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本編

27.無茶がしたい

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「やだ、そんなところっ……」
「どうして?」
「だって……きたなっ、んんぅ、やぁ」
「汚くないよ。シシーは全て綺麗だよ」


 フィリップが私の足の指を舐めている。
 指の一本一本を丁寧に舐められると腰のあたりがざわめく気がする。

 でも、足の指は恥ずかしさもあるのだけれど、気分的に申し訳なるというか……少し複雑な気持ちになってしまう。

 そ、それに、フィリップは指を挿れて良い? って聞いた筈なのに、どうして足の指を舐めているのかしら?


「んんっ!」

 ツーッと足の裏からふくらはぎへと舌が上がってきて、それにあわせてフィリップの指が内股をなぞった。

 ゾクゾクする気がする……。


「やっ、あしで……感じちゃうなんて……やなのっ」
「どうして?」


 フィリップが手と舌を止めて、私の顔を覗き込んで、よしよしと頭を撫でてくれたから、私はホッとしてフィリップに抱きついた。

 だって……だって……。


「だって……変だもの……足の指やふくらはぎだとか、何だか……変です」
「変じゃないよ。私としてはシシーが全身何処でも感じてくれるようになったら嬉しいよ」


 嬉しい……?
 で、でも、全身何処でも感じるようになったら、色々と大変だと思うの……。

 ただでさえ、イクと寝ちゃうのに……更に我慢が出来ないようになったら、フィリップに我慢を強いる事になってしまうもの……。


「いっぱい……感じたら、フィリップを我慢させてしまいます……」
「大丈夫だよ。我慢なんてしていないから」
「で、でも……」
「私はシシーが我慢をして、その事ばかりを気にして気持ち良くなれない方が辛いかな」


 …………私が我慢する方が辛い?
 でも、私もフィリップに気持ち良くなって欲しいの。フィリップは私が気持ち良くなると嬉しいと言うけれど、私だってフィリップが気持ち良くなってくれると嬉しい。


「なら、一緒に気持ち良くなりたいです。私だけじゃなくて、一緒に……」
「そうだね」


 シシーは良い子だね、とまるで幼な子をあやすかのように頭を撫でてくれるフィリップに、私はぎゅうと抱きついた。

 いつも貰うばかりじゃなく、私からもフィリップに嬉しい気持ちや幸せな気持ちをあげられるようになりたい……。


「フィリップ……挿れて下さい……」

 はしたないお願いだと分かってる。
 でも、フィリップはそんな風に思ったりしないから、安心してお願いが出来る気がする……。


「では、まず指から慣らしていこうか」
「はい……」


 フィリップが私の横に寝て、腕を回して私の肩を抱いた。

 私が怖くないように、優しく抱きしめて、時折り頭を撫でてくれる。額や頰にちゅっちゅっ、と優しい口付けを落としながら、フィリップの指が秘所の入り口に触れた。

 それだけで、くちゅ、と音がする気がして恥ずかしい。


「あっ……んぅ、っぁ」
「痛かったら言うんだよ?」
「は、はい……だ、ぃじょうぶ、っです」


 なぞるように入り口を触られると、体がゾクリ、と震える。私がギュッと抱きつくと、フィリップが「力を抜いて」と言ったから、私は小さく息を吐いて力を抜いた。


「あっ」


 すると、つぷっと指先がナカに入ってきた。
 異物感や違和感は前に比べると少ないように思う……。


 ゆっくりとナカに指が入ってくる感覚に、違和感よりも気持ち良さが勝つ気がする……。


 指の動きにフィリップが私の事を、凄く気遣って大切にしてくれているのが分かる。
 私が痛くないように、怖くないように、気遣ってくれているのが伝わってくる……それがとても嬉しかった。


 その優しさに応えたいと思った。


「ふっ、ふぁ、ぁっ……」
「痛くない?」
「き、気持ち、いっ、です」


 良かったとホッと息を吐きながら、フィリップの指がナカを少し広げるように動いた。優しく内壁を擦り、ゆっくりとナカを広げるように動く指に、私は気持ちが良かった。


 フィリップは「無理しないで」と言うけれど、本当に気持ちが良い……。


「フィリップ……っ、はぁ……フィリップ……」
「痛い?」

 慌てて指を抜こうとするフィリップの手をギュッと掴んで、抜けないように押さえるとフィリップが「シシー、駄目だよ」と言った……。

 でも違うの……そうじゃないの……。


「フィリップ……私は、そこまで……気にかけてもらわなければ、ならないほど……脆くも弱くもない、です」
「シシー、そんなつもりでは……」
「フィリップが大切に扱ってくれているのは分かります。でも、私は多少無茶したって壊れたりしません」


 寧ろ、無茶がしたい。
 貴方とひとつになりたい。

 まだ指一本で、こんなにも心配をしていたら、いつまで経っても前に進めない気がする。

 フィリップの優しさは嬉しい。
 私が怖い思いをしないように、ジュリオとの恐怖を呼び起こさないように、気を付けてくれているのも分かってる。


「シシー」
「痛くしても良いの……。全部頑張るから……」


 私がフィリップの顔をジッと見つめると、フィリップの喉がゴクリと鳴ったのが分かった。
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