2 / 5
レッツファイヤーブレス
しおりを挟む
〈どこかの河川敷の広い運動場〉
皆さん、こんにちは!
毎度お馴染み、竜チューバーの~ぉ
〈効果音とともにポーズを決めるアズナ〉
アズナ!
で~す!今日も生配信でお送りしま~す!
今日は竜人ならだれしもが夢見るファイヤーブレスに挑戦してみたいと思います。ゲストに、指南役の先生をお呼びしております!
古竜研究家の、サイトウユウコさんで~す。
〈上手からフレームに入るゲスト〉
「どうも。サイトウユウコです。アズナちゃんのファイヤーブレスが見られると思うと今にも失神しそうです。あのあの、ハグしてもいいですか!」
〈言うが早いか、いきなりアズナに抱きつくユウコ〉
ひぇっ…あのすみません、もう本番なので、離してもらえますか。えーと、ひょっとしてどこかでお会いしてます?
「い、いいえ、ご一緒するのは初めてです。」
〈名残惜しそうにアズナから離れるユウコ〉
あー、それでは、早速、ファイヤーブレスについてご教授いただきます。
まず、先生が古竜について研究を始められたきっかけを教えてもらえますか。
「はい、私、アズナちゃんの大ファンなんです。」
あ、ありがとうございます…?
「昨日のコラボ商品発売記念握手会にも前の日から並んでました!握手会限定アズナちゃん抱き枕もほらこの通り!」
〈どこからともなく同じ抱き枕を4つ取り出してまとめて抱きしめるユウコ〉
うわ。お買い上げありがとうございます…(一人1個までって制限してたはずなのに一体どうやって…?)
「裏側にはアズナちゃんのフルヌード写真をプリントしました!。おほほほほほほほほほ」
〈そう言いながら自分でプリントしたアズナの写真にだらしなく頬擦りし始めるユウコ〉
すごく既視感ありますが、なんか恥ずかしいのでやめて下さい。
「おほほ」
先生、お話の続きを。
〈我に帰り、抱き枕を丁寧に片付けるユウコ〉
「…お見苦しいところをお見せしました。それで、竜人のアズナちゃんの事をもっとよく知りたくて、竜人について調べ始めたんですね。」
そうですか。(なにこのコピペ)
「そして、竜人の祖先は、二千年以上も前に竜と人間の合の子として誕生した、亜竜という種族だったという事が分かったんですね。」
…亜竜といえば、お馴染み、アジムの冒険譚ですね。
「そう、そのアジムの冒険譚の中に、竜が口から火を吹く仕組みが書かれていまして、それで古竜に興味を持ったんです。」
…すると、研究を始められたのは意外と最近なんですね。
「アジムによると、竜の吐く息の中には体の中で作られた可燃性のガスがわずかに含まれていて、火を吹く竜は、そのガスの濃度を意識的に高める事ができると言っています。」
なるほど。そのガスに点火して火を吹くわけですね。でも、それでは、竜の肺の中も燃えてしまうのではないですか?
「恐らくですが、肺の中で目一杯可燃性のガスの濃度をあげてから、今度は不燃性のガスを使って一気に口から吐き出しているのだろう、という風に考えられています。」
へぇー!面白いですね。
「竜を祖先に持つ亜竜や竜人なら、訓練すれば竜と同じように可燃性のガスを吐く事ができるはずです。実際、アジムの冒険譚にも、アジム自身が火を吹いた事が書かれてます。」
でもガスを吐き出すだけでは炎になりませんよね。
「はい。実は竜の歯は火打ち石のようになっているんです。アズナちゃん、口を大きく開けて見せてもらえますか。」
あーん。
「はうっ!アズナちゃんの無防備なお口!」
あー、あんんあ、んあああん、んあん?
〈どこからともなく差し棒を取り出すユウコ〉
「えーと、上顎のこの歯と…下顎のこの歯、をですね、打ち付けると火花がでるんです。」
〈口を閉じるアズナ〉
えーと、アズナの方からは見えませんでしたので、パネルを用意してますので、もう一度説明してもらえますか。
「ここと、ここですね。それではアズナちゃん、ちょっとやってみて下さい。こう、上顎の歯に下顎の歯を前の方に向かって擦り着ける感じで。」
こうですか?
カチッ
カチッ
パチッ
〈アズナが何度か繰り返すと、打ち付けた歯から火花が出る〉
「出来てます、出来てますよ、アズナちゃん!」
やったー!
じゃぁ次はガスを出す方法を教えて下さい。
「え?」
いえ、火花が出せるようになりましたので、次はガスを出してみたいです。
どうすればガスが出るんでしょう。
「…アズナちゃん、ガス出せないの?」
?
