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彼は「ラビ」という名前の少年だった。本来の姿はウサギらしいが、この世界の異変のせいで、人の姿でしかいられないらしい。
「それで、ほんとにアリスは俺のことおぼえてない?あんなに色んな冒険したのに?」
ラビは胡座をかいて、少し悲しそうな、寂しそうな顔をした。そんなに「アリス」と仲の良い子だったのだろうか。
「ごめんねラビ。私、あなたの知ってるアリスじゃない。私の名前は一ノ瀬有清、よろしくね。」
ラビはきょとんとして首を傾げた。そして、小さく頷いた。
「俺はよくわからないけど、君はアリスのそっくりさんってことだね。よろしく。」
私はラビに、今までの経緯を伝えた。両親の事、少女のこと…
「この世界はワンダーランドの破片だよ。ワンダーランド本体が崩壊して、切れ端になったんだ。俺が人間になってるのもそのせい。有清が出会った少女ってゆーのは、多分トランプだよ。」
トランプというのは、ワンダーランドの女王、ハートの女王の言わば兵隊みたいなもの。トランプにも種類があって、私が出会ったのはクローバー。人に化けて人を惑わせるのが得意らしい。まるでドッペルゲンガーの様に。
「もしあの時有清がクローバーについっていってたら、今頃女王に殺されてたよ。君はアリスじゃないからね。」
女王は、ワンダーランドの破片に散らばったアリスの断片を拾い集めて元に戻そうとしているらしい。邪魔なものは切り捨ててでも。
「アリスはワンダーランドの鍵なんだ。アリスがいれば、俺たちは平和なんだ。」
逆に、アリスのいない世界は争いが絶えない。
そんなアリスがもし一つになれば、なんでも願い事が叶うという言い伝えを女王は信じ、アリスを探し回っているらしい。
「この世界のアリスはどこにいるの?」
ラビは私をアリスだと思っていた。ということは、ラビは本当のアリスを知ってる。
「アリスは…分からないんだ。俺たちは一緒に旅してたのに、君は私と一緒にいちゃダメって言って、どこかへ消えてしまったんだ。探し求めて、ようやく見つけたと思ってたのに…」
話を聞いて、少し申し訳なくなった。ラビもきっと、辛い思いをしていたんだ。彼の小さな希望を、私は平気で切り捨ててしまった。嘘をついたら良かった訳でもなかったけれど、もっと気を遣えば良かったんだ。
「ごめん…ラビ…じゃあ、私と一緒にアリスを探さない??」
私の精一杯の提案だった。彼と一緒にアリスを探してあげることが、一番彼の為になるはず。それに、私もアリスに話を聞きたい。アリスを見てみたい。
「本当か!?有清!ありがとう!」
ラビは表情を明るくして私に感謝を表してくる。なんだか弟が出来た様に感じて、嬉しくなった。
こうして、ラビとの冒険は始まった。
敵の思惑通りに進んでいるなんて知りもせずに……
「それで、ほんとにアリスは俺のことおぼえてない?あんなに色んな冒険したのに?」
ラビは胡座をかいて、少し悲しそうな、寂しそうな顔をした。そんなに「アリス」と仲の良い子だったのだろうか。
「ごめんねラビ。私、あなたの知ってるアリスじゃない。私の名前は一ノ瀬有清、よろしくね。」
ラビはきょとんとして首を傾げた。そして、小さく頷いた。
「俺はよくわからないけど、君はアリスのそっくりさんってことだね。よろしく。」
私はラビに、今までの経緯を伝えた。両親の事、少女のこと…
「この世界はワンダーランドの破片だよ。ワンダーランド本体が崩壊して、切れ端になったんだ。俺が人間になってるのもそのせい。有清が出会った少女ってゆーのは、多分トランプだよ。」
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「もしあの時有清がクローバーについっていってたら、今頃女王に殺されてたよ。君はアリスじゃないからね。」
女王は、ワンダーランドの破片に散らばったアリスの断片を拾い集めて元に戻そうとしているらしい。邪魔なものは切り捨ててでも。
「アリスはワンダーランドの鍵なんだ。アリスがいれば、俺たちは平和なんだ。」
逆に、アリスのいない世界は争いが絶えない。
そんなアリスがもし一つになれば、なんでも願い事が叶うという言い伝えを女王は信じ、アリスを探し回っているらしい。
「この世界のアリスはどこにいるの?」
ラビは私をアリスだと思っていた。ということは、ラビは本当のアリスを知ってる。
「アリスは…分からないんだ。俺たちは一緒に旅してたのに、君は私と一緒にいちゃダメって言って、どこかへ消えてしまったんだ。探し求めて、ようやく見つけたと思ってたのに…」
話を聞いて、少し申し訳なくなった。ラビもきっと、辛い思いをしていたんだ。彼の小さな希望を、私は平気で切り捨ててしまった。嘘をついたら良かった訳でもなかったけれど、もっと気を遣えば良かったんだ。
「ごめん…ラビ…じゃあ、私と一緒にアリスを探さない??」
私の精一杯の提案だった。彼と一緒にアリスを探してあげることが、一番彼の為になるはず。それに、私もアリスに話を聞きたい。アリスを見てみたい。
「本当か!?有清!ありがとう!」
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こうして、ラビとの冒険は始まった。
敵の思惑通りに進んでいるなんて知りもせずに……
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