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「あんたが外したから、こいつあたいに向かって来たんじゃないの。それともなに。なにもしないでこの大きな口に食われろとでも言いたいの」

「そういうわけじゃあ……」

「だったらいいじゃないの。飛燕もそう思うでしょ」

いきなり振られて少し驚いたが、言った。

「ああ。なにもしないでいると命にかかわるからな。向かってくるあやかしを攻撃するのは当然だ」

「飛燕もああ言ってるわよ」

「……」

私は思った。

それにしてもあのスピードであんな大きな顔がいきなり目の前に現れたというのに、双龍刀を二本とも正確に目に突き刺している。

今日初めてあやかしを見たばかりだというのに。

――こっちは正真正銘の頼もしいだな。

「見学だけのはずが、二度も化け物やっつけられるなんて、ほんとラッキーだわ」

「ふん、よかったな」

「あんたのおかげじゃないわよ」

「わかってるぜ。いちいちうるさいぜ」

「えへっへっ」
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