博多に移住して人生をやり直す

耶麻寿

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第十章 2年生 2学期

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「君のことは娘から聞いている。相当なやり手らしいな」

武内女史とご両親、俺で共同経営について話し合う。
事前に金融manager/佐藤氏に頼んで会社設立の計画書を用意した。
武内家に渡してから十分に検討してもらった上で、ホテルの会場で会うことになった。

「やり手かはわかりませんが、成功する為に手は尽くします」

「君は相当の資産家じゃないか、あえて事業に乗り出す必要はあるのか?」

「人はお金だけで生きる訳ではありません」

「金を持った奴のセリフだな、一般人は金に振り回されているのに」
彼女の父親はかなり辛辣だ、わざと俺を怒らせようとしているのか。

「私は、金の為に働くのはもう十分です。
若い連中と一緒に夢を叶えたい、その為の事業化ですよ」

「面白い、一口乗ろう。資本金1億円の半分出してもいい」
びっくりするほどの変わり身の速さだ、初めから決めていたんだろう。
それなら、俺も攻めていく。

「では51%出資で経営権をお渡しします。
私が49%でどうでしょう?」

「後は娘に任せる。細かいことは、君たちで話し合えばいい」
将来は仲間たちにも株式を分配する予定も計画書には書いてある。
俺の想定以上に、すんなりと運営会社の設立が出来た。
テナントを借りるには運営会社が受け皿になる。
全ての手続きが完了して会社が出来たのは、10月も終わりの頃だった。

「どうして私を誘ってくれないんですか?」
俺が運営会社を作ったのを知って、花蓮がわめいている。

「花蓮を働かせる店がまだ出来てない。福岡市内で店を建てる土地が見つからないんだ」

「じゃあ店が出来たら雇ってくれるんですね」

「考えておく。春日原のブーランジェリーに就職が決まってるんだから、大人しく修業してろ」
 
金曜日の放課後に福岡空港に直行して、俺と武内女史、絵美里と貴大で東京に向かう。
借りたテナントをどんな店にするか、東京のカフェを参考にする為に視察に連れて行く。
夜には、渋谷のホテルに着いた。
ここなら代官山、表参道、代々木上原などカフェが密集している地区が近い。

「視察する店のリストは出来てるんだろうな?」
4人で一緒に食事をしながら、明日からの予定を相談する。

「散々迷って、30店ほど選んでいます」

「2日で30店訪問か、オーストラリアを思い出すな」

「頑張って視察をしますよ、自分達の店ですから」

「それでいい。俺と武内さんは、かっぱ橋に厨房設備や備品を見に行く」

「ええ、いいなあ」

「これから何度も機会はある、まずは視察を終わらせろ」

土曜日、午前中から武内女史と二人でかっぱ橋道具街を見て回る。
知識では知っていても、実際に見るとスケールの大きさに驚いていた。

「まさに職人のワンダーランドですね」

「オーストラリアも凄かったが、日本も捨てたもんじゃないだろう」

「ええ、一日中いても飽きないと思います」

俺の事業パートナーにして、最高の返事だ。
同じ価値観を持つ相棒が得られたのは、運がいい。

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