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オナニーしてる!?
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大通りに出てタクシーを見つけ、それに飛び乗って雅仁の部屋に行き、玄関の前で何度か深呼吸をする。そしてドアベルを鳴らした。でも応答はない。
いないのかしら……? まだ仕事?
私は鞄からスマートフォンを取り出し、彼に連絡を入れようとメッセージアプリを立ち上げる。が、はたと止まる。
もし、昨日の女性と会っている最中だったら?
大切な話をしに来たのに、帰れと言われたらいやだ。そう思った私は、鞄の中にスマートフォンをしまい、持っている合鍵で彼の部屋に入った。
中で待っていればいいのよ。中で。
玄関を開け、中に入り廊下を進むと、天井のライトが自動でつく。けれども、中からの反応はない。
「やっぱりいないのね」
残業しているのか。それとも、密会しているのか。どちらかしらね。
そう思ってリビングに入ると、寝室のほうに気配を感じた。あれ? やっぱりいるのかしら……と思い、近寄ると荒い息が聞こえる。
まさか……
まさか、この中で昨日の女性とお楽しみ中?
私は両手で口を押さえて、震える足で一歩後退った。
もし、そうだったらどうしよう。私とはまだ一度もそういうことをしたことがないのに、会ったばかりの人とはできるんだ……
そう思うと、胸がつきんと痛くなった。
ぎゅっと胸元を掴んで、痛い胸と苦しい呼吸を整える。
この中で浮気が行われているなら、それは間違いなく婚約破棄の材料になる。言い逃れはできない。婚約をなかったことにしようと思ってここに来たのだから、むしろ好都合ではないのかと、自分に言い聞かせて、二、三度深呼吸をして、ドアノブに手をかけた。
とっちめてやるんだから!
「っ、明子」
え?
そーっと少しだけ開けて覗き込むと、そこには雅仁しかいなかった。彼は帰ってきて、そんなに時間が経っていないのかスーツのままだ。ジャケットすら脱がずに、ベッドに腰掛けて、私の名前を呼びながら右手を規則的なリズムで動かしている。
予想していた光景と違って、私は自分の見たものが信じられず、目を擦って二、三度瞬きをする。
けど、私の目に映るものは何も変わらない。
彼は眉間に皺を寄せ、熱い息を吐いている。スラックスの前だけをくつろげて――熱り勃ったモノを上下に扱いている。
「明子……っ、明子、好きだ。愛している……。はぁはぁ、お前を抱けたらいいのにっ」
「!?」
彼の中心はとても熱くはちきれそうなのに、彼はなんだかとても苦しそうだ。ドアの隙間から覗き込んでいるので、表情まで見えないけど、なんだか声に罪悪感が滲み出ている気がする。
でもそんなことより、私は彼の口から出た私の名前と「好きだ、愛している」という言葉に意識をすべてもっていかれた。
「嘘でしょ……」
私は口元を手で押さえながら、小さな声で呟いた。
彼との付き合いは長い。でも、彼が自分自身を慰めているところなんて、はじめて見た。しかも、私の名前を呼んで――
ここからじゃ、よく見えない。もっと見たい。
その欲望のままに、私は気づかれないようにドアの隙間から姿勢を低くして、部屋の中に入った。ベッドの陰に隠れ、顔を覗かせる。
でも、彼は夢中なせいか気づいていないようだ。
ホッと胸を撫で下ろす。
雅仁の熱い屹立が、彼の手の中でビクビクと脈打っているのが、近づいたことでよく見えるようになった。それを見ていると、なんだか変な気分になってくる。この部屋の中に流れている淫靡な空気のせいだろうか?
すごい……。
雅仁の自慰行為を見ていると、まだ男を知らないのに、じんわりと体が熱くなっていくのが分かる。
彼の劣情が嬉しい。婚約破棄を突きつけに来たはずなのに、思わず彼の想いを知って、嬉しくてたまらなかった。
「私、どうしよう……」
下着、すごく濡れてる……
「誰だ!?」
「っ!?」
バッと振り返った雅仁の声に、私はハッとして自分の口を覆った。
私、今声を出してた?
「明子。お前、こんなところで何して……」
「えっと……」
なんと言っていいか分からなくて口籠る。すると、彼は低い声で「明子」ともう一度私の名前を呼んだ。その声音に体がびくっと跳ねる。
「あ、あの……ごめんなさい。違うの。見るつもりとかじゃなくて……。えっと、私、昨日、雅仁がほかの女性と楽しそうにしているところを見ちゃったの。だから、雅仁がその人を好きなら……身を引こうと思って、婚約を破棄しようって言いに来たんだけど。えっと……ま、雅仁は私のこと好きなの? 本当に?」
雅仁の追及するような視線に、しどろもどろになりながら、なんとか伝える。すると、雅仁の眉がぴくりと動いた。
「は? 昨日? 女性?」
「ほ、ほら、昨日銀座の高級ホテルの入り口で、女性と楽しそうに話していたでしょ? 中に入っていったのを見ていたのよ。てっきり私、ホテルで逢引きしているのかと思って……」
「……昨日は株主総会だった。あそこのホテルは会場が大きいし使い勝手もいい。うちはいつもあのホテルを使っているんだが、知らなかったのか? それにその女性は父の秘書だ」
「父の秘書……?」
雅仁の言葉を反芻すると、ぶわっと汗が出てくる。自分のした勘違いがどれほど愚かだったのかを自覚して、私は口をぱくぱくさせた。
梓が早まらずによく考えたほうがいいと忠告してくれていたのに。私ったら、バカな勘違いを……
血の気が引いていく。床にぺたんと座り込むと、雅仁がゆっくりと近づいてきた。
いないのかしら……? まだ仕事?
