おかえりなさい、シンデレラ(改訂版)

daisysacky

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第18章 パン屋の王子様

   19

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「あなた…前にうちへ来たこと、あるでしょ?」
 ふいに彼女が、思い切り大きな声で、男に向かって叫んだので…
男はドアを開けたまま、こちらをグルリと振り向いた。
「あんたは?」
何者なんだ、この女は…
いぶかし気な顔で、こちらを見ている。
 彼女はすぅっと息を吸い込むと、吐き出すようにして、声を張る。
「私…人を探しているの。
 あなたに、聞きたいことがあるのよ」
そう切り出すと、ハンスもあわてて、彼女の傍らに並ぶ。
 いきなり何を言い出すんだ…と、ハンスは彼女を見つめる。
だが彼女は…せっかくここまで来たのだから、ここで引き下がる
わけにはいかない…と、男の側まで走って行くと、
「あなた、母さんと一緒にいたでしょ?
 間違いないわ!」
うなづきながら、キッパリとそう断言する。
それでようやく、男は彼女の顏をまっすぐに見た。

 いきなり全く見知らぬ女に、声をかけられたので、
なんだ、この女は?…と、明らかに迷惑そうな顔をしている。
「あなた、母さんをどこへやったの?
 王子様の別荘へ行ったんでしょ?」
 ひと言ひと言に力を込めて、そう言うと、男の表情が
一瞬固まった。
先ほどから、こちらを見ている彼女の顏を、男は無言でじぃっと見詰めると
「あぁ~」とようやく口を利く。
「あんた、もしかして…あの女の娘?」
調子を戻したように、ヘラリと笑う。
「似てないなぁ~」
何の感慨もなく、続けるので、彼女は一瞬ムッとした顔になる。

「私は、父親似なのよ!」
 自分のコンプレックスをあからさまに言われたので、彼女の不快感が
あらわになる。
「なんだったら…警察に行きましょうか?」
強気で言う彼女を見て、ハンスは少しオロオロとした様子で、
目を落ち着きなく、キョロキョロとさせた。
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