神楽咲く

ツヨシ

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「お風呂沸いているかしら」

「いや、まだ沸かしてない」

「そうなの」

神楽は迷うことなく風呂場に向かった。

此処からだと風呂場は見えず、初めて来た者には何処に風呂場があるのかわからないのだが。

でも見ると神楽は、足に履いた甲冑を脱いでいなかった。

木の廊下を金属の靴で歩いている。

「ちょ、ちょっと」

神楽には円羅の言葉など耳に届いてはいないようだ。

そのまま風呂場に入ると、浴槽に手をかざした。

すると浴槽に張ってあった水から湯気がたちこめてきた。

どうみてもお湯になっている。

「こ、これは」

すると神楽が何も言わずに帯を解いた。

すぐさま豊満な二つのふくらみが露となった。

「えっ」

円羅は慌てて風呂場を後にした。


円羅は待った。

それしかなかった。

とにかく神楽が風呂から出てこないことには、話にならない。

そのまま待っていると、風呂場から歌が聞こえてきた。

透き通った美しい声だ。

もともと綺麗な声だとは思っていたが、歌うとさらに美しくなる。

どこの国の言葉なのだろうか。

日本語、英語、中国語ではなかった。
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