私は鞄からスマートフォンを取り出し、彼に連絡を入れようとメッセージアプリを立ち上げる。が、はたと止まる。
もし、昨日の女性と会っている最中だったら?
大切な話をしに来たのに、帰れと言われたらいやだ。そう思った私は、鞄の中にスマートフォンをしまい、持っている合鍵で彼の部屋に入った。
中で待っていればいいのよ。中で。
玄関を開け、中に入り廊下を進むと、天井のライトが自動でつく。けれども、中からの反応はない。
「やっぱりいないのね」
残業しているのか。それとも、密会しているのか。どちらかしらね。
そう思ってリビングに入ると、寝室のほうに気配を感じた。あれ? やっぱりいるのかしら……と思い、近寄ると荒い息が聞こえる。
まさか……
まさか、この中で昨日の女性とお楽しみ中?
私は両手で口を押さえて、震える足で一歩後退った。
もし、そうだったらどうしよう。私とはまだ一度もそういうことをしたことがないのに、会ったばかりの人とはできるんだ……
そう思うと、胸がつきんと痛くなった。
ぎゅっと胸元を掴んで、痛い胸と苦しい呼吸を整える。
この中で浮気が行われているなら、それは間違いなく婚約破棄の材料になる。言い逃れはできない。婚約をなかったことにしようと思ってここに来たのだから、むしろ好都合ではないのかと、自分に言い聞かせて、二、三度深呼吸をして、ドアノブに手をかけた。
とっちめてやるんだから!
「っ、明子」
え?
そーっと少しだけ開けて覗き込むと、そこには雅仁しかいなかった。彼は帰ってきて、そんなに時間が経っていないのかスーツのままだ。ジャケットすら脱がずに、ベッドに腰掛けて、私の名前を呼びながら右手を規則的なリズムで動かしている。
予想していた光景と違って、私は自分の見たものが信じられず、目を擦って二、三度瞬きをする。
けど、私の目に映るものは何も変わらない。
彼は眉間に皺を寄せ、熱い息を吐いている。スラックスの前だけをくつろげて――熱り勃ったモノを上下に扱いている。
「明子……っ、明子、好きだ。愛している……。はぁはぁ、お前を抱けたらいいのにっ」
「!?」
彼の中心はとても熱くはちきれそうなのに、彼はなんだかとても苦しそうだ。ドアの隙間から覗き込んでいるので、表情まで見えないけど、なんだか声に罪悪感が滲み出ている気がする。
でもそんなことより、私は彼の口から出た私の名前と「好きだ、愛している」という言葉に意識をすべてもっていかれた。
「嘘でしょ……」
私は口元を手で押さえながら、小さな声で呟いた。
彼との付き合いは長い。でも、彼が自分自身を慰めているところなんて、はじめて見た。しかも、私の名前を呼んで――
ここからじゃ、よく見えない。もっと見たい。
その欲望のままに、私は気づかれないようにドアの隙間から姿勢を低くして、部屋の中に入った。ベッドの陰に隠れ、顔を覗かせる。
でも、彼は夢中なせいか気づいていないようだ。
ホッと胸を撫で下ろす。
雅仁の熱い屹立が、彼の手の中でビクビクと脈打っているのが、近づいたことでよく見えるようになった。それを見ていると、なんだか変な気分になってくる。この部屋の中に流れている淫靡な空気のせいだろうか?
すごい……。
雅仁の自慰行為を見ていると、まだ男を知らないのに、じんわりと体が熱くなっていくのが分かる。
彼の劣情が嬉しい。婚約破棄を突きつけに来たはずなのに、思わず彼の想いを知って、嬉しくてたまらなかった。
「私、どうしよう……」
下着、すごく濡れてる……
「誰だ!?」
「っ!?」
バッと振り返った雅仁の声に、私はハッとして自分の口を覆った。
私、今声を出してた?
「明子。お前、こんなところで何して……」
「えっと……」
なんと言っていいか分からなくて口籠る。すると、彼は低い声で「明子」ともう一度私の名前を呼んだ。その声音に体がびくっと跳ねる。
「あ、あの……ごめんなさい。違うの。見るつもりとかじゃなくて……。えっと、私、昨日、雅仁がほかの女性と楽しそうにしているところを見ちゃったの。だから、雅仁がその人を好きなら……身を引こうと思って、婚約を破棄しようって言いに来たんだけど。えっと……ま、雅仁は私のこと好きなの? 本当に?」
雅仁の追及するような視線に、しどろもどろになりながら、なんとか伝える。すると、雅仁の眉がぴくりと動いた。
「は? 昨日? 女性?」
「ほ、ほら、昨日銀座の高級ホテルの入り口で、女性と楽しそうに話していたでしょ? 中に入っていったのを見ていたのよ。てっきり私、ホテルで逢引きしているのかと思って……」
「……昨日は株主総会だった。あそこのホテルは会場が大きいし使い勝手もいい。うちはいつもあのホテルを使っているんだが、知らなかったのか? それにその女性は父の秘書だ」
「父の秘書……?」
雅仁の言葉を反芻すると、ぶわっと汗が出てくる。自分のした勘違いがどれほど愚かだったのかを自覚して、私は口をぱくぱくさせた。
梓が早まらずによく考えたほうがいいと忠告してくれていたのに。私ったら、バカな勘違いを……
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