89 / 142
第十二章 2年生 3学期
2
しおりを挟む
1月末の卒業技能試験に合格して、カフェ専科の卒業が実質的に決まった。
もう開業に向けて走り出しているので大した感動もない。
「紗彩、卒業制作展で開催されるデザート皿盛りコンテストは君が仕切れ」
「私が班の代表なんて無理です」
「俺も絵美里も彩音も、みんな班の代表を経験している。
最後は紗彩に締めてもらおう」
皿盛りコンテストは、学校が用意した材料を使って盛り付けの美しさを競う。
当日までテーマや材料が分からないので、ぶっつけ本番だ。
本人の対応力とセンスが問われるし、プレッシャーも半端ない。
卒業生のカフェ経営者やパティシエなど外部の審査員で評価が行われる。
ただ紗彩たちは、一月中は純喫茶加藤で研修していたから現場経験は十分だ。
土曜日、エイジア製菓学校の合格者ミーティングは盛況に終わった。
今日は朝から製菓科、製パン科の作品展示を来場者が閲覧している。
「毅のお友達って、上手なのね」
母が花蓮の作品、編み籠一杯のバラを見て驚いていた。
「あの籠もパンなんだ、俺も彼女から編み方を教わったよ」
母と歩きながら、一緒に会場を見て回る。
「あの天然酵母で全粒粉を使った、バンドカンパーニュを作った男を俺の会社にスカウトした。
派手な作品より、売り物になる商品を作っている」
貴大の作品は、今日の展示の中で一番売り物として成立していた。
「凄いね、食べてみたい」
「もうすぐ店が出来るんだ。オープンには母さんを招待するよ」
「ホント?来ていいの?」
「俺の会社が動き出すんだ、母さんに見てもらえてると嬉しいよ」
その後、製菓の展示も見に行った。
涼介、健太の展示は、ブルーベリーパイ、アップルパイだ。
美しい焼き上がりは、商品としての完成度が高い。
俺がリクエストした、すぐに売り物になる作品という課題に挑戦した結果だった。
午後のイベントが、カフェ専科のデザート皿盛りコンテストだ。
班ごとの対抗戦で、俺たちの班は沙彩が責任者で俺たちはサポートに回る。
パフェの食べ歩きでいろんな店を回っているので、期待は出来るはずだ。
発表されたテーマが「春」だった。
バレンタイン、卒業式、ひな祭りの次に春を予想していたが、全く見当違いでもなかったのでラッキーだ。
「香山さん、イチゴの飾り切りをお願いします」
イチゴを桜の花びらに見立ててデコレーションするんだろう、一応練習はしていた。
大きさを揃えたイチゴを花びらの様に切りそろえる。
皿にチョコレートソースで枝を描いてから、花びらをイチゴで作っていく。
用意されたケーキの中から、抹茶のケーキを添えた。
提供時間は全体で2番目、時間も審査対象なので好成績だ。
実習室から視聴覚室に移動して、10チームの作品が並べられた。
審査員が作品を見ながら採点をしていく。
集計が終わり、審査発表で俺たちの班は4位になった。
「すいません、3位内に入れませんでした」
紗彩が号泣している。
泣くほど真面目に頑張って、総評でも仕上げの速さは評価されていた。
「実際の店舗では提供の速さは武器になる、俺は高く評価してるよ」
もう開業に向けて走り出しているので大した感動もない。
「紗彩、卒業制作展で開催されるデザート皿盛りコンテストは君が仕切れ」
「私が班の代表なんて無理です」
「俺も絵美里も彩音も、みんな班の代表を経験している。
最後は紗彩に締めてもらおう」
皿盛りコンテストは、学校が用意した材料を使って盛り付けの美しさを競う。
当日までテーマや材料が分からないので、ぶっつけ本番だ。
本人の対応力とセンスが問われるし、プレッシャーも半端ない。
卒業生のカフェ経営者やパティシエなど外部の審査員で評価が行われる。
ただ紗彩たちは、一月中は純喫茶加藤で研修していたから現場経験は十分だ。
土曜日、エイジア製菓学校の合格者ミーティングは盛況に終わった。
今日は朝から製菓科、製パン科の作品展示を来場者が閲覧している。
「毅のお友達って、上手なのね」
母が花蓮の作品、編み籠一杯のバラを見て驚いていた。
「あの籠もパンなんだ、俺も彼女から編み方を教わったよ」
母と歩きながら、一緒に会場を見て回る。
「あの天然酵母で全粒粉を使った、バンドカンパーニュを作った男を俺の会社にスカウトした。
派手な作品より、売り物になる商品を作っている」
貴大の作品は、今日の展示の中で一番売り物として成立していた。
「凄いね、食べてみたい」
「もうすぐ店が出来るんだ。オープンには母さんを招待するよ」
「ホント?来ていいの?」
「俺の会社が動き出すんだ、母さんに見てもらえてると嬉しいよ」
その後、製菓の展示も見に行った。
涼介、健太の展示は、ブルーベリーパイ、アップルパイだ。
美しい焼き上がりは、商品としての完成度が高い。
俺がリクエストした、すぐに売り物になる作品という課題に挑戦した結果だった。
午後のイベントが、カフェ専科のデザート皿盛りコンテストだ。
班ごとの対抗戦で、俺たちの班は沙彩が責任者で俺たちはサポートに回る。
パフェの食べ歩きでいろんな店を回っているので、期待は出来るはずだ。
発表されたテーマが「春」だった。
バレンタイン、卒業式、ひな祭りの次に春を予想していたが、全く見当違いでもなかったのでラッキーだ。
「香山さん、イチゴの飾り切りをお願いします」
イチゴを桜の花びらに見立ててデコレーションするんだろう、一応練習はしていた。
大きさを揃えたイチゴを花びらの様に切りそろえる。
皿にチョコレートソースで枝を描いてから、花びらをイチゴで作っていく。
用意されたケーキの中から、抹茶のケーキを添えた。
提供時間は全体で2番目、時間も審査対象なので好成績だ。
実習室から視聴覚室に移動して、10チームの作品が並べられた。
審査員が作品を見ながら採点をしていく。
集計が終わり、審査発表で俺たちの班は4位になった。
「すいません、3位内に入れませんでした」
紗彩が号泣している。
泣くほど真面目に頑張って、総評でも仕上げの速さは評価されていた。
「実際の店舗では提供の速さは武器になる、俺は高く評価してるよ」
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる