暗闇で音がする

ツヨシ

文字の大きさ
2 / 4

しおりを挟む
その奇妙な音が、俺がこの部屋に越してきてから一ヶ月ほどの間、毎晩聞こえてくるのだ。

大家に相談しようかとも思ったが、とりあえずはやめておいた。

完全に無視できるほどの音量ではない。

しかし騒ぎ立てるほどの大きな音でもないのだ。

――なんなんだろうねえ、いったい……。

そんなある日、俺は気付かなくてもいいことに気付いてしまった。

普段の生活において、仕事から帰って夕食などの買い物をすませると、それから外出することなどない俺だが、その日は喉の渇きを覚えて何か冷たいものでもと冷蔵庫を探ってみたが、そこには飲料できるものなど何もなかった。

――アパートのすぐ傍に自動販売機があったな。

部屋を出ようとしたとき、隣からあの聞き飽きた音が聞こえてきた。

俺は舌打ちをし、そのまま部屋を出た。

そしてペットボトルを買い、部屋に戻ろうとしたときに、ふとアパートの三階を見上げた。

出入り口とは反対側の、唯一窓があるところだ。

俺の部屋には当然のことながら灯りが点いている。

今は午後九時だ。

しかし音の発生源である隣の部屋には、灯りが点いていなかったのだ。

――えっ?

カーテンは閉まっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

意味が分かると怖い話【短編集】

本田 壱好
ホラー
意味が分かると怖い話。 つまり、意味がわからなければ怖くない。 解釈は読者に委ねられる。 あなたはこの短編集をどのように読みますか?

意味がわかると怖い話

邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き 基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。 ※完結としますが、追加次第随時更新※ YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*) お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕 https://youtube.com/@yuachanRio

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...