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今日も始まった。

恒例のやつ。

そして何十回かお互いの名前を呼び合った後、ミキがおやすみなさいを言ってその日は終わるのだ。


次の日大学に行くと、同じ講義の河本が話しかけてきた。

「昨日、熊田が俺のアパートに来たけれど、ここにはなにもいないと言っていた。でもあいつ、霊感があると言っているが、ほんとうにそんなものあるんだろうか?」

俺は「ある」と言いたかったが、もちろん言わなかった。

「さあ、どうだろううね。俺には霊感がないので、そこのところはよくわからんが」

「そうだな。俺にもよくわからんが。まあ、霊感があると言っているやつがここには幽霊はいないと言ってるんだから、それでいいことにするか」

「それでいいんじゃない。疑う根拠はないし。信じる根拠もないんだけど」

「まあ、それでよしとするか。いないということにしよう」

俺はあそこには七人の幽霊がいるとミキから聞いていたが、そのうちの誰一人河本にはついて行かなかったようだ。

まあ、あそこはけっこう有名な心霊スポットなので、わりと頻繁に人がやって来る。

そんなやつらにいちいちついて行ったら、七人いてもそのうちに一人もいなくなってしまうだろうし。

そもそも七人集まっているのは、ミキを除けば心霊スポットに面白半分でやって来る人間を驚かすために集まっているのだから。

ミキが毎回驚かすわけじゃあないと言っていたが、驚かすために六人も集まっているのに驚かさないときがあると言うのは不思議だが。

俺と河本のときも二人してミキを感じたこと以外はないもなかったし。

死んだことがないので幽霊の事情とか考えることはわからないが。

その後、河本とは他愛もない話をして別れた。


その日の夕方、アパートに帰ってミキに語りかけると、慌てたような返事があった。

――ちょっと待って。今とりこんでいるから。
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