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ゲーム:前日譚
21:再会
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それからまた時が経ち、私も多少成長した。
継母が産んだ魔物の子の義兄は、何故かあるところで成長が止まってしまい、今度は私に身長を抜かれていた。そのせいかどうか分からないが、また継母が身ごもっていた。
自分より小さい家族がいると、それはそれで愛着が湧くもので、試しに私の魔力を義兄に与えてみたら、私に懐くようになった。襲われる心配もないようなので、たまに一緒に寝て抱き枕代わりにしている。
チェンジリングは模倣獣から生まれてくるのに、なぜかミミックと全く同じ魔物というわけではないようだ。淫獣から婬魔が生じるのと同じような感じだろうか。
この頃から、じわじわと邪淫の気が王国を侵し始め、その影響を受けた人々や魔物の行動が次第に変容してきているのが感じられた。
こんな寒村でも、ちらほらと瘴気を見るようになった。まだ、ゲーム本編のようにいたるところ瘴気だらけという酷い有り様ではないが、このまま魔王を放って置けばいずれそうなるだろう。
私はと言えば、あの隷属の儀式が行われた日から、何かと継父に扱き使われるようになった。
人使い荒いよ、と思いつつも、魔力と引き換えに、義兄にこっそり手伝ってもらっているので、それほど大変ではない。それに、私が食事の用意をした方が、継母のくそまずい飯を食わされるよりはずっとましなので、悪い事ばかりじゃないのかもしれない。継父は継母の作った飯もうまいうまいと言って食ってたが…。ミミックって謎だらけだな。
もちろん魔法の練習も欠かさない。継父の前で使う生活魔法は仕方ないとしても、大きな魔法は隠れて使っても継父にばれるので、魔力の精度を上げて、最小の魔力で効率よく魔法を使う事を念頭に練習している。
一方で、聖賢女の器探しのために国中を旅している大賢者ユリナスとその一行は、あれから十数年経っているにもかかわらず、その間全く音沙汰がない。そもそも、聖賢女はここにいるので、ユリナス達がいくら国中を旅して探し回っても、聖賢女の器が見つかるはずはないのだが、中間報告くらいはあっても良さそうなものだ。マリアンヌのお墓にお参りくらいしてくれればいいのに。
だが、ユリナスの来訪は、私にとっては次の鬼畜な儀式の始まりでもあり、ちょっと微妙な気分になる。しかも困った事に、次の儀式はどうしても外せない。何故なら、それは私が聖賢女の位を授かるための儀式だからだ。
聖賢女の位を授かるには、体の内側から大賢者の魔力を流し込みながら、まる一日かけて、身体中のあらゆる場所に賢女の魔方陣を刻み付けなければならない。魔法陣は指先で描くため、手の届かないところには魔法陣を描けないから、都度々々、体位を入れ替えながら儀式を行う。そして最後に、体が密着していて描けなかった場所に魔法陣を描くために、大賢者は私の口から魔力を注ぎながら儀式の最後を締めくくるのである…。そこまでするのか、とも思うが、そうしないと、アキレスや耳なし芳一のようになってしまうので、どうしようもない。想像しただけで気分が暗くなる。
…尤も、ゲームでは、ユリナスが儀式の途中で腹上死してしまうため、結局、耳なし芳一になってしまうのだが。
そんな事を思っていた数日後。
村の井戸で義兄と水汲みをしていると、遠くから大声で私に声をかけてくるものがいた。
「ユーテリアー!その魔物の側から離れるのじゃー!」
声のする方を振り向くと、大賢者ユリナスがこちらに向かって走ってくるのが見えた。結構な年寄りのはずなのに、後からユリナスを追いかけてくる従者達よりも足が速い。
「ちょっ、待って待ってー、この子は大丈夫だからーっ!」
と私も大声でユリナスに声をかけたが、ユリナスはあっという間に私を抱きかかえ、ワンステップで義兄の側から飛び退くと、何が起こったのか理解できない様子で突っ立っている義兄に向かって、魔法を放った。止める間もなかった。義兄は目の前でたちまち蒸発してしまった。
「…あー…リディーがぁ…」
「怖かったか?もう大丈夫じゃ。」
「…せっかく可愛がってたのに。…ユリナス様の馬鹿。」
「はあっ?ありゃ魔物の子じゃぞ!?」
「知ってる。でもどうせなら、ロドスの方を退治してよ…そっちは模倣獣だから。」
「なんじゃって!?」
私は大きなため息をひとつついた。
