博多に移住して人生をやり直す

耶麻寿

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第十章 2年生 2学期

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12月のクリスマス明けに、入社内定式を兼ねて新会社の忘年会を開く。
天神にあるホテルのパーティールームに、関係するみんなが集まった。
伊崎櫂、山本絵美里、加藤貴大の3人が正式入社メンバーで、山田涼介、吉田健太と龍崎彩音、森田紗彩は内定としている。
これも本店を建てる土地が決まらないからだ。

「みんなには、なかなか計画が進まないから心配をかけているが、必ず本店は出来る。
純喫茶加藤の移転先は現在買収交渉中だから、決まれば4人とはすぐに契約をしたい」
俺が挨拶の中で発表するとみんなの顔が明るくなった。

「 「本当ですか?」 」

「ああ、今の場所から200m離れた民家を買う交渉は、ほぼ合意に達している。
あとは細部を詰めるだけだ、年明けには交渉がまとまるだろう。
本店が出来上がったら、会社で使うコーヒーはここで選別、配合、焙煎を全て任せる。
彩音と紗彩は、年明けからマスターの下で研修してもらう」

「新店は、パティスリーを併設したカフェにする予定だ。
それまでは、涼介と健太にはギリギリまで研修で腕を磨いてもらいたい」
一気に現在の会社の進捗状況を発表した。
全員に安堵と期待が広がる、発表が終わったら、宴会の始まりだ。

「来年は我が社スタートの年です。みんな、頑張ろう。乾杯」

「「かんぱ~い‼」」
武内社長の挨拶で、忘年会は始まった。
さっそく、絵美里たちが俺に絡む。

「ここに花蓮がいないのは、何で?」

「花蓮は、他所に内定してる」

「香山さんは、それでいいんですか?」

「俺は、仕事に私情は挟まない」

「じゃあプライベートで付き合うんですね」
今度は彩音が絡んでくる。

「卒業してから考える」
これ以上は答えないつもりで言うと、やっと追及が終わった。
武内女史と一緒に酒を酌み交わす、最近は新店を建てる土地の話ばかりだ。

「なかなか希望通りの土地って、売りに出ませんね」

「俺は、もう10件以上見に行ってる。書類だけなら30件は検討したが、納得いく場所は無かった」

「先にテナントを探すのも考えますか?」

「年明けからはテナントも考えよう」
好立地に会社の目玉となるカフェを作るのも、計画のうちだ。
天神の隣接地か、博多駅周辺のテナントで、繁華街より少し離れた場所が希望だ。
メルボルンやシドニーで見た、裏通りや路地の奥にたたずむ落ち着いた店を作りたい。
賃料が高いテナントではドリンクとデザートだけ作るようにして、コーヒー豆、ケーキ、パンは各店から運び込む。
店舗面積が小さくても、バックヤードを極限まで縮小することで客席に余裕を持たせたい。
運用の効率化が一番大事だと考えていた。

「紗彩と彩音に頼みがある」

「何ですか?」

「イチゴのデザートを目玉にしたい。
あちこち食べ歩いて、うちの店で出すものを考えてほしい。
もちろん、経費は会社持ちだ。
出来上がったら、レポートを付けて製菓学校の卒業制作にしたらどうだ?」

「やらせてください」
二人が元気に返事をした。

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