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第二部
47.謀略※
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よく寝た……ああ、もう日没か……。
私は欠伸をしながら、気配を隠したまま姿を己の姿に戻し、見えないように魔法を施した。
だからと言って、透明になれた訳ではないので、人にぶつからないように気をつけねばならぬ。
万能でないのが難点だが、魔法とはそういうものだ。これだって、本来なら敵の背後を取るのに最適な魔法だしな……。
ふふん。さて、今頃ルキウスはどうしているかな……焦っているだろうか……。
私がほくそ笑みながら、姿を鷹に変え、執務室付近まで飛んで行き、姿を隠すと、何やら騒がしかった。
皆で、私の事でも探しているのだろうか……。
「ルイーザ様! 何処ですか!?」
「殿下が、今日中に戻らないと、ルイーザ様付きの女官を全て殺すって言ってます!」
「ルイーザ様! お願いですから、戻ってきて下さい!」
女官たちの叫びが聞こえてきて、私は唖然としてしまった。
本当にクズだな……。
まあ、脅しだろうが……。ふむ、取り敢えず執務室に様子でも見に行くか……。
「…………………」
執務室に入るとルキウスが政務をしていたが、隅の方に女官たちが縛られて床に座らせられていた。
ああ、本当にクズだ。このような方法で、私を呼びつけようとするとは……。
取り敢えず、私は魔法を使い、女官たちの縄を解いてやった。
「えっ? あら……」
「ルイーザ様? ルイーザ様ですか?」
皆がキョロキョロしながら、喜んでいるが、さて、どうしたものか……。姿を出すのは癪に障るのだが。
「ルイーザ……話があるなら聞こう。さっさと姿を見せろ」
「………………」
ルキウスが書類に目を落としたまま、そう言ったので、私はルキウスの前で舌を出してやった。
ふんっ、見えぬから分からぬだろう! ルキウスの愚か者!
「ルイーザ。返事をせぬのなら、今ここで其方付きの女官を殺すぞ。元々、主を見失う此奴らの過失なのだ。裁かねばならぬ」
「クズ……」
私が姿と気配は消したまま、そう呟くとルキウスはニヤリと笑ったので、私は一瞬怯んでしまった。
何だ? 見える訳もなく、何処にいるかも分からぬ筈なのに、何故そのように余裕なのだ?
「ルイーザ……もう一度言う? 姿を見せろ」
「っ!」
そう言った瞬間、手首を掴まれたので、私は飛び上がってしまった。
何故だ? 気配も姿も消していて、見える筈もないのだぞ? そりゃ、確かに透明になれた訳ではなく、場所さえ的確に分かれば触れるが……。
まさか……先程の一言で場所を把握したとでも言うのか?
ルキウス……恐ろしい男だ……。というか、気持ちが悪い……。
「まあ良い。其方らは各自、仕事に戻れ。ご苦労であった」
「はい! ルイーザ様が見つかって良かったです!」
は? まさか……。
これは私を呼び出す為の茶番……?
私は、女官にまで謀られたと言うことか……。
その後、ルキウスは見えない私を部屋まで引っ張って行った。
くそっ、最悪だ。もう誰も信じてなんてやらぬからなっ!
「さて、ルドヴィカ。もう姿を現せ」
「嫌だ。ルキウスのばーか。手を離したら逃げてやるからな」
ずっと手を掴んでいるなんて不可能だ。
ルキウスだって、色々と忙しいし、私だけに構ってなんていられぬだろう。
「そうか……」
ルキウスはそう言い、私をベッドまで連れて行き、組み敷いたので、私はギョッとした。
な、な、何を考えているのだ!?
「見えなくとも触れるのだ。やりようはいくらでもある」
「いやいや、何を考えているのだ? この愚か者」
「ルドヴィカは、注意散漫になると変化の魔法が解ける傾向があるからな……さて、いつまでもつか……」
うっ、確かに痛みが酷かったり、驚いたりすると、魔法が解けてしまう弱点があるのは否めないが……。
くそっ……今回は絶対に解いてなどやらぬ。絶対に負けぬからな!