「でも、来てくれてありがとう。ユリナス様。」
そう言って私は、ユリナスの頬に軽く接吻した。
継母が産んだ魔物の子の義兄は、何故かあるところで成長が止まってしまい、今度は私に身長を抜かれていた。そのせいかどうか分からないが、また継母が身ごもっていた。
自分より小さい家族がいると、それはそれで愛着が湧くもので、試しに私の魔力を義兄に与えてみたら、私に懐くようになった。襲われる心配もないようなので、たまに一緒に寝て抱き枕代わりにしている。
チェンジリングは模倣獣から生まれてくるのに、なぜかミミックと全く同じ魔物というわけではないようだ。淫獣から婬魔が生じるのと同じような感じだろうか。
この頃から、じわじわと邪淫の気が王国を侵し始め、その影響を受けた人々や魔物の行動が次第に変容してきているのが感じられた。
こんな寒村でも、ちらほらと瘴気を見るようになった。まだ、ゲーム本編のようにいたるところ瘴気だらけという酷い有り様ではないが、このまま魔王を放って置けばいずれそうなるだろう。
私はと言えば、あの隷属の儀式が行われた日から、何かと継父に扱き使われるようになった。
人使い荒いよ、と思いつつも、魔力と引き換えに、義兄にこっそり手伝ってもらっているので、それほど大変ではない。それに、私が食事の用意をした方が、継母のくそまずい飯を食わされるよりはずっとましなので、悪い事ばかりじゃないのかもしれない。継父は継母の作った飯もうまいうまいと言って食ってたが…。ミミックって謎だらけだな。
もちろん魔法の練習も欠かさない。継父の前で使う生活魔法は仕方ないとしても、大きな魔法は隠れて使っても継父にばれるので、魔力の精度を上げて、最小の魔力で効率よく魔法を使う事を念頭に練習している。
一方で、聖賢女の器探しのために国中を旅している大賢者ユリナスとその一行は、あれから十数年経っているにもかかわらず、その間全く音沙汰がない。そもそも、聖賢女はここにいるので、ユリナス達がいくら国中を旅して探し回っても、聖賢女の器が見つかるはずはないのだが、中間報告くらいはあっても良さそうなものだ。マリアンヌのお墓にお参りくらいしてくれればいいのに。
だが、ユリナスの来訪は、私にとっては次の鬼畜な儀式の始まりでもあり、ちょっと微妙な気分になる。しかも困った事に、次の儀式はどうしても外せない。何故なら、それは私が聖賢女の位を授かるための儀式だからだ。
聖賢女の位を授かるには、体の内側から大賢者の魔力を流し込みながら、まる一日かけて、身体中のあらゆる場所に賢女の魔方陣を刻み付けなければならない。魔法陣は指先で描くため、手の届かないところには魔法陣を描けないから、都度々々、体位を入れ替えながら儀式を行う。そして最後に、体が密着していて描けなかった場所に魔法陣を描くために、大賢者は私の口から魔力を注ぎながら儀式の最後を締めくくるのである…。そこまでするのか、とも思うが、そうしないと、アキレスや耳なし芳一のようになってしまうので、どうしようもない。想像しただけで気分が暗くなる。
…尤も、ゲームでは、ユリナスが儀式の途中で腹上死してしまうため、結局、耳なし芳一になってしまうのだが。
そんな事を思っていた数日後。
村の井戸で義兄と水汲みをしていると、遠くから大声で私に声をかけてくるものがいた。
「ユーテリアー!その魔物の側から離れるのじゃー!」
声のする方を振り向くと、大賢者ユリナスがこちらに向かって走ってくるのが見えた。結構な年寄りのはずなのに、後からユリナスを追いかけてくる従者達よりも足が速い。
「ちょっ、待って待ってー、この子は大丈夫だからーっ!」
と私も大声でユリナスに声をかけたが、ユリナスはあっという間に私を抱きかかえ、ワンステップで義兄の側から飛び退くと、何が起こったのか理解できない様子で突っ立っている義兄に向かって、魔法を放った。止める間もなかった。義兄は目の前でたちまち蒸発してしまった。
「…あー…リディーがぁ…」
「怖かったか?もう大丈夫じゃ。」
「…せっかく可愛がってたのに。…ユリナス様の馬鹿。」
「はあっ?ありゃ魔物の子じゃぞ!?」
「知ってる。でもどうせなら、ロドスの方を退治してよ…そっちは模倣獣だから。」
「なんじゃって!?」
私は大きなため息をひとつついた。
「でも、来てくれてありがとう。ユリナス様。」
そう言って私は、ユリナスの頬に軽く接吻した。
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