22 / 40
αの中のα ②
しおりを挟む
《αの性とは、番を守り慈しむこと。京極の血が流れるαには そのαの性が最も強く現れる―――。》
しかしそれが京極の歴史の光の部分だとすれば、闇もまた存在する。
光が強ければ強いほど、闇もまた暗く濃かった。
京極のαが自分の“唯一”を見つけて番契約が結ぶことができれば、そのΩは掌中の珠のように慈しまれ幸福な生涯を送ることができた。
しかし、既に誰かの番であった場合。
それは例外なくΩにとって、いや周りをも巻き込んで悲惨な結果を招いた。
その性が最も強いが故に、唯一の番を奪われた事で理性を失い その獣性が顔を出すのだ。
過去、“αの中のα”によって何度も繰り返された悲劇。
奪われた“唯一”の番を取り戻すために 本来備えていたはずの並外れた自制心をかなぐり捨て、最上位のαとしての力を思うがままに振るう ───。
そこには躊躇も容赦もありはしなかった。
その番を時に恫喝し。 時に陥れ。
“唯一”本人が泣いて嫌がっても その手に収めた。
しかしそうしてまで手に入れたΩは、総じて短命だった。
本来の番と引き離されたΩは、ヒートを起こすたびに その最愛を奪った張本人のαに抱かれる。
当然 Ωは番以外との性交に 心も体も拒絶反応を起こす。
しかし、“唯一”と番うことができない絶望によって解放された京極のαの性は凄まじく、その交わりで“唯一”がどれほど苦しもうと構うことはなかった。
それは まるで獲物を食い散らかすように蹂躙された。
また、番契約を解消させることによって、性交時 Ωの肉体に拒絶反応が起こらなく無ったとしても、ヒートの度に 最愛の番を求める魂と αの種を貪欲に求めるΩの体との乖離に苦しむこととなった。
そうなると 京極のαがどれほど手を尽くしても、Ωはゆっくりと衰弱していき、その命を落としていったのである。
その悲劇を避けるために京極家は対策を練った。
その結果打ち立てられたのが 発情期前のΩを一所に集め、《京極の花嫁》をいち早く見出す事だった。
それこそが芳聖である。
しかしそれが京極の歴史の光の部分だとすれば、闇もまた存在する。
光が強ければ強いほど、闇もまた暗く濃かった。
京極のαが自分の“唯一”を見つけて番契約が結ぶことができれば、そのΩは掌中の珠のように慈しまれ幸福な生涯を送ることができた。
しかし、既に誰かの番であった場合。
それは例外なくΩにとって、いや周りをも巻き込んで悲惨な結果を招いた。
その性が最も強いが故に、唯一の番を奪われた事で理性を失い その獣性が顔を出すのだ。
過去、“αの中のα”によって何度も繰り返された悲劇。
奪われた“唯一”の番を取り戻すために 本来備えていたはずの並外れた自制心をかなぐり捨て、最上位のαとしての力を思うがままに振るう ───。
そこには躊躇も容赦もありはしなかった。
その番を時に恫喝し。 時に陥れ。
“唯一”本人が泣いて嫌がっても その手に収めた。
しかしそうしてまで手に入れたΩは、総じて短命だった。
本来の番と引き離されたΩは、ヒートを起こすたびに その最愛を奪った張本人のαに抱かれる。
当然 Ωは番以外との性交に 心も体も拒絶反応を起こす。
しかし、“唯一”と番うことができない絶望によって解放された京極のαの性は凄まじく、その交わりで“唯一”がどれほど苦しもうと構うことはなかった。
それは まるで獲物を食い散らかすように蹂躙された。
また、番契約を解消させることによって、性交時 Ωの肉体に拒絶反応が起こらなく無ったとしても、ヒートの度に 最愛の番を求める魂と αの種を貪欲に求めるΩの体との乖離に苦しむこととなった。
そうなると 京極のαがどれほど手を尽くしても、Ωはゆっくりと衰弱していき、その命を落としていったのである。
その悲劇を避けるために京極家は対策を練った。
その結果打ち立てられたのが 発情期前のΩを一所に集め、《京極の花嫁》をいち早く見出す事だった。
それこそが芳聖である。
57
あなたにおすすめの小説
カメラ越しのシリウス イケメン俳優と俺が運命なんてありえない!
野原 耳子
BL
★執着溺愛系イケメン俳優α×平凡なカメラマンΩ
平凡なオメガである保(たもつ)は、ある日テレビで見たイケメン俳優が自分の『運命』だと気付くが、
どうせ結ばれない恋だと思って、速攻で諦めることにする。
数年後、テレビカメラマンとなった保は、生放送番組で運命である藍人(あいと)と初めて出会う。
きっと自分の存在に気付くことはないだろうと思っていたのに、
生放送中、藍人はカメラ越しに保を見据えて、こう言い放つ。
「やっと見つけた。もう絶対に逃がさない」
それから藍人は、混乱する保を囲い込もうと色々と動き始めて――
変異型Ωは鉄壁の貞操
田中 乃那加
BL
変異型――それは初めての性行為相手によってバースが決まってしまう突然変異種のこと。
男子大学生の金城 奏汰(かなしろ かなた)は変異型。
もしαに抱かれたら【Ω】に、βやΩを抱けば【β】に定着する。
奏汰はαが大嫌い、そして絶対にΩにはなりたくない。夢はもちろん、βの可愛いカノジョをつくり幸せな家庭を築くこと。
だから護身術を身につけ、さらに防犯グッズを持ち歩いていた。
ある日の歓楽街にて、β女性にからんでいたタチの悪い酔っ払いを次から次へとやっつける。
それを見た高校生、名張 龍也(なばり たつや)に一目惚れされることに。
当然突っぱねる奏汰と引かない龍也。
抱かれたくない男は貞操を守りきり、βのカノジョが出来るのか!?
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
クローゼットは宝箱
織緒こん
BL
てんつぶさん主催、オメガの巣作りアンソロジー参加作品です。
初めてのオメガバースです。
前後編8000文字強のSS。
◇ ◇ ◇
番であるオメガの穣太郎のヒートに合わせて休暇をもぎ取ったアルファの将臣。ほんの少し帰宅が遅れた彼を出迎えたのは、溢れかえるフェロモンの香気とクローゼットに籠城する番だった。狭いクローゼットに隠れるように巣作りする穣太郎を見つけて、出会ってから想いを通じ合わせるまでの数年間を思い出す。
美しく有能で、努力によってアルファと同等の能力を得た穣太郎。正気のときは決して甘えない彼が、ヒート期間中は将臣だけにぐずぐずに溺れる……。
年下わんこアルファ×年上美人オメガ。
ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果
SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。
そこで雪政がひらめいたのは
「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」
アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈
ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ!
※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…
幼馴染みのハイスペックαから離れようとしたら、Ωに転化するほどの愛を示されたβの話。
叶崎みお
BL
平凡なβに生まれた千秋には、顔も頭も運動神経もいいハイスペックなαの幼馴染みがいる。
幼馴染みというだけでその隣にいるのがいたたまれなくなり、距離をとろうとするのだが、完璧なαとして周りから期待を集める幼馴染みαは「失敗できないから練習に付き合って」と千秋を頼ってきた。
大事な幼馴染みの願いならと了承すれば、「まずキスの練習がしたい」と言い出して──。
幼馴染みαの執着により、βから転化し後天性Ωになる話です。両片想いのハピエンです。
他サイト様にも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる