竜チューバー・アズナ

kuro-yo

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レッツファイヤーブレス

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〈どこかの河川敷の広い運動場〉

 皆さん、こんにちは!

 毎度お馴染み、竜チューバーの~ぉ

〈効果音とともにポーズを決めるアズナ〉

 アズナ!

 で~す!今日も生配信でお送りしま~す!

 今日は竜人ならだれしもが夢見るファイヤーブレスに挑戦してみたいと思います。ゲストに、指南役の先生をお呼びしております!

 古竜研究家の、サイトウユウコさんで~す。

〈上手からフレームに入るゲスト〉

「どうも。サイトウユウコです。アズナちゃんのファイヤーブレスが見られると思うと今にも失神しそうです。あのあの、ハグしてもいいですか!」

〈言うが早いか、いきなりアズナに抱きつくユウコ〉

 ひぇっ…あのすみません、もう本番なので、離してもらえますか。えーと、ひょっとしてどこかでお会いしてます?

「い、いいえ、ご一緒するのは初めてです。」

〈名残惜しそうにアズナから離れるユウコ〉

 あー、それでは、早速、ファイヤーブレスについてご教授いただきます。

 まず、先生が古竜について研究を始められたきっかけを教えてもらえますか。

「はい、私、アズナちゃんの大ファンなんです。」

 あ、ありがとうございます…?

「昨日のコラボ商品発売記念握手会にも前の日から並んでました!握手会限定アズナちゃん抱き枕もほらこの通り!」

〈どこからともなく同じ抱き枕を4つ取り出してまとめて抱きしめるユウコ〉

 うわ。お買い上げありがとうございます…(一人1個までって制限してたはずなのに一体どうやって…?)

「裏側にはアズナちゃんのフルヌード写真をプリントしました!。おほほほほほほほほほ」

〈そう言いながら自分でプリントしたアズナの写真にだらしなく頬擦りし始めるユウコ〉

 すごく既視感ありますが、なんか恥ずかしいのでやめて下さい。

「おほほ」

 先生、お話の続きを。

〈我に帰り、抱き枕を丁寧に片付けるユウコ〉

「…お見苦しいところをお見せしました。それで、竜人のアズナちゃんの事をもっとよく知りたくて、竜人について調べ始めたんですね。」

 そうですか。(なにこのコピペ)

「そして、竜人の祖先は、二千年以上も前に竜と人間の合の子として誕生した、亜竜という種族だったという事が分かったんですね。」

 …亜竜といえば、お馴染み、アジムの冒険譚ですね。

「そう、そのアジムの冒険譚の中に、竜が口から火を吹く仕組みが書かれていまして、それで古竜に興味を持ったんです。」

 …すると、研究を始められたのは意外と最近なんですね。

「アジムによると、竜の吐く息の中には体の中で作られた可燃性のガスがわずかに含まれていて、火を吹く竜は、そのガスの濃度を意識的に高める事ができると言っています。」

 なるほど。そのガスに点火して火を吹くわけですね。でも、それでは、竜の肺の中も燃えてしまうのではないですか?

「恐らくですが、肺の中で目一杯可燃性のガスの濃度をあげてから、今度は不燃性のガスを使って一気に口から吐き出しているのだろう、という風に考えられています。」

 へぇー!面白いですね。

「竜を祖先に持つ亜竜や竜人なら、訓練すれば竜と同じように可燃性のガスを吐く事ができるはずです。実際、アジムの冒険譚にも、アジム自身が火を吹いた事が書かれてます。」

 でもガスを吐き出すだけでは炎になりませんよね。

「はい。実は竜の歯は火打ち石のようになっているんです。アズナちゃん、口を大きく開けて見せてもらえますか。」

 あーん。

「はうっ!アズナちゃんの無防備なお口!」

 あー、あんんあ、んあああん、んあん?

〈どこからともなく差し棒を取り出すユウコ〉

「えーと、上顎のこの歯と…下顎のこの歯、をですね、打ち付けると火花がでるんです。」

〈口を閉じるアズナ〉

 えーと、アズナの方からは見えませんでしたので、パネルを用意してますので、もう一度説明してもらえますか。

「ここと、ここですね。それではアズナちゃん、ちょっとやってみて下さい。こう、上顎の歯に下顎の歯を前の方に向かって擦り着ける感じで。」

 こうですか?

 カチッ

 カチッ

 パチッ

〈アズナが何度か繰り返すと、打ち付けた歯から火花が出る〉

「出来てます、出来てますよ、アズナちゃん!」

 やったー!

 じゃぁ次はガスを出す方法を教えて下さい。

「え?」

 いえ、火花が出せるようになりましたので、次はガスを出してみたいです。

 どうすればガスが出るんでしょう。

「…アズナちゃん、ガス出せないの?」

 ?

 今日はそれを教えてもらって、最後に実演するつもりでした。

「あちゃー、てっきり竜人なら自然にガスを出したり引っ込めたりできるんだと思ってました…」

 なんだか言い回しがひどいですけど、自由にできるという感じではないです。うまい練習方法とかはありますか。

「…ぶっちゃけ、わかりません。」

 おもいきりぶっちゃけましたね。

「冒険譚にもそのあたりの事はあまり詳しく書かれていませんでしたね。」

 そうですか…。

 じゃぁ、少し残念ですけど、今日はここまでとしましょうか…。

「最後に、もう一度火花を見せてもらってもいいですか。」

 いいですよ。今回、唯一の成果ですしね。

〈一度深呼吸するアズナ〉

〈良くみようとアズナに近づくユウコ〉

 パチッ

〈火花が散ると同時に爆発音、暗転〉

〈配信一時停止〉

〈配信が再開すると、顔中煤だらけの二人が映る〉

 けほけほ…

 えーと…、なんか爆発しました。なんででしょう。

〈呆然自失のユウコ〉

 ユウコさん、ユウコさん、大丈夫ですか。

〈アズナに肩をゆすられて我に帰るユウコ〉

「けほ…、爆発の影響で、ちょっと耳が聞こえませんでした。アズナちゃん、今なにか言いました?」

 どうして爆発したんでしょうか。

「…推測ですけど、きっとアズナちゃんが深呼吸した時に少しガスが出てたんでしょう…」

 なるほど。

「…危なかった…もしアズナちゃんの吐いた息を吸ってたら、私の肺も爆発するところだったわ…」

 え?今ちょっと聞き取れませんでした、もう一度おっしゃっていただけますか?

「あ、いえ、当初の予定とは少し違いましたが、ファイヤーブレスに一歩近づきましたね。アズナちゃん、おめでとう!」

 え、あ、はい、ありがとうございます!うれしいです!

〈サイレンの音が聞こえる〉

 あ、消防車とパトカーのサイレンが聞こえてきました。近くで火事でもあったのでしょうか。

 あれ?先生?

〈あたりを見回し、いつのまにかいなくなったユウコを探すアズナ〉

〈まもなく、消防車とパトカーが河川敷に入ってくる〉

〈パトカーから警察官が降りてきて、アズナに近づいてきたところで配信終了〉

〈その後、河川敷に爆発物を持ち込んだ疑いでアズナが警察の取り調べを受けた事が、翌日のニュースになる〉



「あ、そういえば、アジムも初めての時は爆発した、って書いてたわねぇ…」


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