた。
「これ、プロが使うものだよね。相当高いって思うんだけど」
「君に相応しいと思ったから、かっぱ橋道具街で買ったんだ。使って欲しい」
「いくら何でも、もらえないよ」
「俺は、君の好意に答えられない。
でも実習に対する心構えや意欲には尊敬しているんだ。
金額は、これからも教えてもらうから前払いだと思ってくれ」
「ずるい、でも一緒にいることは出来るんですね。
それなら香山さんの気持ちとして、ありがたくいただきます」
※ペティナイフ 果物や野菜の皮むきや細かい作業に最適な小型の包丁で、刃渡りは通常8cmから15cm程度です。
ネットで下調べをしていたが、想像以上にプロ向けの調理道具店が並んでいる。
俺が欲しいのは、ペティナイフ※と柔らかい食パンをサンドイッチ用に薄く切れるパン切り包丁だ。
包丁専門店を次から次へと見て回るが、なかなか手に馴染むものが見つからない。
専門店のレベルだと切れ味はそれほど大差ない。
午前中いっぱいで10軒の店を回って、やっと自分の手にピタリと合ったものがあった。
刃渡り130mmの鋼製、八角形に削られた樫木の柄がついている。
持った時の重さとバランスが俺の理想通りだ。
「野菜や果物を切るなら、このサイズが一番です。
正しく研いでやれば、10年は使えます。
プロが使い込んでも、5年は大丈夫でしょう」
このナイフを研げなくなるほど使い込めば、俺の腕も上がっているはずだ。
自分の感覚を信じて、購入を決めた。
「柔らかい食パンを切る、パン切り包丁も欲しいんですが?」
「こちらのドイツ製ブレッドナイフはプロの皆さんに人気で、10インチと9インチが選べます」
「どう違うんですか?」
「お客様なら10インチで大丈夫です。9インチは女性向きですね」
一瞬、花蓮の事が頭に浮かぶ。
あれだけ教わったのに、まだお礼もしていない。
「両方買いますけど、9インチはプレゼント包装にしてもらえますか」
「もちろん、任せてください」
店員さんは心得ていた。
コーヒー用具専門店では、実習班のメンバーたちにラテアート用のミルクピッチャーを選ぶ。
散々悩んだ末に、ちょっと良い物にしてみた。
高橋さんにも、新潟燕三条製のプロ用を選択。
自分の為には、一人用のドリップポットを色々と試して決めた。
買ったものを全て宅急便の事務所に持ち込み、自宅まで送る手続きが終わった頃には夕方になっていた。
翌日は、朝から青山までタクシーでお土産を買いに行く。
チョコレートを手に入れたら、待たせていた車で羽田まで送ってもらった。
博多に戻って数日後、自宅で配達指定の宅急便を受け取る。
花蓮に連絡したら、オープンキャンパスの準備を手伝っている様子。
お土産を持って製菓学校を訪ねる。
まず事務所の皆さんにお土産を渡してから、花蓮に会った。
「約束通り、お土産を持って来た」
「ありがとう、このチョコレートが食べたかったの」
「それと、君が教えてくれたことに対する感謝の気持ちだ。
受け取って欲しい」
プレゼント包装された箱を渡すと、怪訝な顔をしている。
「開けていい?」
「どうぞ、もう君の物だ」
包装を丁寧に剥がして、箱を取り出す。
開けるとブレッドナイフが出て来たので、花蓮が驚いた。
「これ、プロが使うものだよね。相当高いって思うんだけど」
「君に相応しいと思ったから、かっぱ橋道具街で買ったんだ。使って欲しい」
「いくら何でも、もらえないよ」
「俺は、君の好意に答えられない。
でも実習に対する心構えや意欲には尊敬しているんだ。
金額は、これからも教えてもらうから前払いだと思ってくれ」
「ずるい、でも一緒にいることは出来るんですね。
それなら香山さんの気持ちとして、ありがたくいただきます」
※ペティナイフ 果物や野菜の皮むきや細かい作業に最適な小型の包丁で、刃渡りは通常8cmから15cm程度です。
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