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だっこちゃん
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ショッピングモールで買い物をしている時に、出会った。
右腕に幼い少女が抱きついている女性だ。
女の子は両手両足を使ってその女性にしがみついていたが、そんな奇妙な光景にもかかわらず、周りにいる人たちはみな無反応だった。
それはそうだろう。
女の子はすでに死んでいて、普通の人には見えないからだ。
私には子供の頃からそういうものが見えていた。
最初は何事もなかったように振舞っていた私だが、どうにも気になって女に声をかけた。
あの時私は、どうかしていたのだ。
「あのう、失礼ですけど、お子さんですか?」
女は私を凝視した後に、言った。
「見えるのね。声をかけてくれてありがとう。それじゃあ」
女は空いた左手でまるで物のように少女を掴むと、私の右腕に向けてつき出した。
すると少女はそのまま私の右腕にしがみついた。
そして何も言わずに、異様に大きな黒目で私を見た。
「あなたみたいな人、早く見つけなさいよね」
その時、私は女の右腕が、わずかばかりだが黒ずんでいることに気付いた。
女はそのまま立ち去った。
あれからそれなりの時間が経ったが、まだ見つからない。
今まで以上に人ごみの中を出歩いているというのに。
まれに私の方、と言うよりも私の右腕あたりを見てぎょっとした表情を浮かべる人がいるのだが、話しかけてはくれない。
向こうから話しかけてくれないと、駄目なのだ。
一刻も早くそんな人を見つけないと。
何故なら少女がしがみついている私の右腕が、日に日に腐っていっているのだから。
終
右腕に幼い少女が抱きついている女性だ。
女の子は両手両足を使ってその女性にしがみついていたが、そんな奇妙な光景にもかかわらず、周りにいる人たちはみな無反応だった。
それはそうだろう。
女の子はすでに死んでいて、普通の人には見えないからだ。
私には子供の頃からそういうものが見えていた。
最初は何事もなかったように振舞っていた私だが、どうにも気になって女に声をかけた。
あの時私は、どうかしていたのだ。
「あのう、失礼ですけど、お子さんですか?」
女は私を凝視した後に、言った。
「見えるのね。声をかけてくれてありがとう。それじゃあ」
女は空いた左手でまるで物のように少女を掴むと、私の右腕に向けてつき出した。
すると少女はそのまま私の右腕にしがみついた。
そして何も言わずに、異様に大きな黒目で私を見た。
「あなたみたいな人、早く見つけなさいよね」
その時、私は女の右腕が、わずかばかりだが黒ずんでいることに気付いた。
女はそのまま立ち去った。
あれからそれなりの時間が経ったが、まだ見つからない。
今まで以上に人ごみの中を出歩いているというのに。
まれに私の方、と言うよりも私の右腕あたりを見てぎょっとした表情を浮かべる人がいるのだが、話しかけてはくれない。
向こうから話しかけてくれないと、駄目なのだ。
一刻も早くそんな人を見つけないと。
何故なら少女がしがみついている私の右腕が、日に日に腐っていっているのだから。
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