鬼哭

ツヨシ

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「さすがに手強かったわね。自分自身だから当たり前だけど」

「私の敵が離れてくれたのがきっかけとなったな」

「ああ、あんなチャンス、逃す手はないぜ」

「それにしてもあいつら、もとは一つだったのに協力し合って戦うという発想はなかったみたいね」

「能力や戦闘力はコピーできても、思考まではコピー出来なかったようだな」

「よっしゃあああ。あとはラスボスだけだぜ」

「鬼哭ね」

「そうだ」

「それじゃあ疲れたから、一眠りするぜ」

「あたいもそうするわ」

魁斗と紫苑はその場に寝転がり、瞬時で寝付いてしまった。

飛燕が言った。

「疲れてはいますが、スライムのときのように気を全て使い果たしたわけではないですから、そのうち起きますよ。では私も横にならせてもらいますね」

飛燕はそう言うと、二人と同じようにその場で眠ってしまった。

清武は再び待つこととなった。


清武は待った。

すでに西にあった太陽は徐々に下がって行き、今は地平線に半分近く沈んみ、あたりを赤く染めた。

すると魁斗、紫苑、飛燕の三人がむっくりと起き上がった。

また三人同時に起きたのだ。

もちろん事前にそれを示し合わせるような行動は見受けられなかった。

「おう、回復したぜ」

「元気もりもり、ビンビンね」

「それじゃあ行くか」

三人は歩き出し、いつものように清武が後をついて行く。
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