今日はそれを教えてもらって、最後に実演するつもりでした。
「あちゃー、てっきり竜人なら自然にガスを出したり引っ込めたりできるんだと思ってました…」
なんだか言い回しがひどいですけど、自由にできるという感じではないです。うまい練習方法とかはありますか。
「…ぶっちゃけ、わかりません。」
おもいきりぶっちゃけましたね。
「冒険譚にもそのあたりの事はあまり詳しく書かれていませんでしたね。」
そうですか…。
じゃぁ、少し残念ですけど、今日はここまでとしましょうか…。
「最後に、もう一度火花を見せてもらってもいいですか。」
いいですよ。今回、唯一の成果ですしね。
〈一度深呼吸するアズナ〉
〈良くみようとアズナに近づくユウコ〉
パチッ
〈火花が散ると同時に爆発音、暗転〉
〈配信一時停止〉
〈配信が再開すると、顔中煤だらけの二人が映る〉
けほけほ…
えーと…、なんか爆発しました。なんででしょう。
〈呆然自失のユウコ〉
ユウコさん、ユウコさん、大丈夫ですか。
〈アズナに肩をゆすられて我に帰るユウコ〉
「けほ…、爆発の影響で、ちょっと耳が聞こえませんでした。アズナちゃん、今なにか言いました?」
どうして爆発したんでしょうか。
「…推測ですけど、きっとアズナちゃんが深呼吸した時に少しガスが出てたんでしょう…」
なるほど。
「…危なかった…もしアズナちゃんの吐いた息を吸ってたら、私の肺も爆発するところだったわ…」
え?今ちょっと聞き取れませんでした、もう一度おっしゃっていただけますか?
「あ、いえ、当初の予定とは少し違いましたが、ファイヤーブレスに一歩近づきましたね。アズナちゃん、おめでとう!」
え、あ、はい、ありがとうございます!うれしいです!
〈サイレンの音が聞こえる〉
あ、消防車とパトカーのサイレンが聞こえてきました。近くで火事でもあったのでしょうか。
あれ?先生?
〈あたりを見回し、いつのまにかいなくなったユウコを探すアズナ〉
〈まもなく、消防車とパトカーが河川敷に入ってくる〉
〈パトカーから警察官が降りてきて、アズナに近づいてきたところで配信終了〉
〈その後、河川敷に爆発物を持ち込んだ疑いでアズナが警察の取り調べを受けた事が、翌日のニュースになる〉
「あ、そういえば、アジムも初めての時は爆発した、って書いてたわねぇ…」
皆さん、こんにちは!
毎度お馴染み、竜チューバーの~ぉ
〈効果音とともにポーズを決めるアズナ〉
アズナ!
で~す!今日も生配信でお送りしま~す!
今日は竜人ならだれしもが夢見るファイヤーブレスに挑戦してみたいと思います。ゲストに、指南役の先生をお呼びしております!
古竜研究家の、サイトウユウコさんで~す。
〈上手からフレームに入るゲスト〉
「どうも。サイトウユウコです。アズナちゃんのファイヤーブレスが見られると思うと今にも失神しそうです。あのあの、ハグしてもいいですか!」
〈言うが早いか、いきなりアズナに抱きつくユウコ〉
ひぇっ…あのすみません、もう本番なので、離してもらえますか。えーと、ひょっとしてどこかでお会いしてます?
「い、いいえ、ご一緒するのは初めてです。」
〈名残惜しそうにアズナから離れるユウコ〉
あー、それでは、早速、ファイヤーブレスについてご教授いただきます。
まず、先生が古竜について研究を始められたきっかけを教えてもらえますか。
「はい、私、アズナちゃんの大ファンなんです。」
あ、ありがとうございます…?
「昨日のコラボ商品発売記念握手会にも前の日から並んでました!握手会限定アズナちゃん抱き枕もほらこの通り!」
〈どこからともなく同じ抱き枕を4つ取り出してまとめて抱きしめるユウコ〉
うわ。お買い上げありがとうございます…(一人1個までって制限してたはずなのに一体どうやって…?)
「裏側にはアズナちゃんのフルヌード写真をプリントしました!。おほほほほほほほほほ」
〈そう言いながら自分でプリントしたアズナの写真にだらしなく頬擦りし始めるユウコ〉
すごく既視感ありますが、なんか恥ずかしいのでやめて下さい。
「おほほ」
先生、お話の続きを。
〈我に帰り、抱き枕を丁寧に片付けるユウコ〉
「…お見苦しいところをお見せしました。それで、竜人のアズナちゃんの事をもっとよく知りたくて、竜人について調べ始めたんですね。」
そうですか。(なにこのコピペ)
「そして、竜人の祖先は、二千年以上も前に竜と人間の合の子として誕生した、亜竜という種族だったという事が分かったんですね。」
…亜竜といえば、お馴染み、アジムの冒険譚ですね。
「そう、そのアジムの冒険譚の中に、竜が口から火を吹く仕組みが書かれていまして、それで古竜に興味を持ったんです。」
…すると、研究を始められたのは意外と最近なんですね。
「アジムによると、竜の吐く息の中には体の中で作られた可燃性のガスがわずかに含まれていて、火を吹く竜は、そのガスの濃度を意識的に高める事ができると言っています。」
なるほど。そのガスに点火して火を吹くわけですね。でも、それでは、竜の肺の中も燃えてしまうのではないですか?
