ルナティック

ツヨシ

文字の大きさ
上 下
14 / 17

14

しおりを挟む
それにあの女の子のことが妙に気になっていた。

雨宮はあの小さな女の子がこの事件となにか関係があるのではないかと考えていたのだ。


雨宮が昼間から家にいると、警官が何度も訪ねてきた。

マスコミも野次馬も危険という理由で徹底的に排除されたために、今この住宅地にいるのは数十人の住人と、数十人の警察関係者しかいない。

警察は雨宮の安否を確認し、できれば今日一日だけでも家を留守にしたほうがいいと要請してきた。

しかしそれはあくまで要請であったため、雨宮はそのまま自宅にとどまった。


夜に向かう間に、雨宮の自宅の前を何度も警官が通った。

二人で組んで歩いている。

先月は常に二人で組むと言うことが徹底されていなかったために、警官一人が誰にも見られないまま殺されてしまったので、今回はそれを完全に防ぐつもりのようだ。

そして夜になった。

世界中が注目する夜だ。

雨宮は冷蔵庫に用意してあった食材を取り出して調理し、夕食とした。

買い物など外に出るつもりがないので、前もって用意していたものだ。

そして普段ならテレビを見て過ごすのだが、今回は読書にした。

テレビを見ていると、外でなにかあったときの音が聞こえないと思ったからだ。

そしてそれは雨宮が当初考えていたものとは違う形で現実となった。

玄関から音がした。

そんなには大きくない音だ。

雨宮がいる居間からは玄関は見えない。

雨宮は何も言わずに玄関に行った。
しおりを挟む

処理中です...