博多に移住して人生をやり直す

耶麻寿

文字の大きさ
138 / 142
第十七章 飛躍

しおりを挟む
ソウルから戻って次の休日、俺は東京に向かった。
朝一の飛行機で羽田に着いたら、日本橋にある資産運用会社のオフィスを訪ねる。
到着すると直ぐに個室に案内されて、担当の金融manager/佐藤氏と面談になった。

「前年度の運用実績が出ましたので、確認をお願いします。
納得頂いたら税理士事務所に送って、確定申告の手続きに進みます」

「奈良屋町の土地を買ったから、資産が横ばいになると思ってました」
自分の資産が増えているのを見て、驚きの気持ちだった。

「負債は資産に分類されますから、銀行から借り入れて建てたビルは全て資産になります」
俺の資産額が1年間で10%以上増えて、もう使い切れないほどになっている。
書類に了解のサインをして、今年の運用をお願いしたら仕事は終わった。
ここから俺が上京してまで佐藤氏に相談したい事を話す。

「江口花蓮と結婚しようと思っています」

「やっと決心がつきましたか?」

「1年付き合いましたが、まったく変わらないのは驚きました」

「それは良かったですね。
ところで、結婚までの手順は分かってますか?」

「今度、彼女の両親に挨拶に行くんですが、仲人や結納金など分からない事だらけです」

「香山さんの場合、収入額が大きいですからね。
婚約指輪が給料の3ヶ月分と言っても、数百万になってしまいます」

「花蓮は、婚約指輪は必要ないと言ってるんですよ」

「ウエディングプランナーを手配しましょう。
私の知り合いを紹介します」

「いつも本来の仕事以外で相談して、お手数をおかけします」

「香山さんのプライベートが落ち着いているのも、仕事のうちですよ」
佐藤氏の紹介なら、安心して相談出来る人が来るだろう。
手配を頼んで、オフィスを出た。
帰りの飛行機までは時間があるので、実家の都営住宅を訪ねた。

「母さん、久しぶり」

「毅が来るって連絡してきたから、有給を取ったよ」

「視察で韓国に行ったんだ。
お土産を買ってきたから、届けに来た」
キャリーバッグから革製のトートバッグを出す。
若手のメンバーに渡した分とは、ランクが違う高級品だ。

「ありがとう、高かったんじゃないかい?」

「お金の事は心配しないでいいよ。
それよりしまい込まないで、使ってくれるのが嬉しい」

「分かった、大事に使うよ」
持ってきた博多のお土産を渡して、一緒にコーヒーを飲む。

「母さん、俺は結婚する事にした」
奈良屋町の店が出来た時に花蓮の事は話しておいたので、びっくりはしなかった。

「やっと決めたんだね」

「俺も、もうすぐ33歳だ。決心したよ」

「私も孫の顔を見るのが楽しみ」

「そのうち彼女を東京に連れてくる。
俺が育った街が見たいらしい」

「ここに来るの?恥ずかしいよ」

「母さんは胸を張っていい。
俺を育ててくれた場所だ、堂々と見てもらえばいい」

花蓮が育った環境の方が良い事が分かれば、安心するだろう。
彼女はお金持ちの俺しか知らないからな。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...