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第四章
4-22 ガールズ・トーク①~パラレル:視点変更ディートリヒ~
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時は少し遡り、琥珀亭での出来事…
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困ったことになりました…。
カズ様はナズナさんと私を二人きりにして何処かに行かれてしまいました。
多分、カルム様の店であるとは思いますが、もしかするとこのヒトを返そうとしているのではないでしょうか…。
心配になりますが、カズ様の事ですから万事うまくいくことでしょう。
あとはナズナさんをどう変えることができるか、でしょうか。
恐らくそれをカズ様が望んでいるのでは…。
「ねぇ、ナズナさん。先ほど言ってた事は本当の事ですか?」
「何の話でしょうか。」
「カズ様をお守りするという事です。」
「はい。カルム様がそうお命じされました。」
「では、カズ様の力を知っておられますか?」
「いえ、私は帝国に居たので、何も存じておりません…。」
「そうですか…。あの方は誰よりもお強いです。Aランクの冒険者であっても、暗殺者であっても、例え何十人、何百人襲ってきても、恐らくはカズ様の方がお強いです。
なので、守るという事は必要無いと思います。」
「では、何故カルム様はそのような命令をされたのでしょうか。」
「皆さん、勘違いされておられるんだと思います。
よくカズ様は私に、守るのではなく、お互いを助け合うと仰ります。
私もカズ様をお助けするという事はほとんどありませんが、あの方と一緒に居ると今までの自分がなんであったのか、今までの自分がいかにちっぽけで考えが浅はかだったのかを実感します。
恐らく、そんな事まで知らない方々が自分の力でカズ様を助けてあげているという自意識を持たれないのではないかと思います。
カズ様はよく他人が他人のために行う考えを忖度と仰っておりますが、良かれと思ったことが当人にとって迷惑な場合もございます。
それをカズ様は嫌うのです。」
「どうしてでしょうか。ヒトから親切にされることは嬉しいことではありませんか。」
「では、ナズナさん、今あなたはお腹がいっぱいで、もう動けないといった状況でも、誰かから食べ物を差し出されたら、それを受けて食べますか?」
「上司からの命令であれば食べます。しかし、部下から者であれば断ります。」
「そこなのです。
カズ様は両方とも断る方です。お腹がいっぱいなのに食べる必要がない、それなのに食べる必要があるのか、を考える方なのです。
食べる必要が無いのに食べなければいけない…、そんな理不尽な事を嫌うのです。
部下からのものであれば、部下に食べてもらいます。そして上司からの命令であれば本気で怒ります。それはカズ様自身の考えに基づいて動かれておられるからです。」
ナズナさん、すごく考え事しています。
そうなんです。今のナズナさんは昔の私と一緒なのです。
私も悩みました。でも、私のすべてをカズ様にぶつけた結果、今は凄く幸せなのです。
なんとか理論とか、ツリバシキョーカとか言う人の名前はどうでも良いのです。
そこで、私は自分の過去を話すことにしました。
戦争に負け捕虜になった事、捕虜から奴隷落ちした事、そして凌辱の日々、ボロボロとなったある日カズ様とお会いできた事、それからの日々の事…。
過去の事を話すとナズナさんもそうであったと思いますので、さらっと流しました。
そして今、私はどれだけ幸せかを伝えました。
「ディートリヒ様、私は奴隷です。
奴隷の私がこんな事を考えてはいけないと思いますが、奴隷とは一体何でしょうか。」
「私には分かりません。でも、カズ様であればそれを解決してくださいます。
私は元奴隷です。でもカズ様が思う奴隷は私たちが思う奴隷ではないと思います。」
「私は奴隷という身分に落ちる事にショックを受けました。
そこまで成り下がる必要があるのかとも…。
今の私であれば少しくらいご主人様のお役に立てると思います。それなのに、何故そこまでして命令を受けなくてはいけないのか…。」
あ、ナズナさんの根幹はそこだったんですね。
「つまり、あなたは奴隷でなくてもご主人様を守ることができると自負されている。
そして、奴隷に落ちてまで命令を受けなければいけないご自分を嘆いておられるのですね。」
「そのような仕事は、奴隷でなくてもできると思います。」
パシッ!
私はナズナの頬を叩いていました。
「自惚れないでください。
先ほどカズ様が仰られた言葉が全く耳に入っておられませんね。
カズ様は、あなたにこれから生きていく中で2つの大切な言葉を言われました。
一つ目は、主人から命令された事だけをして、それで満足なのかという事。
そして二つ目は、あなたの意志を尊重する事。
カズ様は、あなたの葛藤を見抜き、このままで良ければお金を稼いでくれたら解放すると伝えた上で、真に信頼を勝ち取ることができれば、お互い助け合って生きていきたい。とまで仰っております。
これは主人と奴隷という関係で物事を言っているのでは無い事に気づきなさい。
カズ様は、あなたを対等の立場として扱っているという事なのです。
さっきも言いましたが、あなたよりもカズ様の方が断然強いです。
それにつけてあなたは何ですか!
