闇の中の黒い闇

ツヨシ

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サメを怖がっていた並木がサメの歯のようなもので身体を切断されている。

と言うことは、犯人は並木がサメを怖がっていたことを知っていた可能性が、極めて高い。

とするならば、犯人がこの店にやってくる可能性も、同様に高い。

――まずはこの線で押してみるか。

大道はそう決めた。決めたら実行するのみである。


店と駐車場の間で待つ。

店の周りには駐車場を作るスペースがない。

かといってこの狭い路地でお客に路上駐車でもされたら、通報されるのは目に見えている。

そこで店側は、少し離れた場所にある駐車場の一部を借りていた。

三台しか停められないが、店は大型ショッピングモールではない。

それだけあれば十分なのだろう。

そこに車を停めて店内に入れば、それは間違いなく客である。

しかも店指定の場所に迷わず車を停めたのであれば、常連客とみていいだろう。

そして常連局であれば、並木のことを知っているに違いない。

犯人である可能性すらある。

店から帰るときは、もちろん自分の車へとむかう。

それを大道は待っていた。

店が開店する午前十時から、目立たぬところで目立たぬように。

以前張り込みをしていて近所の人に通報され、警察が来る騒ぎになったことがあるので、その点は十分に気をつけなければならない。

最初の客がやってきたのは、午後二時だった。

茶髪の若い男。

この時期ほとんどの人が長袖を着ているというのに、半そでに半ズボンという露出の多い格好をしていた。

もちろんお約束通りに日焼けをしている。

店内にいたのは三十分くらいのものか。

ビニール袋を手にして出てきた。

なにか小物を買ったようだ。

駐車場の手前で声をかけた。怪訝そうな男に名刺をわたす。

「えっと、記者さん?」

「ええ、そうです」

「と言うと、あの殺人事件の取材かなんか」

「そのとおりですね」

「へぇ、そうなんだ。記者さんねえ。……で、俺になにを聞きたいわけ?」

男の顔に少しばかりの期待の色が浮かんでいる。

たまにいるタイプの人間だ。

記者と言う普通の人間にとっては非日常的な人物を面白がる、またはなにか面白いことをやってくれるのではないかと考える人間だ。

あるいは記者と言う人種に接するだけで、自分が事件の主役にでもなったような気がする、あまりにも退屈なすぎる輩か。

そんな男を見ていると、大道は「おまえも殺人事件の容疑者の一人だ」と言ってやりたくなったが、もちろんそんなことは口にはしなかった。
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