上 下
94 / 250
第10章 運命の歯車が回り始める

   8

しおりを挟む
「なんだぁ、この女はぁ!
 うわばみじゃないかぁ~」
 男たちの賭けにのって数分後、あっけなく勝負はついた。
好色な目で、女を見ていた男が、まさかの先に酔いつぶれて、テーブルに
顏を突っ伏していた。
それを目にするなり、女はつまらなさそうに、
「なんだぁ、もっと骨のある男かと思ってたのにぃ」
少しも乱れた様子もなく、まるで水を飲むように、さらにグラスに残っていた
酒を、一気にあおる。


 シンデレラの継母は、ことごとく娘たちの縁談が破断となり、そのたびに
やけ酒を覚えていくうちに、その味をしめてしまったのだ。
このところは、安酒やスコッチやウィスキーのミニボトルを、懐に隠し持つ
くらいに…見事なキッチンドランカーに変貌していたのだ。
「いい、約束よ!
 ちゃんと仕事は、してもらいますからね」
酔いつぶれて、ダウンしている男の耳元にささやくと、
「じゃあ、これ、前金ね」
そう言うと、手元の袋から金貨を数枚、つかみ出し、居丈高にそう言うと、
ツンと肩をそびやかして、立去って行った。


(なんだよ、あの女は! 
 うまくいくはず、って言ってたじゃないか)
 男は、謎の女のことを思い出すと、顔をしかめる。
何しろ王子のボディーガードが強すぎる。
気配にすきがないし、身のこなしが、かなりの腕っぷしと見受けられた。
そのため…中々目的の2人に、接近することが出来ないのだ。
(大体、こんなことを素人に頼むだなんて…ろくなもんじゃないな)
とんだ女だ!
思わず顔をしかめると、男はチッと舌打ちをしてみせた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

彩雲華胥

BL / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:62

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,704pt お気に入り:233

容疑者たち

ミステリー / 完結 24h.ポイント:1,107pt お気に入り:0

【武田家躍進】おしゃべり好きな始祖様が出てきて・・・

歴史・時代 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:59

巻き込まれたんだけど、お呼びでない?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,797pt お気に入り:1,986

誰かが彼にキスをした

青春 / 連載中 24h.ポイント:6,334pt お気に入り:1

【書籍化進行中】美形インフレ世界で化物令嬢と恋がしたい!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,611pt お気に入り:429

カフェへの依頼

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:342pt お気に入り:11

図書室の名前

青春 / 完結 24h.ポイント:1,647pt お気に入り:0

処理中です...