滅びの国のアリス

√月

文字の大きさ
6 / 8
ocean

6

しおりを挟む

「ふぅん…あんたはアリスを探してんだね…。それは大変な旅になりそうだねぇ。」

私はアリスを探している事を伝えて、情報収集を手助けして欲しいと伝えた。

「タダで手助けしてやるほど、私は優しくないけどさ、まぁ、今日手伝ってくれたし、あんたの一生懸命さに免じて、手伝ってやるよ。」

カナエはため息を吐きながら微笑んだ。私は、強い味方がついた事による喜びで、思わずカナエの手を握ってしまった。彼女は驚いて一歩後ろに下がった。

「ただし、一緒に旅は出来ないよ。この店があるからね。ただ、文通は出来るから、お前さんに送るさ。」

この街では、文通は鳥を通して行うらしい。基本動物は全て人間になったが、なぜか鳥、主に文通用の鳥はそのままらしい。

そのあとは、残りの時間働き詰めだった。ただ、なんども人と話していると、情報収集もコツを掴んできて、曖昧だがアリスの情報を聞き取る事ができた。

「この街はまだ平和な方だが、物騒になったもんだ。なんせ女神様が行方不明らしいからなぁ。」

「私ついこの前ここに来たばかりなんですけど、女神様って…?」

まさかアリス…?

「嬢ちゃん、oceanの外から来たのかい?女神様ってのは…このワンダーランドに平和をもたらしてくれるお方だよ。ほんとに綺麗な方でね、ちょっと前までは俺らも普通にお眼にかかれたんだよ。それが最近何処かへ行ってしまったらしくてね…ちょうど嬢ちゃんみたいな、髪型の方だよ。顔立ちもちょっと似てるんじゃないか?」

そう言うと、他の男達がぞろぞろやってきた。皆口々に、よく見れば…とか、言われてみれば…とか好き勝手言ってくれている。褒めてくれてるのは嬉しいけれど。それに、他の人が寄ってきてくれたのはラッキーだ。

「その、女神様って、誰もしばらく見てないんですか?」

男達は顔を見合わせ、曖昧に返事をし始めた。

「誰も見たことないわけじゃないんだが…あいつは…なぁ?」

あいつは…?もしかして、この街の人だろうか。

「その人、どこにいるんですか!私、その女神様にどうしても会わなきゃいけない理由があるんです。お願いします!」

そう言うと、1人の小さな男の子が口を開いた。

「カミナリ丘の上にある小さな小屋のお婆さんだよ。」

周りの男達はざわつき始めた。そんなにとんでもない人なんだろうか。

「僕、あのお婆さんと話せるんだ。ここらへんの大人よりもよっぽど沢山の話、知ってるよ。」

少年は自慢気に話す。男達は半分キレかけだった。喧嘩を始めてしまう前に、話を聞いておかないと…

「ねぇ君、その話を私に教えてくれない?私、彼女を探してるのよ。」

少年はこくりと頷くと、私を引っ張って外に連れて行こうとする。

「ちょ…ちょっとまって!」

急かしてくる少年を止めて、辺りをキョロキョロと見渡した。カナエさんは…?

「行ってきなー!大将には言っとくよ!」

遠くの方からカナエさんが声をかけてくれた。見てたのか…。

必ずもう一度ここに来てお礼を言おうと心に決めて、私は少年とともに店を後にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

偽夫婦お家騒動始末記

紫紺
歴史・時代
【第10回歴史時代大賞、奨励賞受賞しました!】 故郷を捨て、江戸で寺子屋の先生を生業として暮らす篠宮隼(しのみやはやて)は、ある夜、茶屋から足抜けしてきた陰間と出会う。 紫音(しおん)という若い男との奇妙な共同生活が始まるのだが。 隼には胸に秘めた決意があり、紫音との生活はそれを遂げるための策の一つだ。だが、紫音の方にも実は裏があって……。 江戸を舞台に様々な陰謀が駆け巡る。敢えて裏街道を走る隼に、念願を叶える日はくるのだろうか。 そして、拾った陰間、紫音の正体は。 活劇と謎解き、そして恋心の長編エンタメ時代小説です。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています

空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。 『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。 「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」 「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」 そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。 ◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...