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番外編:小さな魔王様の小さな日常
小さな魔王様の小さな贈り物(中編)
しおりを挟む「お、重いのじゃ。」
「まお…ミリシアちゃん、あまり無理しない方が…」
魔王ミルスは、地面に置かれたスコップを持ち上げようと奮闘していたが、スコップはぴくりとも動かなかった。もとより、魔王の魂が降臨しているミリシアは、まだ十代前半の華奢な少女なのだから、致し方ない。
見かねたアーネストが片手でひょいとスコップを持ち上げた。手を離す間も無くいきなり持ち上げられたため、魔王はスコップにぶら下がってしまった。ケイトは思わず、ぷっと吹き出した。
「ひ、ひどいよ…、ひどいのじゃ、ケイト。…あっ、アーネストまで!」
思わず地が出そうになりつつも魔王はケイトに抗議した。アーネストを見ると、アーネストもそっぽを向いて笑いをこらえていた。
魔王はケイトに、両脇を支えてもらいながら地面に下ろされた。
「散々なのじゃ。が、気を取り直して、宝探しを始めるのじゃ。」
「…ところで陛下、探し物がこの高台のどこかにある事は確実だとして、この広い高台のどこを掘ればよろしいのでしょう?」
アーネストの問に、魔王は三度マリアの手書きの地図を取り出した。そこには不可解な記号がいくつか描かれていた。
「…恐らくじゃが、地図と同じ記号がどこかに隠れておるのじゃろ。まずそれを見付けるのじゃ。最初の記号は…、これかの。方角はこっちじゃろうか…」
「ちょっと待って!」「ぐぇ」
歩き始めようとした時、いきなりケイトに後ろ襟を捕まれた魔王は軽く首がしまり、変な声をたてた。
「いきなり何をするのじゃ、ケイトっ!」
「ちょっと待って魔王様。もう一度その地図をよく見せて。」
ケイトは、魔王から渡された手書きの地図と、自前の観光地図とを、黙々と見比べ始めた。魔王とアーネストは時々顔を見合わせて黙ってその様子を眺めていた。
しばらくしてケイトが笑みを浮かべて言った。
「…ふふーん、なるほど。」
「ケイト、何か分かったのか?」
ケイトは得意満面に説明し始めた。もし眼鏡をかけていたら、フレームを指先でくいっとあげていそうな雰囲気である。
「ずばり、この記号は数字です。こっちの観光地図の『おすすめスポット』の案内を見てください。上から順に番号が振ってあるでしょ。マリアちゃんの地図の記号は、実はそれぞれの観光スポットの“目玉”を表しています。」
「目玉じゃと?」「目玉ですか?」
「はい。例えば、この魚みたいな記号。渓流釣りスポットのマークで、現地の案内板にも使われてます。またこっちの建物のような記号は、魔王城跡地にある歴史博物館のマークとそっくりです。」
「ケイト先生。」「はいミリシアちゃん。」
ミリシアモード(?)の魔王は手を上げて、ケイトに質問した。
「記号の意味と、数字が対応している事は分かりましたが、その数字にはどんな意味があるのですか?」
「なかなか良い質問ですよ、ミリシアちゃん。」
「もったいぶらないで早く教えてもらえませんか、ケイト殿。陛下も尻馬に乗らないで下さい。」
「はは、ごめんごめん。」「つい乗ってしまったのじゃ。許せ。」
ケイトはひとつ咳払いして、仕切り直した。
「こほん。つまりね、魔王様。この数字の順に記号を線でつなぐのよ。」
「ふむ、こんな感じかの。…おおっ!」「これはっ!」
記号を順に線で繋ぐと、地図上の一点を指し示す図形になっていた。
「『人差し指を伸ばした手』の形になるところが、姫らしいの。」
「もうほんとマリアちゃん可愛い!」
「では早速そこに向かうとしましょうか。」
三人は目的地に足を向けた。
【意外にも、まだつづく。】
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