自分が惨めな身分に落ち、命令で守れと言われただけです。
他人から『可哀そうだね』と同情してもらおうとしているだけじゃないですか。
それにあなたが奴隷になったのはつい最近の事…、私は1年間奴隷として四肢を切られ獣のようにあられもない姿を見せ、したくも無い行為を大勢の貴族の前で見られていたのです…。」
「もういい!ディートリヒやめるんだ。自分を虐げるな…。」
カズ様が戻って来たことすら知らず、いつの間にか私は泣き崩れていました。
カズ様は私をそっと抱きしめてくれます…。
「ディートリヒ、過去は変えられないけど、君と俺はもう一緒だ、誰にも渡さない。
だから泣くな。これからの事を一緒に考え笑おう…。」
カズ様はそう言って優しく頭にキスをしてくださいます。
私にはこの胸の温もりが必要なのです…。
カズ様が、カルム様の店での出来事をナズナさんに説明していました。
その間、私はカズ様の胸の中でスンスン泣いていました。
少し落ち着いたので、ナズナさんの方を見ると、ナズナさんは口に手を当て泣いています。
どこで泣いたのかは知りませんが、彼女の中で何かが変わったのでしょうか。
「ナズナさん、私は奴隷として生活し悲観した日は毎日で、いっその事殺してほしいと思ったことは毎日です。
でも、それでも今が一番幸せなんですよ。この幸せを壊す者がいれば全身全霊で倒します。」
「ディートリヒ様、苦しい思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。
私も捕縛されてからの毎日は苦痛でした…。
毎夜毎夜守衛の男におもちゃのように犯され続け、もう子供も産めないほど下腹部をズタズタにされました
それでも、任務だと思い我慢し、漸く助けに来てもらった結果が奴隷落ちでした。
もう自分自身がイヤになっていたんです。
そんな中、新しい主人に仕え主人を守れと言われても、もうどうでも良くなったのです。
命令に従うことが一番だと思っていた結果が女としての役目も果たせず奴隷として暮らす…。
私が今まで生きてきた200年は何だったのでしょう…。
そんな状態で何をすべきなのでしょうか?」
私は胸を張って答えます!
「カズ様と一緒に生き、笑顔になればいいんです。
それにねナズナさん、カズ様が治療してくださった魔法ですけど、あれはヒーレスなんですよ。」
「え!?ヒーレス!?」
「そう。だから、あなたは私と同じで子供を産めない状況から回復しています。これからも子供を産める身体になったという事です。一か月もしないうちに月のモノが来ますよ。」
私は笑顔で答えました。
勿論、カズ様に抱きしめられながら…。
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困ったことになりました…。
カズ様はナズナさんと私を二人きりにして何処かに行かれてしまいました。
多分、カルム様の店であるとは思いますが、もしかするとこのヒトを返そうとしているのではないでしょうか…。
心配になりますが、カズ様の事ですから万事うまくいくことでしょう。
あとはナズナさんをどう変えることができるか、でしょうか。
恐らくそれをカズ様が望んでいるのでは…。
「ねぇ、ナズナさん。先ほど言ってた事は本当の事ですか?」
「何の話でしょうか。」
「カズ様をお守りするという事です。」
「はい。カルム様がそうお命じされました。」
「では、カズ様の力を知っておられますか?」
「いえ、私は帝国に居たので、何も存じておりません…。」
「そうですか…。あの方は誰よりもお強いです。Aランクの冒険者であっても、暗殺者であっても、例え何十人、何百人襲ってきても、恐らくはカズ様の方がお強いです。
なので、守るという事は必要無いと思います。」
「では、何故カルム様はそのような命令をされたのでしょうか。」
「皆さん、勘違いされておられるんだと思います。
よくカズ様は私に、守るのではなく、お互いを助け合うと仰ります。
私もカズ様をお助けするという事はほとんどありませんが、あの方と一緒に居ると今までの自分がなんであったのか、今までの自分がいかにちっぽけで考えが浅はかだったのかを実感します。
恐らく、そんな事まで知らない方々が自分の力でカズ様を助けてあげているという自意識を持たれないのではないかと思います。
カズ様はよく他人が他人のために行う考えを忖度と仰っておりますが、良かれと思ったことが当人にとって迷惑な場合もございます。
それをカズ様は嫌うのです。」
「どうしてでしょうか。ヒトから親切にされることは嬉しいことではありませんか。」
「では、ナズナさん、今あなたはお腹がいっぱいで、もう動けないといった状況でも、誰かから食べ物を差し出されたら、それを受けて食べますか?」
「上司からの命令であれば食べます。しかし、部下から者であれば断ります。」
「そこなのです。
カズ様は両方とも断る方です。お腹がいっぱいなのに食べる必要がない、それなのに食べる必要があるのか、を考える方なのです。
食べる必要が無いのに食べなければいけない…、そんな理不尽な事を嫌うのです。
部下からのものであれば、部下に食べてもらいます。そして上司からの命令であれば本気で怒ります。それはカズ様自身の考えに基づいて動かれておられるからです。」