すると、ルキウスは私に口付けながら、着衣を乱していった。見えぬのに、器用だなとしか言いようがない。
「んんっ……っぅ、待っ……分かっているのか? 今、誰かに見られたら、すごく間抜けだぞ。1人で妄想交わりしてるようにしか見えぬぞ」
「…………………だから、どうした?」
一瞬、考えただろう? 絶対に間抜けに決まっているのだから、やめたほうが良いと思うが……。
「あっ、ちょっ……やめろっ……んんっ」
そんな事を考えていたら、ルキウスが私の乳首を舐めたから、私は体を跳ねさせてしまった。
「っ! んんぅ……やめっ、んんっ、んっ」
ルキウスに片方の乳首を舐められながら、もう片方の乳首を指で転がすように弄られて、私はビクビクと体を跳ねさせて、余裕がどんどん奪われていった。
「やぁっ、ルキ……ッウス、んんっ、やめ、ろ」
「クッ、早いな……もう魔法が解けているぞ」
「えっ? あ……これは……」
くそっ、最悪だ。またもやルキウスの思惑通りという事か……。情けない……。
「っ! やめっ、擦るなっ……あっ、ああっ……やめっ、んんっ」
「ずっとこれが欲しかったのだろう? 私に触れて欲しくて、挿れて欲しくて堪らなかったのだろう? 昨夜のように素直にねだれ」
「っ!」
ルキウスに秘所に擦り付けられながら、耳元でそう囁かれ、私は全身が沸騰しそうな程だった。
誰が欲しいなどと言ってやるものか、ルキウスなんて嫌いだ。
「んっ、んんぅ……ぜっ、たいにっ……嫌っ、ああっ!」
「クッ、無理をするな。今朝方まで、何度も泣きながら願っていたものだぞ」
「ばか、にするなっ……んんっ!」
ルキウスにとったら、私なんてオモチャでしかないのだ。気まぐれに優しくして愛でる時もあれば、とことん虐げてくる時もある。
ルキウスの気持ちが分からぬ。
「ルキ……ウス……なんて、きらいだっ……も、いやだっ……愚か、もの」
私が泣き出すと、ルキウスはふっと笑って、私の髪を撫で、優しく口付けてきた。
どうやら今は優しくしてくれる気分らしい……このクズ……。
「んんっ、ルキ、ウスッ……んぅ」
そんなルキウスに優しくされて悦ぶ私も救いようのない愚か者なのだろうな。
「んっ! んんぅ!! んん───っ!!」、
口付けをされながら、突然ナカに突き入れられて、私はルキウスにしがみつきながら、イッてしまった。
ああ、なんとお手軽な……なんとチョロい……。くそっ、情けない……。
そして、私はその後、散々ルキウスに優しくされ、泣いて縋りつく愚かな失態を演じた。
「…………誰か私を穴に埋めてくれ。穴があったら入りたい気分だ」
「はっ、ふざけている場合か、愚か者」
私が枕に顔を突っ伏していると、ルキウスに鼻で笑われたので、私がジロっと睨むとルキウスに鼻をつままれてしまった。
私がジタバタと暴れ捥がくと、暫くしてやっと解放してくれたが、ルキウスはずっと悪魔のような笑みを浮かべている。
「息が出来ぬだろう! 普通、鼻をつまむとしても、もう少しやり方というものがあるだろう!」
「うるさい。…………ルドヴィカ」
「っ!」
突然、ルキウスに低い声音で呼ばれ、私はつい目を逸らしてしまった。逸らしてしまったのが、気に入らなかったのか、ルキウスに顔を痛い程に掴まれ、無理矢理目を合わされてしまった。
「気に入らぬ事があると、雲隠れをするのはやめろ」
「では、ルキウスも気に入らぬ事があると、私を虐げるのをやめろ」
「では、其方は良いのか? 上辺だけの私で。ルイーザの時のように、本心を隠したまま、ただ優しくされて、それで良いのか?」
「えっ!?」
上辺だけで本心を隠したまま……?
ルイーザの前でのような……偽りのルキウス……?
「それは嫌だ……」
「ならば、受け入れろ。私が感情的になり、虐げたくなるのは、ルドヴィカ……其方だけだ」
そ、それなら良いのか……?
い、いや、良くない! 良くないぞ!
「違う。本心から優しくして欲しいのだ!」
「今してやっただろう?」
「ずっとだ! 妻を優しく包み込む器すらないのか! このクズ!」
私は欠伸をしながら、気配を隠したまま姿を己の姿に戻し、見えないように魔法を施した。
だからと言って、透明になれた訳ではないので、人にぶつからないように気をつけねばならぬ。
万能でないのが難点だが、魔法とはそういうものだ。これだって、本来なら敵の背後を取るのに最適な魔法だしな……。
ふふん。さて、今頃ルキウスはどうしているかな……焦っているだろうか……。
私がほくそ笑みながら、姿を鷹に変え、執務室付近まで飛んで行き、姿を隠すと、何やら騒がしかった。
皆で、私の事でも探しているのだろうか……。
「ルイーザ様! 何処ですか!?」
「殿下が、今日中に戻らないと、ルイーザ様付きの女官を全て殺すって言ってます!」
「ルイーザ様! お願いですから、戻ってきて下さい!」
女官たちの叫びが聞こえてきて、私は唖然としてしまった。
本当にクズだな……。
まあ、脅しだろうが……。ふむ、取り敢えず執務室に様子でも見に行くか……。
「…………………」
執務室に入るとルキウスが政務をしていたが、隅の方に女官たちが縛られて床に座らせられていた。
ああ、本当にクズだ。このような方法で、私を呼びつけようとするとは……。
取り敢えず、私は魔法を使い、女官たちの縄を解いてやった。
「えっ? あら……」
「ルイーザ様? ルイーザ様ですか?」
皆がキョロキョロしながら、喜んでいるが、さて、どうしたものか……。姿を出すのは癪に障るのだが。
「ルイーザ……話があるなら聞こう。さっさと姿を見せろ」
「………………」
ルキウスが書類に目を落としたまま、そう言ったので、私はルキウスの前で舌を出してやった。
ふんっ、見えぬから分からぬだろう! ルキウスの愚か者!
「ルイーザ。返事をせぬのなら、今ここで其方付きの女官を殺すぞ。元々、主を見失う此奴らの過失なのだ。裁かねばならぬ」
「クズ……」
私が姿と気配は消したまま、そう呟くとルキウスはニヤリと笑ったので、私は一瞬怯んでしまった。
何だ? 見える訳もなく、何処にいるかも分からぬ筈なのに、何故そのように余裕なのだ?
「ルイーザ……もう一度言う? 姿を見せろ」
「っ!」
そう言った瞬間、手首を掴まれたので、私は飛び上がってしまった。
何故だ? 気配も姿も消していて、見える筈もないのだぞ? そりゃ、確かに透明になれた訳ではなく、場所さえ的確に分かれば触れるが……。
まさか……先程の一言で場所を把握したとでも言うのか?
ルキウス……恐ろしい男だ……。というか、気持ちが悪い……。
「まあ良い。其方らは各自、仕事に戻れ。ご苦労であった」
「はい! ルイーザ様が見つかって良かったです!」
は? まさか……。
これは私を呼び出す為の茶番……?
私は、女官にまで謀られたと言うことか……。
その後、ルキウスは見えない私を部屋まで引っ張って行った。
くそっ、最悪だ。もう誰も信じてなんてやらぬからなっ!
「さて、ルドヴィカ。もう姿を現せ」
「嫌だ。ルキウスのばーか。手を離したら逃げてやるからな」
ずっと手を掴んでいるなんて不可能だ。
ルキウスだって、色々と忙しいし、私だけに構ってなんていられぬだろう。
「そうか……」
ルキウスはそう言い、私をベッドまで連れて行き、組み敷いたので、私はギョッとした。
な、な、何を考えているのだ!?
「見えなくとも触れるのだ。やりようはいくらでもある」
「いやいや、何を考えているのだ? この愚か者」
「ルドヴィカは、注意散漫になると変化の魔法が解ける傾向があるからな……さて、いつまでもつか……」
うっ、確かに痛みが酷かったり、驚いたりすると、魔法が解けてしまう弱点があるのは否めないが……。
くそっ……今回は絶対に解いてなどやらぬ。絶対に負けぬからな!
すると、ルキウスは私に口付けながら、着衣を乱していった。見えぬのに、器用だなとしか言いようがない。
「んんっ……っぅ、待っ……分かっているのか? 今、誰かに見られたら、すごく間抜けだぞ。1人で妄想交わりしてるようにしか見えぬぞ」
「…………………だから、どうした?」
一瞬、考えただろう? 絶対に間抜けに決まっているのだから、やめたほうが良いと思うが……。
「あっ、ちょっ……やめろっ……んんっ」
そんな事を考えていたら、ルキウスが私の乳首を舐めたから、私は体を跳ねさせてしまった。
「っ! んんぅ……やめっ、んんっ、んっ」
ルキウスに片方の乳首を舐められながら、もう片方の乳首を指で転がすように弄られて、私はビクビクと体を跳ねさせて、余裕がどんどん奪われていった。
「やぁっ、ルキ……ッウス、んんっ、やめ、ろ」
「クッ、早いな……もう魔法が解けているぞ」
「えっ? あ……これは……」
くそっ、最悪だ。またもやルキウスの思惑通りという事か……。情けない……。
「っ! やめっ、擦るなっ……あっ、ああっ……やめっ、んんっ」
「ずっとこれが欲しかったのだろう? 私に触れて欲しくて、挿れて欲しくて堪らなかったのだろう? 昨夜のように素直にねだれ」
「っ!」
ルキウスに秘所に擦り付けられながら、耳元でそう囁かれ、私は全身が沸騰しそうな程だった。
誰が欲しいなどと言ってやるものか、ルキウスなんて嫌いだ。
「んっ、んんぅ……ぜっ、たいにっ……嫌っ、ああっ!」
「クッ、無理をするな。今朝方まで、何度も泣きながら願っていたものだぞ」
「ばか、にするなっ……んんっ!」
ルキウスにとったら、私なんてオモチャでしかないのだ。気まぐれに優しくして愛でる時もあれば、とことん虐げてくる時もある。
ルキウスの気持ちが分からぬ。
「ルキ……ウス……なんて、きらいだっ……も、いやだっ……愚か、もの」
私が泣き出すと、ルキウスはふっと笑って、私の髪を撫で、優しく口付けてきた。
どうやら今は優しくしてくれる気分らしい……このクズ……。
「んんっ、ルキ、ウスッ……んぅ」
そんなルキウスに優しくされて悦ぶ私も救いようのない愚か者なのだろうな。
「んっ! んんぅ!! んん───っ!!」、
口付けをされながら、突然ナカに突き入れられて、私はルキウスにしがみつきながら、イッてしまった。
ああ、なんとお手軽な……なんとチョロい……。くそっ、情けない……。
そして、私はその後、散々ルキウスに優しくされ、泣いて縋りつく愚かな失態を演じた。
「…………誰か私を穴に埋めてくれ。穴があったら入りたい気分だ」
「はっ、ふざけている場合か、愚か者」
私が枕に顔を突っ伏していると、ルキウスに鼻で笑われたので、私がジロっと睨むとルキウスに鼻をつままれてしまった。
私がジタバタと暴れ捥がくと、暫くしてやっと解放してくれたが、ルキウスはずっと悪魔のような笑みを浮かべている。
「息が出来ぬだろう! 普通、鼻をつまむとしても、もう少しやり方というものがあるだろう!」
「うるさい。…………ルドヴィカ」
「っ!」
突然、ルキウスに低い声音で呼ばれ、私はつい目を逸らしてしまった。逸らしてしまったのが、気に入らなかったのか、ルキウスに顔を痛い程に掴まれ、無理矢理目を合わされてしまった。
「気に入らぬ事があると、雲隠れをするのはやめろ」
「では、ルキウスも気に入らぬ事があると、私を虐げるのをやめろ」
「では、其方は良いのか? 上辺だけの私で。ルイーザの時のように、本心を隠したまま、ただ優しくされて、それで良いのか?」
「えっ!?」
上辺だけで本心を隠したまま……?
ルイーザの前でのような……偽りのルキウス……?
「それは嫌だ……」
「ならば、受け入れろ。私が感情的になり、虐げたくなるのは、ルドヴィカ……其方だけだ」
そ、それなら良いのか……?
い、いや、良くない! 良くないぞ!
「違う。本心から優しくして欲しいのだ!」
「今してやっただろう?」
「ずっとだ! 妻を優しく包み込む器すらないのか! このクズ!」
応援ありがとうございます!
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