極上の肉を、この俺に

ツヨシ

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一日が長い。

日付の変化は、宇崎が来ることでわかる。

しかしそれがどうしたと言うのだ。

何かしなければならないこともなく、何かしたくてもなにもない。

テレビもスマホもその他なにもかも。

何処見ても灰色の壁と床と天井しかなく、何を言っても誰も答えてはくれない。


目覚めてベッドに座っていると、宇崎がやって来た。

「下がれ」

数日前、思いつく限りの罵詈雑言の嵐を宇崎に浴びせたら、そのかわりに木刀の嵐のような攻撃を、全身に浴びるはめとなっていた。

体中のあちらこちらにまだ痛みが残っている。

俺は黙って下がった。

宇崎はいつものように着替えと食事を台車から下ろすと、食器や下着を台車に乗せて出て行った。

俺は今日のメニューを見た。

サラダ、野菜の煮物、パン、ご飯、焼き魚、煮魚、野菜しか入っていないシチュー、焼き豆腐、チョコレート、おかき。

同じだ。

毎日ほぼ同じなのだ。

栄養的には問題がないのだろうが、俺にとっては大きな問題があった。

とてつもなく大きな問題が。

そう、ここに閉じ込められてから、俺は一切れの肉も口にしていないのだから。
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