博多に移住して人生をやり直す

耶麻寿

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第十三章 卒業

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3月いっぱいは、みんなが卒業旅行に行く為にスケジュール管理が大変だ。
やっと俺たちの順番が回ってきて、福岡空港から羽田に向かって飛び立った。

「ここが有名な、かっぱ橋道具街ですか?」

「若い娘には退屈だろうが、君たちは職人だから、店を周ると楽しめるはずだ」
俺がペティナイフをプレゼントすると言ったので、絵美里、彩音、紗彩が真剣に選んでいる。
使いやすさは人によって違う。
刃の長さ、重さ、バランス、好みは共通しないので、自分で選ぶしかない。
2時間をかけて専門店を3店舗見て回り、3人分を購入した。
もちろん、俺のポケットマネーから支払う。

「「香山さん、ありがとうございます」」

「俺からの卒業祝いだ。これを使って一人前になってくれ」

「「はい」」

「あと、ブレッドナイフを買いたいんです」
絵美里が俺に言う。

「置いている店に連れて行ってやろう」
俺と花蓮が使っているナイフを買った店に戻ると、値段によって各種が揃っていた。

「花蓮が使っているのはどれですか?」
俺が教えると、店員がショーケースから取り出してくれた。

「貴大が10インチを欲しがっていたので、これにします」
彼女は、プレゼント用に包装して貰い支払いを済ませた。

その後、ちょっと遅い昼食を食べる為に浅草に向かう。
天丼の老舗に連れて行くと、3人ともよく食べる。
浅草寺にお参りしてから、今日宿泊する渋谷のホテルに移動した。
チェックインをして、部屋に荷物を入れたら3人と別行動する。

「夕食まで別行動にしよう。俺は母親に会いに行く」

「わかりました、私たちはお買い物に行ってきます」

博多のお土産を持って、タクシーで母親の住む都営住宅に向かう。
団地の部屋に行くと、母が仕事を休んで待っていた。

「毅、いつもありがとう」

「母さんが喜んでくれるなら、お土産代は安いものだよ。
辛子明太子と博多通りもんでいいんだよね」

「そうよ、みんなが楽しみにしているの」

「母さんがみんなと仲良くしているなら、俺も安心だ」
お土産や旅行には俺がお金を出しても受け入れてくれるが、直接的にお金は受け取ってくれない。
母にもプライドがある以上、俺も無理押しすることは無い。
持って来た豆を使い、ドリップでコーヒーを淹れる。
二人で一緒にティータイムを楽しんでから、ホテルに戻った。

「お母様は喜ばれました?」

「ああ、お土産を渡すと喜んでくれたよ。君たちは、買い物は楽しかった?」

「夏物の新作を買いました」
紗彩が一番に返事をした。
みんなでSHIBUYASKYに行き、東京の夜景を楽しむ。
SNSで騒がれるだけあって3人は大騒ぎで、ひたすらスマホで撮影しまくりだ。
俺も一人ずつと腕を組んで撮影された。
飽きるほど夜景を見てから、夕食に向かう。

「香山さんが社長時代に行ってたお店なんでしょう?
楽しみです」
絵美里たちの声が弾んでいる。

「俺の奢りも今夜が最後だ。楽しんでくれ」

「「は~い」」
こういう時だけ、返事がいい。

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