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そう言われても、昔から世界上で幽霊と呼ばれている存在が、今俺に語りかけているのだ。

怖がらないほうがどうかしている。

するとまた言葉が入って来た。

――あっ、そうそう。明日学校でテストがあるでしょ。

――なんでそんなこと知ってる。

俺は思わず声ではなくて頭の中で返事をした。

それは幽霊に伝わったようだ。

返事が返ってきた。

――あしたのテスト、教科書の19ページから22ページまでが集中的に出題されるわよ。

――えっ、そうなの?

明日、俺が苦手な教科のテストがある。

だからどこかに山を張ろうと思っていたのだが、どこに山を張っていいのかわからなくて悩んでいたのだ。

それで半ば諦めてぼんやりとしていたのだが。

――ほんとうよ。わたしにはわかるの。生きている人間にはわからないようなことでもね。

口調、といっても声が聞こえるわけではないのだが、その語りから若い女性と思える幽霊が言葉を伝えてきた。

俺は聞いた。

――ほんとうに、ほんとうだな。

――ほんとうに、ほんとうよ。範囲が狭いから今からでも間に合うわ。頑張ってね。

そう言うと、そいつの存在を感じなくなった。

俺はその辺に放り投げていた教科書を手に取ると、19ページから22ページまでを何度となく読み返した。
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