ラストダンスはあなたと…

daisysacky

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第15章  ラストダンスはあなたと…

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「あら!」
 山内さんは、突然大きな声を上げる。
「こんなにきれいなお嬢さんを目の前にして…何もないなんて!」
 どうして、と咎めるように言うので…
(そんなの、私にわかるわけが、ないでしょ?)
そう思いつつも、
「あの人は…私には、感心がないみたいです」
寂しそうに、ポツンと答える。
「そんなこと、ないわ!」
 やけに力強い口調で、山内さんは言う。
「だって坊ちゃんは…あなたが来てから、すごく変わったもの!
 興味がないわけ、ないじゃない」
そう励ますように言うと、山内さんはしみじみとした顔をして、
珠紀の顔を見つめる。

「坊ちゃんはね、あなたを失うのが、怖いんです。
 自分のせいで、色んな人を傷つけた、と思い込んでいるから…
 あなたのことも、そうなるのではないか…と、
 恐れているのだと思うわ」
そう言うと、先ほどまでいた屋上を見上げる。
「あそこから…奥様が飛び降りたのを…
 坊ちゃんが目撃して、それがショックで、口がきけなくなったことがあって…
 それでこの屋敷を手放したの。
 それなのに、またここに戻ってきたでしょ?
 何か悪いことが起こるのではないか…と、坊ちゃんは心配しているんです」
いきなり思いがけない言葉を、耳にした。
「えっ?病気で亡くなったのでは?」
 前に聞いたことと、まったく話が違う…
珠紀は思わず、口をはさむ。

「えぇ~まぁ、そういうことになってるんですけどね」
だけど…と、山内さんは、頭を振る。
「坊ちゃんは…命にかかわるほどの事故をして、大けがを負ったんです。
 奥様はそれもすべて、自分のせいだと思って…
 心が壊れてしまったんです」
思い出すように、遠い目をした。


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