ささやかな願い

ツヨシ

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ある日、友人のほのかから電話があった。

あの人に子供が生まれたそうだ。

「あんなぶさいくでちんちくりんの嫁さんだから、きっと子供もたいしたことはないわよね」

ほのかとあの人は同じ会社の同僚だ。

部署まで同じ。

だから知っているのだ。

私は「そうなの」とだけ言った。

三年前、私はあの人とつきあっていた。

本気で結婚も考えていたのだ。

しかしあるとき、ちょっとしたことでけんかをした。

私は意地をはって自分から連絡をしなかった。

そのうちにあの人から連絡があると思っていたのだ。

しかしいつまで経ってもあの人からの連絡はなかった。

完全に自分から連絡を入れるタイミングを逃し、一年半が過ぎたころ、あの人が結婚したことをほのかから告げられた。

すっとあの人からの連絡を待っていたというのに。

毎日、毎日。

その後もあの人のことを忘れたことはなかった。

いつも頭にあの笑顔が浮かんでくる。

毎日、毎日。

そこへほのかからの連絡が、また来たのだ。
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