一人暮らしだけど一人暮らしじゃない

ツヨシ

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――まさかあの廃病院に戻ったんじゃあないだろうな。

ミキにいったいなにがあったというのか。

あせり、不安に囚われ、いろいろ考えて眠れなくなってしまった。


次の日、俺は完全に寝坊してしまった。

午前の講義はもはや間に合わない。

ミキに語りかけてみたが反応は無い。

今まで朝にミキが返事をくれたことはなかったのだが、それでもゆうべも反応がなかったので、不安でどうにかなりそうだ。

――一応午後の講義は出ておくか。

俺は大学に向かった。

講義は出たが、教授の言うことは一言も俺の頭の中に入ってこなかった。

なにかしゃべっているのだろうが、俺には口だけがぱくぱく動いているようにしか見えなかったものだ。


夕方にアパートに帰ってすぐ、ミキに語りかけたが返事はない。

それでも何回となく語りかけていてところ、数時間経ってからようやく返事が返ってきた。

――ただいま。

――おおっ、帰ってきた。よかったよかった。

――ごめんなさい。むこうである人に捕まっていて、昨日は帰れなかったの。夕方ごろには帰っていたんだけど、うまく話しかけることができなくて。疲れちゃったのね。

――そんなに疲れていたのか?

――幽霊になりたてだからね。どうやら人間は死んだら、あの世に行くのが自然みたいね。この世に留まっているのは不自然なことなの。だからこの世にいるだけで余計なエネルギーを使って疲れちゃうみたいなの。この世に長くいる霊は慣れてしまってそうでもないみたいだけど、わたしは死んでからそんなに経っていないので、まさとと話をするだけで疲れちゃうの。

――そうなんだ。話ができるのは嬉しいけど、あまり無理しないでね。疲れたら浅慮なく言ってね。

――ありがとう、まさと。
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