龍神様はここにいる

ツヨシ

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私の実家はけっこうな田舎にありましたが、母の実家はさらに田舎でした。

海まで迫る大きな山のふもと。

海に流れ込む二つの川に挟まれた土地にある、離島のような村です。

二つの川に挟まれた土地というのは、いわゆる三角州のことです。

かの土地にはそれ以外の平地はありません。

集落の人は、みな漁業を営んでいました。

そして龍神様という、日本中にいく柱も存在していそうなありきたりな名前の神様を、代々崇めていました。

実際のところ、大正時代まではおよそ十年に一度、その龍神様に生きた人間をいけにえとして捧げていたのです。

さすがに昭和の時代に入ると、その風習はなくなりましたが。

しかしその後村では、十年から二十年に一度という割合ですが、村の子供が一人突然いなくなるという事件が、現実に起こっていたのです。

警察の見解としては、北の荒海にのまれたか、南の山で遭難してしまったか、と言うことですが、村の人たちは誰一人そうは思っていませんでした。

村の人たちは、いけにえを捧げられなくなった龍神様がお怒りになられて、村の子供をさらっているのだと考えていました。

そのせいか、母の実家があるというのに私が子供の頃は、村に足を踏み入れるということがありませんでした。

そして十八歳になった夏に、私は初めてその村に行ったのです。


深い山の道を、車で三時間以上走り続けて、ようやく村にたどり着きました。

想像をしていたよりも土地は広く、家も五十軒ほどありましたが、東、南、西に高い山があるために昼間でも少し薄暗く、潮風が溜まりやすい地形のためもあって、異様なほどに湿っぽくじめじめしていて、憂鬱さと陰気さを具体化したようなところでした。
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