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剣と魔法とスマートスピーカー
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草原に突如、二人の人影が現れた。
「博士、成功です!」
「やったぞ、助手!」
「私達は世界初(※)の異世界転移者ですよ!」
(※当局調べ。)
「うむ。ここは剣と魔法の世界だ。しかし我々は剣技など持ち合わせておらんし魔法を使う事もできぬ。」
「それでは博士、ここで生きていくためにはどうすればいいのでしょう。」
「そこでだ助手、この新開発のスマートスピーカーの出番なのだ。」
博士は懐から小さな装置を取り出して手のひらの上に載せ、助手に見せた。
「これはここでどのように使うのですか?」
「通信販売のCMみたいになってきたが、早速実際に使ってみよう。それではスイッチオン!」
博士が装置のスイッチを入れると、装置のランプが色とりどりに明滅し、軽快な起動音が鳴り響いた。
「助手。今してほしい事を装置に話しかけてみたまえ。」
「わかりました博士。それでは、…、えっと、博士。」
「どうした助手。」
「なんという名前で呼び掛ければいいのかがわかりません。」
「何でもいいぞ、助手。こいつは賢いからな、自分が呼び掛けられているという事を認識すれば、それが自分の名前だと理解するのだ。」
「それはすごいです、博士。では、呼び掛けますね。」
助手は深呼吸した。
「『アルファポリス(※)』!」
(※お好きな名前に読み替えてください。)
装置が反応した。
「こんにちは。」
〈こんにちは。いいお天気ですね。〉
「博士、挨拶を返してくれました。」
「う、うむ。挨拶は大事だな、助手。」
「あ、博士、あちらに獣の群れが見えます。こちらに向かって来るようですよ。」
「うむ、ちょうどよい。早速スマートスピーカーを使った魔法を実演してみよう。アルファポリス、あの獣の群れを鑑定。」
〈あれは獣の五頭の群れです。〉
「…博士。」
「なんだ、助手。」
「正直な感想を申し上げてもよろしいですか。」
「遠慮は要らん。言ってみなさい。」
「しょぼいです。」
「うむ、詳細な鑑定は課金サービスだからな。」
「博士、話してる間にもうあんなに近付いて来ました。」
「では別の魔法を試してみよう。アルファポリス、我々を囲む防御結界を張れ。」
〈結界を張りました。〉
「素晴らしいです博士。今さっき飛びかかってきた獣がバリヤーに弾かれてました。」
「うむ、危ないところだったな、助手。」
「え、危なかったんですか、博士。」
「うむ、ギリギリだった。」
「…。」
「…。」
〈結界消失まで、あと三十秒です。〉
「博士、結界が三十秒で消失すると聞こえましたが。」
「うむ、我々の魔力が足らんようだな、助手。」
「大変じゃないですか、博士。」
「そうだな、助手。」
「…。」
「…。」
「ならもういっそ、殲滅しましょう。」
「仕方あるまい。アルファポリス、獣の群れに向かってファイヤーボールを放て。」
〈よく聞き取れませんでした。もう一度話してください。〉
〈結界消失まであと十秒です。〉
「アルファポリス、ファイヤーボールを放て。」
〈コインが不足しています。コインを追加購入しますか?〉
〈結界が消失しました…〉
その後、二人がどうなったのか。
それはスマートスピーカーだけが知っている。
~了~
「博士、成功です!」
「やったぞ、助手!」
「私達は世界初(※)の異世界転移者ですよ!」
(※当局調べ。)
「うむ。ここは剣と魔法の世界だ。しかし我々は剣技など持ち合わせておらんし魔法を使う事もできぬ。」
「それでは博士、ここで生きていくためにはどうすればいいのでしょう。」
「そこでだ助手、この新開発のスマートスピーカーの出番なのだ。」
博士は懐から小さな装置を取り出して手のひらの上に載せ、助手に見せた。
「これはここでどのように使うのですか?」
「通信販売のCMみたいになってきたが、早速実際に使ってみよう。それではスイッチオン!」
博士が装置のスイッチを入れると、装置のランプが色とりどりに明滅し、軽快な起動音が鳴り響いた。
「助手。今してほしい事を装置に話しかけてみたまえ。」
「わかりました博士。それでは、…、えっと、博士。」
「どうした助手。」
「なんという名前で呼び掛ければいいのかがわかりません。」
「何でもいいぞ、助手。こいつは賢いからな、自分が呼び掛けられているという事を認識すれば、それが自分の名前だと理解するのだ。」
「それはすごいです、博士。では、呼び掛けますね。」
助手は深呼吸した。
「『アルファポリス(※)』!」
(※お好きな名前に読み替えてください。)
装置が反応した。
「こんにちは。」
〈こんにちは。いいお天気ですね。〉
「博士、挨拶を返してくれました。」
「う、うむ。挨拶は大事だな、助手。」
「あ、博士、あちらに獣の群れが見えます。こちらに向かって来るようですよ。」
「うむ、ちょうどよい。早速スマートスピーカーを使った魔法を実演してみよう。アルファポリス、あの獣の群れを鑑定。」
〈あれは獣の五頭の群れです。〉
「…博士。」
「なんだ、助手。」
「正直な感想を申し上げてもよろしいですか。」
「遠慮は要らん。言ってみなさい。」
「しょぼいです。」
「うむ、詳細な鑑定は課金サービスだからな。」
「博士、話してる間にもうあんなに近付いて来ました。」
「では別の魔法を試してみよう。アルファポリス、我々を囲む防御結界を張れ。」
〈結界を張りました。〉
「素晴らしいです博士。今さっき飛びかかってきた獣がバリヤーに弾かれてました。」
「うむ、危ないところだったな、助手。」
「え、危なかったんですか、博士。」
「うむ、ギリギリだった。」
「…。」
「…。」
〈結界消失まで、あと三十秒です。〉
「博士、結界が三十秒で消失すると聞こえましたが。」
「うむ、我々の魔力が足らんようだな、助手。」
「大変じゃないですか、博士。」
「そうだな、助手。」
「…。」
「…。」
「ならもういっそ、殲滅しましょう。」
「仕方あるまい。アルファポリス、獣の群れに向かってファイヤーボールを放て。」
〈よく聞き取れませんでした。もう一度話してください。〉
〈結界消失まであと十秒です。〉
「アルファポリス、ファイヤーボールを放て。」
〈コインが不足しています。コインを追加購入しますか?〉
〈結界が消失しました…〉
その後、二人がどうなったのか。
それはスマートスピーカーだけが知っている。
~了~
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