ナズナさん、すごく考え事しています。
そうなんです。今のナズナさんは昔の私と一緒なのです。
私も悩みました。でも、私のすべてをカズ様にぶつけた結果、今は凄く幸せなのです。
なんとか理論とか、ツリバシキョーカとか言う人の名前はどうでも良いのです。
そこで、私は自分の過去を話すことにしました。
戦争に負け捕虜になった事、捕虜から奴隷落ちした事、そして凌辱の日々、ボロボロとなったある日カズ様とお会いできた事、それからの日々の事…。
過去の事を話すとナズナさんもそうであったと思いますので、さらっと流しました。
そして今、私はどれだけ幸せかを伝えました。
「ディートリヒ様、私は奴隷です。
奴隷の私がこんな事を考えてはいけないと思いますが、奴隷とは一体何でしょうか。」
「私には分かりません。でも、カズ様であればそれを解決してくださいます。
私は元奴隷です。でもカズ様が思う奴隷は私たちが思う奴隷ではないと思います。」
「私は奴隷という身分に落ちる事にショックを受けました。
そこまで成り下がる必要があるのかとも…。
今の私であれば少しくらいご主人様のお役に立てると思います。それなのに、何故そこまでして命令を受けなくてはいけないのか…。」
あ、ナズナさんの根幹はそこだったんですね。
「つまり、あなたは奴隷でなくてもご主人様を守ることができると自負されている。
そして、奴隷に落ちてまで命令を受けなければいけないご自分を嘆いておられるのですね。」
「そのような仕事は、奴隷でなくてもできると思います。」
パシッ!
私はナズナの頬を叩いていました。
「自惚れないでください。
先ほどカズ様が仰られた言葉が全く耳に入っておられませんね。
カズ様は、あなたにこれから生きていく中で2つの大切な言葉を言われました。
一つ目は、主人から命令された事だけをして、それで満足なのかという事。
そして二つ目は、あなたの意志を尊重する事。
カズ様は、あなたの葛藤を見抜き、このままで良ければお金を稼いでくれたら解放すると伝えた上で、真に信頼を勝ち取ることができれば、お互い助け合って生きていきたい。とまで仰っております。
これは主人と奴隷という関係で物事を言っているのでは無い事に気づきなさい。
カズ様は、あなたを対等の立場として扱っているという事なのです。
さっきも言いましたが、あなたよりもカズ様の方が断然強いです。
それにつけてあなたは何ですか!
自分が惨めな身分に落ち、命令で守れと言われただけです。
他人から『可哀そうだね』と同情してもらおうとしているだけじゃないですか。
それにあなたが奴隷になったのはつい最近の事…、私は1年間奴隷として四肢を切られ獣のようにあられもない姿を見せ、したくも無い行為を大勢の貴族の前で見られていたのです…。」
「もういい!ディートリヒやめるんだ。自分を虐げるな…。」
カズ様が戻って来たことすら知らず、いつの間にか私は泣き崩れていました。
カズ様は私をそっと抱きしめてくれます…。
「ディートリヒ、過去は変えられないけど、君と俺はもう一緒だ、誰にも渡さない。
だから泣くな。これからの事を一緒に考え笑おう…。」
カズ様はそう言って優しく頭にキスをしてくださいます。
私にはこの胸の温もりが必要なのです…。
カズ様が、カルム様の店での出来事をナズナさんに説明していました。
その間、私はカズ様の胸の中でスンスン泣いていました。
少し落ち着いたので、ナズナさんの方を見ると、ナズナさんは口に手を当て泣いています。
どこで泣いたのかは知りませんが、彼女の中で何かが変わったのでしょうか。
「ナズナさん、私は奴隷として生活し悲観した日は毎日で、いっその事殺してほしいと思ったことは毎日です。
でも、それでも今が一番幸せなんですよ。この幸せを壊す者がいれば全身全霊で倒します。」
「ディートリヒ様、苦しい思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。
私も捕縛されてからの毎日は苦痛でした…。
毎夜毎夜守衛の男におもちゃのように犯され続け、もう子供も産めないほど下腹部をズタズタにされました
それでも、任務だと思い我慢し、漸く助けに来てもらった結果が奴隷落ちでした。
もう自分自身がイヤになっていたんです。
そんな中、新しい主人に仕え主人を守れと言われても、もうどうでも良くなったのです。
命令に従うことが一番だと思っていた結果が女としての役目も果たせず奴隷として暮らす…。
私が今まで生きてきた200年は何だったのでしょう…。
そんな状態で何をすべきなのでしょうか?」
私は胸を張って答えます!
「カズ様と一緒に生き、笑顔になればいいんです。
それにねナズナさん、カズ様が治療してくださった魔法ですけど、あれはヒーレスなんですよ。」
「え!?ヒーレス!?」
「そう。だから、あなたは私と同じで子供を産めない状況から回復しています。これからも子供を産める身体になったという事です。一か月もしないうちに月のモノが来ますよ。」
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