餓鬼

ツヨシ

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運転席の窓に、老婆の顔と両手がべたりと張り付いていた。

俺の反応から警官も気付き、老婆を見た。

「ちょっ、おばあさん。いったいなにしてるんですか」

すると警官がドアに手をかけていないのに、ドアが開いた。

「えっ?」

老婆が上半身をパトカーの中に入れた。

信じられないほどに、素早い動きだった。

そしてそのまま警官の首に、かぶりついた。

「ぎゃっ!」

警官が女のような悲鳴を上げた。

首から大量の血が勢いよく噴出している。

あまりにも想像を超えた情景に、俺は全く動くことができなかった。

警官はもがいていたが、老婆の左手が頭をがっちりと抱え込んでおり、逃げ出すことができないでいた。

それを恐怖そのものとして見ていた俺は、やがて気付いた。

老婆の口が警官の首の中心近くまで押し入っている。

そのあたりの肉がなくなっていた。

喰っているのだ。

警官の首を老婆が。
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