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下界にて
12:お母さん
しおりを挟むいや、お母さんの呪いが消えたのなら、もう、カーラが継母になる事もないかも。
それにしても間一髪だった。
もし、私が魔道具をディックの荷物から取り出さなかったら。
ディックが戻って来る事はなかったし、ユリナスもディックがこの村にいる事に気付かなかったろう。
もし、私が持ってた魔道具をカーラが取り上げなかったら。
カーラが魔道具を使ってなければ、お母さんはもっと早く淫獣に襲われて、ディックが戻ってきても、間に合わなかったかも知れない。
…それにしても、ユリナスが町を出発する時刻にはまだ早い気がする。それにディックが町に出掛けた事も気になる…。
大賢者は窓際から私達の方に来て、私の顔を覗きこんで言った。
「マリアンヌが産んだ子かの。」
言いながら私のほほを人差し指の腹で軽く叩く。くすぐったくて、つい笑をこぼしてしまう。
「はい…大賢者様。私が…産んだ子です。ユーテリア…と名付けました。」
とお母さんが答える。
「呪具の呪いを受けておったな…ならばディックとの子ではないのだな。」
「はい、ユリナス様。私は破門されたマリーを引き取っただけで、私はマリーと関係を持ってはおりません。」
と答えるディック。
…ちょ、ちょっと待て、ユリナスは何気に、二人が関係を持っていてもおかしくないみたいな事言ってるけど、え、そういう事なの?そんなの、設定に書いてなかったよ!?
「そうか。…まあ、わしには、この子の本当の親に、思い当たるところがある。」
そう言いながら大賢者は私の頭を優しく撫でる。うん。私の実の親は今の王妃と王弟だもんね。血だけで言えば私、王族だ。
「ところで、ディック、マリアンヌ。心して聞いて欲しい。」
「はい」「なんでしょう」「あうっ」
「マリアンヌの呪いは消えたが、呪いが発する瘴気を中和するために長い間聖気を放ち続けた事がマリアンヌの生命力を極限まで削ってしまっておる。」
ここで大賢者は言葉を切り、愛おしげにお母さんの頬を優しくさすった。
「マリアンヌ…そなたの寿命はあと持って三日というところじゃろう。」
「三日ですって!?」「あうあうっ(お母さん死んじゃうの!?)」
驚きで思わず叫んでしまったディックと、目頭が熱くなる私。そんなに早く、お母さんが死んじゃうなんて…。
それで私ははっとした。
そう、お母さんが亡くなる日は、魔物の討伐のために、仲間といっしょにディックが家を離れている時だった。設定にはただ死んだとしか書かれてなかったけど…。
そうか、その日留守番を頼まれたカーラの淫獣が、私とお母さんを襲って、私を守るためにお母さんは死んだのね…。
私がポロポロと涙を流しながら嗚咽を漏らしていると、お母さんが私を抱き締めて慰めてくれた。
「ディック。もう…長くない事は…私には…ずっと前から…わかってたの。テリア。大きくなるまで…一緒に…いられなくて…うっ…ごめんね…ううっ…」
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