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第十章 2年生 2学期
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「香山君、武内さん、純喫茶加藤を引き継がないか?」
俺たちは放課後、担任に呼び出された。
話を聞くと純喫茶があるビルが老朽化していて、ビルの建て替え計画が進行している。
今のままでは、来年中にテナントを追い出されてしまう。
俺たちの運営会社で引き継ぎ、別のテナントに移転して店を続ける相談だった。
「俺たちにとってメリットがありますか?」
ビジネスである以上、損得の計算が優先するのは当たり前だ。
「事業継承だから、のれんは君たちのものになる。
いきなり創業40年の会社を名乗る事が出来るんだ。
それに加藤の親父さんが相談役になれば、メンバーの指導には困らない」
「何故、春田先生からお話がきたんですか?」
「俺は、加藤の親父から独立した弟子なんだ。
店を経営する才能が無いから、ここで教師をしている。
数年前から、親父の相談を受けていた」
「それで俺を実習に行かせたと」
「ああ、香山君は経営の天才だからな」
「そんなこと、思った事もありません」
「天才というのは自分のことは見えないもんだ。なあ、武内君」
「私も天才だと思ってます」
「武内君はこの話、どう思う?」
「細部は詰める必要がありますが、のれんを引き継ぐ機会はなかなかありません。
個人経営の店が株式会社化をした形なら、創業40年で株式会社化が今年でも何の不思議もないです」
「株式会社純喫茶加藤を作って、私たちの会社が買収する。
その後、私たちの会社名を福岡珈琲加藤に替えればいいですね」
「まあ老舗ロンダリングだな」
担任が酷い事を言った。
マスターから正式に話があり、俺たちは買収を決めた。
全てが書類の上で進む為に、全て専門家の手を借りる。
意外なほど早く手続きが終わり、12月に入る頃には俺たちの会社が株式会社福岡珈琲加藤になった。
今は移転先を探す為に、不動産屋にオーダーを出している。
同じ頃、ベーカリーカフェの設計が終わり年明けにはテナントの工事が始まる。
20坪の店舗内は、製パンのスペースにゆとりを持たせて、イートインの席は少なめにした。
純喫茶加藤やこれから先の店舗にも、ここで焼いたパンを使う為だ。
絵美里と貴大が選んだ店のデザインは、予想以上にシンプルなもの。
黒く塗られたむき出しの鉄骨に、グレーの塗り壁、床は石のタイルが張られている。
外側は青鈍色の壁に白い木枠の1枚窓、白の木製のドアに営業中を表す裸電球の街灯が壁に付いている。
「若いのに、地味なデザインを選んだな」
「建物自体が古いので、あえてノスタルジックなデザインを選びました」
「悪くない、隣の古着屋とも統一感がある」
「それもデザイナーに注文しました」
年末年始をまたぐので、完成まで時間がかかる。
それまで絵美里には、純喫茶加藤で研修を受けてもらう。
ベーカリーカフェで出すコーヒーの味も、マスターと伊崎櫂に決めて貰おう。
貴大は製菓学校の紹介で、1か月ほど北九州の店に研修に行く事になった。
通勤が大変なので、ビジネスホテルに泊まり込む。
費用を会社で出すので、しっかり勉強してくるように言って送り出した。
俺たちは放課後、担任に呼び出された。
話を聞くと純喫茶があるビルが老朽化していて、ビルの建て替え計画が進行している。
今のままでは、来年中にテナントを追い出されてしまう。
俺たちの運営会社で引き継ぎ、別のテナントに移転して店を続ける相談だった。
「俺たちにとってメリットがありますか?」
ビジネスである以上、損得の計算が優先するのは当たり前だ。
「事業継承だから、のれんは君たちのものになる。
いきなり創業40年の会社を名乗る事が出来るんだ。
それに加藤の親父さんが相談役になれば、メンバーの指導には困らない」
「何故、春田先生からお話がきたんですか?」
「俺は、加藤の親父から独立した弟子なんだ。
店を経営する才能が無いから、ここで教師をしている。
数年前から、親父の相談を受けていた」
「それで俺を実習に行かせたと」
「ああ、香山君は経営の天才だからな」
「そんなこと、思った事もありません」
「天才というのは自分のことは見えないもんだ。なあ、武内君」
「私も天才だと思ってます」
「武内君はこの話、どう思う?」
「細部は詰める必要がありますが、のれんを引き継ぐ機会はなかなかありません。
個人経営の店が株式会社化をした形なら、創業40年で株式会社化が今年でも何の不思議もないです」
「株式会社純喫茶加藤を作って、私たちの会社が買収する。
その後、私たちの会社名を福岡珈琲加藤に替えればいいですね」
「まあ老舗ロンダリングだな」
担任が酷い事を言った。
マスターから正式に話があり、俺たちは買収を決めた。
全てが書類の上で進む為に、全て専門家の手を借りる。
意外なほど早く手続きが終わり、12月に入る頃には俺たちの会社が株式会社福岡珈琲加藤になった。
今は移転先を探す為に、不動産屋にオーダーを出している。
同じ頃、ベーカリーカフェの設計が終わり年明けにはテナントの工事が始まる。
20坪の店舗内は、製パンのスペースにゆとりを持たせて、イートインの席は少なめにした。
純喫茶加藤やこれから先の店舗にも、ここで焼いたパンを使う為だ。
絵美里と貴大が選んだ店のデザインは、予想以上にシンプルなもの。
黒く塗られたむき出しの鉄骨に、グレーの塗り壁、床は石のタイルが張られている。
外側は青鈍色の壁に白い木枠の1枚窓、白の木製のドアに営業中を表す裸電球の街灯が壁に付いている。
「若いのに、地味なデザインを選んだな」
「建物自体が古いので、あえてノスタルジックなデザインを選びました」
「悪くない、隣の古着屋とも統一感がある」
「それもデザイナーに注文しました」
年末年始をまたぐので、完成まで時間がかかる。
それまで絵美里には、純喫茶加藤で研修を受けてもらう。
ベーカリーカフェで出すコーヒーの味も、マスターと伊崎櫂に決めて貰おう。
貴大は製菓学校の紹介で、1か月ほど北九州の店に研修に行く事になった。
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