桜ハウスへいらっしゃい!

daisysacky

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第13章  桜ハウスを守れ!

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「なんなんですか、それ!聞いてないんですけど」
  講義が終わるのを、今か今かと待ちわびて…終わった瞬間に、
待子はあわてて教室を飛び出した。
もどかしい手つきで、移動しながらも携帯を取り出す。
ジリジリしながら、ある番号を呼び出す。
まだ衝撃は、待子を支配していた。

 春先に引っ越してきてから、まだ1か月とちょっと…
あの時は、取り壊しの『と』の字も、聞かなかったというのに。
何回かかけ損ねて、ようやく耳にスマホを充てると、
とにかくまだ混乱している頭の中で、言葉をまとめようとしていた。
「はい」
まるであらかじめ、待子からの電話がかかってくると、予測して
いたかのように…驚く様子もなく、相手がすぐに電話に出た。
「そうなのよぉ。それが、急にそういうことになって…」
大家さんは、幾分申し訳なさそうな声を出した。
「じゃあ、ほかの人は…みんなはもう、知っているんですか?」
まさか自分だけ知らないのか、と気になり、聞いてみる。
他の住人は、どんな反応をしたのだろう…と、それぞれの顔を
頭に思い浮かべる。
 将来、自分の店を出すことを夢見て、せっせと貯金に勤しむレイコさん。
相変わらずお気に入りのバンドを追いかけて、その日暮らしの生活をする、
フリーターのマイコ。
正体不明の常に黒い服を身に着ける、中田さんは…
なんでここにいるのだろうと思うのだけれど、
おそらくもう、次の住居を探しているのだろうか…
(もっとも、1番困っているのは…おそらく、1階の2人かなぁ)
外国人のハンさんとソンさんは、時折正体不明の謎の肉を使って、
1階のキッチンを独占している。
(きっと、国に仕送りしているんだろうなぁ。
 次の家、探すのは難しいだろうなぁ)
自分のことはさておいて、やはり気になるのだ。
「でもどうして?
 確かにボロイけど、まだまだ住めるのに…」
思わず責めるように言った。
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