「恐らくですが、肺の中で目一杯可燃性のガスの濃度をあげてから、今度は不燃性のガスを使って一気に口から吐き出しているのだろう、という風に考えられています。」
へぇー!面白いですね。
「竜を祖先に持つ亜竜や竜人なら、訓練すれば竜と同じように可燃性のガスを吐く事ができるはずです。実際、アジムの冒険譚にも、アジム自身が火を吹いた事が書かれてます。」
でもガスを吐き出すだけでは炎になりませんよね。
「はい。実は竜の歯は火打ち石のようになっているんです。アズナちゃん、口を大きく開けて見せてもらえますか。」
あーん。
「はうっ!アズナちゃんの無防備なお口!」
あー、あんんあ、んあああん、んあん?
〈どこからともなく差し棒を取り出すユウコ〉
「えーと、上顎のこの歯と…下顎のこの歯、をですね、打ち付けると火花がでるんです。」
〈口を閉じるアズナ〉
えーと、アズナの方からは見えませんでしたので、パネルを用意してますので、もう一度説明してもらえますか。
「ここと、ここですね。それではアズナちゃん、ちょっとやってみて下さい。こう、上顎の歯に下顎の歯を前の方に向かって擦り着ける感じで。」
こうですか?
カチッ
カチッ
パチッ
〈アズナが何度か繰り返すと、打ち付けた歯から火花が出る〉
「出来てます、出来てますよ、アズナちゃん!」
やったー!
じゃぁ次はガスを出す方法を教えて下さい。
「え?」
いえ、火花が出せるようになりましたので、次はガスを出してみたいです。
どうすればガスが出るんでしょう。
「…アズナちゃん、ガス出せないの?」
?
今日はそれを教えてもらって、最後に実演するつもりでした。
「あちゃー、てっきり竜人なら自然にガスを出したり引っ込めたりできるんだと思ってました…」
なんだか言い回しがひどいですけど、自由にできるという感じではないです。うまい練習方法とかはありますか。
「…ぶっちゃけ、わかりません。」
おもいきりぶっちゃけましたね。
「冒険譚にもそのあたりの事はあまり詳しく書かれていませんでしたね。」
そうですか…。
じゃぁ、少し残念ですけど、今日はここまでとしましょうか…。
「最後に、もう一度火花を見せてもらってもいいですか。」
いいですよ。今回、唯一の成果ですしね。
〈一度深呼吸するアズナ〉
〈良くみようとアズナに近づくユウコ〉
パチッ
〈火花が散ると同時に爆発音、暗転〉
〈配信一時停止〉
〈配信が再開すると、顔中煤だらけの二人が映る〉
けほけほ…
えーと…、なんか爆発しました。なんででしょう。
〈呆然自失のユウコ〉
ユウコさん、ユウコさん、大丈夫ですか。
〈アズナに肩をゆすられて我に帰るユウコ〉
「けほ…、爆発の影響で、ちょっと耳が聞こえませんでした。アズナちゃん、今なにか言いました?」
どうして爆発したんでしょうか。
「…推測ですけど、きっとアズナちゃんが深呼吸した時に少しガスが出てたんでしょう…」
なるほど。
「…危なかった…もしアズナちゃんの吐いた息を吸ってたら、私の肺も爆発するところだったわ…」
え?今ちょっと聞き取れませんでした、もう一度おっしゃっていただけますか?
「あ、いえ、当初の予定とは少し違いましたが、ファイヤーブレスに一歩近づきましたね。アズナちゃん、おめでとう!」
え、あ、はい、ありがとうございます!うれしいです!
〈サイレンの音が聞こえる〉
あ、消防車とパトカーのサイレンが聞こえてきました。近くで火事でもあったのでしょうか。
あれ?先生?
〈あたりを見回し、いつのまにかいなくなったユウコを探すアズナ〉
〈まもなく、消防車とパトカーが河川敷に入ってくる〉
〈パトカーから警察官が降りてきて、アズナに近づいてきたところで配信終了〉
〈その後、河川敷に爆発物を持ち込んだ疑いでアズナが警察の取り調べを受けた事が、翌日のニュースになる〉
「あ、そういえば、アジムも初めての時は爆発した、って書いてたわねぇ…」
1
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる