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第14章 チェンジ!

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 車に乗り込むと、ごく自然に、助手席にカスミさんが座った。
「大丈夫?お腹が空いてない?」
急に振り返って聞くので、
「いいえ」
言葉少なく、信子は頭を振る。
「そっ?遠慮しなくても、いいわよぉ~
 私じゃなくて、このお兄さんがおごってくれるから!」
ニヤニヤしながら、カスミさんが言い放つ。
「おいおい~」
あわてた様子で、運転席から声を上げる。
「勝手にそんなこと、決めるなよぉ」
シューヘイが、助手席のカスミさんに向かって抗議する。
「あら!だってあなたが(ここへ来るよう)言い出しっぺでしょ?
 だったら、あなたが払うべきよねぇ?」
信子に対する時と違って、ズケズケと遠慮なくそう言う。
まいったなぁ~
困った顔で、シューヘイが頭をかく。
「あのぉ~いいですよぉ。
 私、そんなに…お腹が空いているわけではないから…」
さすがに、そこまで図々しいことは言えない。
だが、今は何時だ?
チラッとそう思う。
あのトンネルに、一体どのくらいいたのか…
時間の感覚が、すっかり麻痺していた。

 そんな信子の思いとは裏腹に、
「ほら!この子…遠慮して、黙ったじゃないのぉ」
前の席で、カスミさんの声が聞こえてくる。
「そうか?そんなつもりじゃないけどなぁ」
ボソボソと、シューヘイの声が聞こえる。
「こういう時はね、優しくしてあげなくちゃ!
 きっと、不安なんだから」
 信子のことを、どう思っているのかは、わからない。
助手席で、運転席のシューヘイを責める声がする。

 そんなつもりじゃあないけどなぁ~
それでも黙って、信子はその会話を聞いている。
何だか、嬉しいのだ…
こうして、見も知らない自分のことを、気にかけてくれる、という
こと自体が。
しばらくは…この喜びをかみしめたい…と、窓の外を見ながら、
何となく耳を傾けていると
「ごめんねぇ~うるさいでしょ?
 疲れた?寝てていいよ」
優しい声が聞こえてくる。
静かに目をつむってみる…
これが、夢ではありませんように…と。
 すると前の席の2人は、静かになり、しゃべるのをやめた。
その代わりに、カーステレオのボリュームをあげる。
どこかで聞いたことのある、ポップミュージックが流れていた。
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