待ちわびた人

ツヨシ

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「さっきから……いったい何を?」

「さあさあ、先ほどから花嫁が、首を長くして待っていますよ。早く行っておあげなさい」

糸居が呆然と老人を見ていると、体格の良い二人の男に両脇を抱えられた。

「ちょ、ちょっと!」

男は糸居の声など届いていないかのように、糸居を引きずるようにして歩き出した。

糸居は抵抗したが、無駄だった。

体格もごついが、どんな鍛え方をしたのか見た目以上の力を男達は持っていた。

廊下を出てそのまま進み、突き当たりに着いた。

そこだけ戸が障子や木戸ではなく、頑丈な鉄の扉だった。

老人が大きな鍵を何処からか取り出し、扉を開けた。

その中は広い板間となっており、中央に布団が二組ひかれていた。

そしてその布団の上に、そいつはいた。

文金高島田を来た花嫁姿の女が。

女は糸居に背を向けていて、顔は見えなかった。

が、やがて女がゆっくりと振り返った。

それを見た糸井の心臓が飛び出しそうになった。

角隠しの下にあるその顔は骸骨、しゃれこうべだったのだ。

老人が冷たく言った。
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