7 / 47
7
しおりを挟む
サメを怖がっていた並木がサメの歯のようなもので身体を切断されている。
と言うことは、犯人は並木がサメを怖がっていたことを知っていた可能性が、極めて高い。
とするならば、犯人がこの店にやってくる可能性も、同様に高い。
――まずはこの線で押してみるか。
大道はそう決めた。決めたら実行するのみである。
店と駐車場の間で待つ。
店の周りには駐車場を作るスペースがない。
かといってこの狭い路地でお客に路上駐車でもされたら、通報されるのは目に見えている。
そこで店側は、少し離れた場所にある駐車場の一部を借りていた。
三台しか停められないが、店は大型ショッピングモールではない。
それだけあれば十分なのだろう。
そこに車を停めて店内に入れば、それは間違いなく客である。
しかも店指定の場所に迷わず車を停めたのであれば、常連客とみていいだろう。
そして常連局であれば、並木のことを知っているに違いない。
犯人である可能性すらある。
店から帰るときは、もちろん自分の車へとむかう。
それを大道は待っていた。
店が開店する午前十時から、目立たぬところで目立たぬように。
以前張り込みをしていて近所の人に通報され、警察が来る騒ぎになったことがあるので、その点は十分に気をつけなければならない。
最初の客がやってきたのは、午後二時だった。
茶髪の若い男。
この時期ほとんどの人が長袖を着ているというのに、半そでに半ズボンという露出の多い格好をしていた。
もちろんお約束通りに日焼けをしている。
店内にいたのは三十分くらいのものか。
ビニール袋を手にして出てきた。
なにか小物を買ったようだ。
駐車場の手前で声をかけた。怪訝そうな男に名刺をわたす。
「えっと、記者さん?」
「ええ、そうです」
「と言うと、あの殺人事件の取材かなんか」
「そのとおりですね」
「へぇ、そうなんだ。記者さんねえ。……で、俺になにを聞きたいわけ?」
男の顔に少しばかりの期待の色が浮かんでいる。
たまにいるタイプの人間だ。
記者と言う普通の人間にとっては非日常的な人物を面白がる、またはなにか面白いことをやってくれるのではないかと考える人間だ。
あるいは記者と言う人種に接するだけで、自分が事件の主役にでもなったような気がする、あまりにも退屈なすぎる輩か。
そんな男を見ていると、大道は「おまえも殺人事件の容疑者の一人だ」と言ってやりたくなったが、もちろんそんなことは口にはしなかった。
と言うことは、犯人は並木がサメを怖がっていたことを知っていた可能性が、極めて高い。
とするならば、犯人がこの店にやってくる可能性も、同様に高い。
――まずはこの線で押してみるか。
大道はそう決めた。決めたら実行するのみである。
店と駐車場の間で待つ。
店の周りには駐車場を作るスペースがない。
かといってこの狭い路地でお客に路上駐車でもされたら、通報されるのは目に見えている。
そこで店側は、少し離れた場所にある駐車場の一部を借りていた。
三台しか停められないが、店は大型ショッピングモールではない。
それだけあれば十分なのだろう。
そこに車を停めて店内に入れば、それは間違いなく客である。
しかも店指定の場所に迷わず車を停めたのであれば、常連客とみていいだろう。
そして常連局であれば、並木のことを知っているに違いない。
犯人である可能性すらある。
店から帰るときは、もちろん自分の車へとむかう。
それを大道は待っていた。
店が開店する午前十時から、目立たぬところで目立たぬように。
以前張り込みをしていて近所の人に通報され、警察が来る騒ぎになったことがあるので、その点は十分に気をつけなければならない。
最初の客がやってきたのは、午後二時だった。
茶髪の若い男。
この時期ほとんどの人が長袖を着ているというのに、半そでに半ズボンという露出の多い格好をしていた。
もちろんお約束通りに日焼けをしている。
店内にいたのは三十分くらいのものか。
ビニール袋を手にして出てきた。
なにか小物を買ったようだ。
駐車場の手前で声をかけた。怪訝そうな男に名刺をわたす。
「えっと、記者さん?」
「ええ、そうです」
「と言うと、あの殺人事件の取材かなんか」
「そのとおりですね」
「へぇ、そうなんだ。記者さんねえ。……で、俺になにを聞きたいわけ?」
男の顔に少しばかりの期待の色が浮かんでいる。
たまにいるタイプの人間だ。
記者と言う普通の人間にとっては非日常的な人物を面白がる、またはなにか面白いことをやってくれるのではないかと考える人間だ。
あるいは記者と言う人種に接するだけで、自分が事件の主役にでもなったような気がする、あまりにも退屈なすぎる輩か。
そんな男を見ていると、大道は「おまえも殺人事件の容疑者の一人だ」と言ってやりたくなったが、もちろんそんなことは口にはしなかった。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる