そっとおやすみ

ツヨシ

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チャイムが鳴ったので玄関を開けると、お隣の近藤さんだった。

「あら、どうかしましたか」

「いや、特に用と言うわけではないのですが、なにかお困りのことでもあれば、言っていてだければと思いまして……」

なんだか妙に歯切れが悪い。

顔を見ると、私よりも近藤さんのほうが困っているように感じられる。

「いえ、今のところなにもありませんから。なにかありましたら言いますので、その時はよろしくお願いします」

「そうですか」

近藤さんは帰って行った。

――なんなのかしら?

居間に戻ってどれほども経たないうちに、再びチャイムが鳴った。

「はあい」

出るとご近所の大谷さんだった。

「どうしました」

「いや別に、特になにと言うわけではないのですが、様子を伺いに来たというかなんと言うか……」

ものの言い方も内容も、近藤さんとほぼ同じだった。

いったいどうしたと言うのだろう。

私も同じように答えた。

「特に何もないですよ。なにかあったら、その時に言いますから」

「でも、女手一つでは、なにかと大変でしょう。お子さんも小さいですし」

――女手一つ? この人はいったいなにを言っているのかしら?
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