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第3章 不思議な国のシンデレラ

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 ここは、何階?
 物干しは、どこ?
見下ろすと、目まいがしそうなくらいに、地面がかなり遠くて、
しかも緑は目に入らず、家や建物や大きな道が、広がるばかりだ…
(はだしで、野原を走りたいなぁ)
仕方がないので、窓の外に出ると、ヒンヤリと冷たいグレーの床が
広がっている。

「なに、これ?石じゃないの?」
 エラはコンクリートを知らないのだ。
足元を見ると、傍らにはスリッパが置かれている。
おそるおそる足を突っ込むと、
(あら、はきやすいこと!)
それは男物のクロックスだ。
カポンカポンと、脱げないようにと気を付けて、音を立てて歩く。
ベランダには、植木もなければ、何もない…
黒いゴミ袋と、ポリバケツがあるだけだ。
「これじゃあ、洗濯物が干せないじゃない!」
ガッカリとして、ベランダをもう1度、グルリと探す。
「タクトは、どうしているんだろ?」
不思議に思いつつ、よくよく見ると…
それでも低い位置に、長い棒(物干し竿だ)があったので、
これでとりあえず、フトンを干そうと思いついた。

 他にも、何かないかなぁと、各部屋をのぞいたり、廊下を出たり
入ったりして、廊下の壁に取っ手を見付けると、それをグィッと
引っ張る。
中には見たこともない、道具らしきものを見付けて…
物置だ、と何となく気付く。
「モップは?雑巾は?ホウキは?」
何かないかと探すと…
四角い箱が、目についた。
「これは、なに?」
しゃがみ込んで、その箱をのぞき込む。
蛇腹なホースもあるけれど、どうも掃除機とも違うようだ。
「なに、これ!何の道具?」
さっぱり訳がわからないし、使い方もわからない。
「まぁ、いいわ。
 あの人が帰ってきてから、聞こう」
そう思うと、ひとまず他に、自分に何か出来ることがないか…と、
彼女はキョロキョロとした。

 
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