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下界にて
10:淫獣
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カーラがゆっさゆっさと体を揺らす度に、陰部から瘴気があふれ、部屋の中はどこもかしこもうっすらとモザイクがかかり、度の合わないメガネを通してみたような景色になった。
「うっ、うう、テ…テリア…こっちに…」
ふと、お母さんが眠っている寝台の方を見ると、お母さんが胸のあたりを手でおさえて時々呻き声をあげ、体を起こして私の寝台の柵に手をかけていた。私は慌ててそっちに這って行き、お母さんの骨のような手を小さな両手でしっかり握った。
その瞬間、私の体の周りのモザイクが消えて行くのがわかった。見ると、お母さんのまわりだけ、モザイクがかかっていない。たぶん、お母さんが聖気を放って、瘴気を相殺しているんだ。
そんな、私のせいで、お母さんの死期を早めてるの!?
自然に涙が出てきて、私は泣かないではいられなかった。
「あ、ああー、あーっ、おぎゃー!(お母さん、死なないで!)」
「大丈夫よ…テリア、私が、ついてる!」
私たちはただ、カーラの発する善がり声を聴きながら、溢れ出る瘴気を見ている事しかできなかった。
そのうちカーラは、絶頂に達したのか、今までの動きを止め、体をぴくぴくと痙攣させながら、快楽の余韻に浸っているようだったが、そのうち壊れた操り人形のようにだらんと頭と手足から力が抜けた。そして、役目を終え、元の卵型に戻った魔道具が、彼女の陰部からぽろりと落ちた。
すると、待ってましたとばかりに一気に瘴気が吹き出し、その勢いでカーラは壁に叩きつけられ、放り出されたぬいぐるみのように部屋の隅に転がった。
「あう?(何が起きてるの?)」
カーラの腹が内側から突き上げるように蠢いていた。
そのうち、彼女の膣口から、触手のようなものが数本束になって、にゅっと出てきたかと思うと、蜘蛛の足のように放射状にひろがって股間に張り付き、穴の底から何かを引き上げるかのように触手を踏ん張らせた。
触手が力を入れるたびに、膣口から血が吹き出し、それを何度も繰り返しながら、ゆっくりとゆっくりと、産道を通って出てきたのは、背中からいくつもの触手を生やした、嬰児だった。私とお母さんは思わずひっと息を飲む。
「…淫獣…胎児に、寄生、したのね」
「あう」
妊娠してたおかげで、カーラは婬魔にならずに済んだのね。
カーラから生まれ出てきた淫獣は、瘴気を発しながらしばらくはあたりの様子を伺うような仕草をしていたが、そのうち、私たちの方に狙いを定めたようだった。
そして、警戒するまもなく、淫獣が触手を広げて突然こちらにとびかかってきた。
「あうーっ!(お母さん)」
「テリア!」
お母さんの手を握りしめ、私は思わず恐怖で目をつぶった。
その時、
「テリア!マリー!」
というディックの声が響き、何かが床に叩きつけられたべちゃりという音がした。
恐る恐る目を開けて見ると、いつのまに帰宅したのか、ちょうどディックが剣を抜き、床に叩きつけたのであろう淫獣を突き刺したところだった。間をおかずディックは素早く窓を開け、淫獣ごと剣を外に投擲した。
「あうー(伯父さーん)」
「おうおう、もう大丈夫だ、テリア、怖かったな、よしよし」
ディックは私を抱えあげ、いまだ苦しげに呻くマリーの上体を起こし、肩を抱き寄せた。
しかし、部屋にはまだモザイクがかかったまま。お母さんの股間からも、相殺しきれなかった瘴気が少しずつ流れ出て来ている。このままじゃお母さんが衰弱して死んでしまう。
「うっ、うう、テ…テリア…こっちに…」
ふと、お母さんが眠っている寝台の方を見ると、お母さんが胸のあたりを手でおさえて時々呻き声をあげ、体を起こして私の寝台の柵に手をかけていた。私は慌ててそっちに這って行き、お母さんの骨のような手を小さな両手でしっかり握った。
その瞬間、私の体の周りのモザイクが消えて行くのがわかった。見ると、お母さんのまわりだけ、モザイクがかかっていない。たぶん、お母さんが聖気を放って、瘴気を相殺しているんだ。
そんな、私のせいで、お母さんの死期を早めてるの!?
自然に涙が出てきて、私は泣かないではいられなかった。
「あ、ああー、あーっ、おぎゃー!(お母さん、死なないで!)」
「大丈夫よ…テリア、私が、ついてる!」
私たちはただ、カーラの発する善がり声を聴きながら、溢れ出る瘴気を見ている事しかできなかった。
そのうちカーラは、絶頂に達したのか、今までの動きを止め、体をぴくぴくと痙攣させながら、快楽の余韻に浸っているようだったが、そのうち壊れた操り人形のようにだらんと頭と手足から力が抜けた。そして、役目を終え、元の卵型に戻った魔道具が、彼女の陰部からぽろりと落ちた。
すると、待ってましたとばかりに一気に瘴気が吹き出し、その勢いでカーラは壁に叩きつけられ、放り出されたぬいぐるみのように部屋の隅に転がった。
「あう?(何が起きてるの?)」
カーラの腹が内側から突き上げるように蠢いていた。
そのうち、彼女の膣口から、触手のようなものが数本束になって、にゅっと出てきたかと思うと、蜘蛛の足のように放射状にひろがって股間に張り付き、穴の底から何かを引き上げるかのように触手を踏ん張らせた。
触手が力を入れるたびに、膣口から血が吹き出し、それを何度も繰り返しながら、ゆっくりとゆっくりと、産道を通って出てきたのは、背中からいくつもの触手を生やした、嬰児だった。私とお母さんは思わずひっと息を飲む。
「…淫獣…胎児に、寄生、したのね」
「あう」
妊娠してたおかげで、カーラは婬魔にならずに済んだのね。
カーラから生まれ出てきた淫獣は、瘴気を発しながらしばらくはあたりの様子を伺うような仕草をしていたが、そのうち、私たちの方に狙いを定めたようだった。
そして、警戒するまもなく、淫獣が触手を広げて突然こちらにとびかかってきた。
「あうーっ!(お母さん)」
「テリア!」
お母さんの手を握りしめ、私は思わず恐怖で目をつぶった。
その時、
「テリア!マリー!」
というディックの声が響き、何かが床に叩きつけられたべちゃりという音がした。
恐る恐る目を開けて見ると、いつのまに帰宅したのか、ちょうどディックが剣を抜き、床に叩きつけたのであろう淫獣を突き刺したところだった。間をおかずディックは素早く窓を開け、淫獣ごと剣を外に投擲した。
「あうー(伯父さーん)」
「おうおう、もう大丈夫だ、テリア、怖かったな、よしよし」
ディックは私を抱えあげ、いまだ苦しげに呻くマリーの上体を起こし、肩を抱き寄せた。
しかし、部屋にはまだモザイクがかかったまま。お母さんの股間からも、相殺しきれなかった瘴気が少しずつ流れ出て来ている。このままじゃお母さんが衰弱して死んでしまう。
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