博多に移住して人生をやり直す

耶麻寿

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第十三章 卒業

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3月も最後の週になって、やっと俺も休みを取る。
花蓮と約束していた卒業旅行に行く為に、福岡空港の国際線ターミナルにやって来た。
待ち合わせ場所に行くと、花蓮と母親が待っている。
想定外だったが、顔を合わせる以上、挨拶をしない訳にはいかない。

「娘をよろしくお願いします」
先手を取られて、花蓮を送って来た母親から挨拶をされた。
どう返事をするか一瞬迷ったが、俺は腹を括った。

「無事に連れて帰ります。ご安心下さい」

「だから心配いらないって言ってるの。
何があっても、私のせいなんだから」
横から花蓮が母親を責める。

「心配するのは、親として当然の事だ。
お母さんに口ごたえするんじゃない」

「ごめんなさい」
彼女は、俺の話を聞く余裕はあるようだった。
キャリーバッグを預けてから、出発案内があるまで3人で話す。
最後まで父親と兄弟は、俺と旅行に行くことに反対だったようだ。
出発ゲートで花蓮と母親が別れの挨拶をしている。
たった3日だが、母親も花蓮も涙ぐんでいた。

「花蓮は家族から愛されているんだな」
格安航空会社の狭い客席に座り、俺が言うと彼女は笑みを浮かべた。

「みんなが可愛がってくれるのが、苦しい時もあったんだ」

「何で?幸せなことだろう」

「私って、私生児なの。
父親と血が繋がっていないんだ」

「母親と繋がっていれば、家族だろう。
俺だって、母一人子一人だよ」
俺が言うと花蓮が泣き出した。
彼女なりに思うことがあったんだろう。
落ち着くまで花蓮の肩を抱いて、無言のまま過ごしていた。

台北までのフライトは、2時間半ぐらいだ。
ほぼ国内線と変わらない時間で到着、入国審査を無事に通過したらホテルに向かう。
今回の旅行費用は割り勘なので、タクシーも使わず地下鉄に乗った。

日本語が使える日系資本のホテルを予約してある。
キャリーバッグをクロークに預けて、二人でランチに向かった。
ホテルがある西門地区は、台湾の渋谷/原宿と言われる若者文化の街。
オシャレな店や老舗のカフェがあることでも有名だ。

「ここに来たかったんです」
花蓮がランチに選んだのは魯肉飯、現地の人に人気の店だ。
並んで待つと、カウンター席に座れた。
魯肉飯の小サイズとスープを注文すると、すぐに出てくる。
感覚的には、日本の牛丼屋って感じ。
上に乗った半熟の卵焼きを崩しながら食べると、美味い。

「台湾に来たって味だな」

「来て良かったです」
あっという間に食べ終えて、席を開ける。
その足でカフェに向かい、10分ほど歩くとお目当ての店に着いた。

「ここは黒糖ラテが美味しいらしいです」
花蓮が下調べ済みなので、素直に聞いてみる。
一緒にシフォンケーキとチーズケーキを注文した。

「魯肉飯を小サイズにしたのは、食べ歩きがしたかったんです」

「なるほど、考えたな」

黒糖ラテは、独特の香ばしさが味を引き締めている。
若干のクセはあるが、嫌いな味ではない。
ケーキのレベルも高い、これは台北視察が楽しみになってきた。

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