深き水の底に沈む

ツヨシ

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正也はそれに慣れてしまい、それが当たり前のことだと思うようになっていった。
はるみもみまも、似たような感じだと思われた。
そして夜。
就寝。

次の日、一応捜索はした。
村の中。あてもなく。
少しの時間をおいて、四体の化け物が現れた。
昨日と同じ。
どの化け物も近くには現れなかった。
逃げる必要はない。
なんの成果もないまま、洞窟に帰る。
座る。
黙る。
洞窟に帰ってから、正也は考えた。
この洞窟ははたして安全なのだろうか。
洞窟のサイズ的には、化け物が出現できる空間はある。
今のところは現れていないが、今後も現れないと言う保証はどこにもない。
しかしさらに考えた。
この村に安全な場所はないだろうと、住職も言っていた。
すると結局どこにいても同じと言うことになる。
この洞窟のいいところは、村も山も見ることなく休めるところだ。
死人の怨念でできた村や山など見たくもない。
その点については村に比較的近いこの洞窟も、全く同じなのだが、正也にとっては気分的に全然違うのだ。
この洞窟も安全とは言えないのだが、自ら動き回ればそれだけ危険度が増すことは確かだ。
今後もやはり、毎日少しずつ捜索するのがいいのだろう。
その考えに絶対的な確信があるわけではないのだが、正也はそう考えた。
そのうちに外が暗くなる。
はるみが横になり、正也とみまも横になった。
あとは寝るだけ。
それ以外にない。

次の日は、昨日と同じくらいの時間内に、化け物を三体見た。
どれも至近距離ではなく、化け物はいつものように縦になった大きな目でこちらを見ているだけだ。
やがて消える。
この日の捜索もなにもない。
午前中には洞窟に帰った。
それからはなにもしない。
動くこともなく。
口を開くこともない。
そのうちに暗くなり、あとは眠りにつくだけだ。

次の日も同じくらいの時間、捜索をした。
現れた化け物は二体。
何回見てもあれは不気味だ。
おまけにこいつが人を喰うところを、数度見ている。
見てもそこには不快感しかない。
捜索は相変わらず成果なし。
洞窟に帰り、暗くなったら寝る。
それだけ。
同じことを繰り返すのみだ。

翌日、まるで判で押したかのように、同じくらいの時間、村の捜索をする。
化け物は見たが、一体だけだった。
正也は気づいた。
四体、三体、二体、一体。
日ごとに見る化け物の数が減っている。
――これは、もしかしたら……。
そう思ったが、口には出さなかった。
まるで確信が持てなかったからだ。
相変わらず無駄に時間を過ごし、そのまま洞窟へと帰る。
今日もそうなった。
おそらく明日もそうなるだろう。
こんなことがいつまで続くのか。
自問自答。わからない。

次の日は、捜索時間がいつもよりも伸びたように思う。
しかし化け物は一体も見ることがなかった。
――これはいよいよもしかしたら……。
正也はそう思った。
毎日見る化け物の数が減っていき、今日はついに見なかったのだ。
捜索は終わり。洞窟へ帰る。
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