ルナティック

ツヨシ

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すると細いすりガラスの前を何かが横切った。

小さな人影。

間違いない。あの少女だ。

雨宮は玄関の戸を開けた。

するとあの少女がちょこんと立っていた。

少女は雨宮を見ると中に入ってきて、雨宮に抱きついた。

まるで幼子が父親に甘えるように。

雨宮もその少女を抱きしめた。

すると不意になにかが家に入って来た。

雨宮は視線を上げた。

そこには女がいた。

見た目は女だ。

しかし普通の女とはまるで違っていた。

時代劇で見るような服を着たその女の身長は二メートル以上あった。

おまけに肌の色がペンキでも塗りたくったかのように真っ青だ。

そした頭からは牛の角のようなものが二本生えていた。

女が言った。

「やっと見つけた」

雨宮はあまりのことに固まってしまったが、少女は反応した。

雨宮から離れて女に抱きついた。
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