桜ハウスへいらっしゃい!

daisysacky

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第14章  一時休戦

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  そういえば…と待子は思い出す。
自分はまだ、見てもらったことがないなぁ~と。
だけどこれでも…大家さんは、この界隈では知る人ぞ知る、
巷で話題の占い師なのだそうだ。
この人もまた、噂を聞きつけて来たのか…と思うと、なんとなく待子は
納得する。
いつでも何かしら…母屋の方では、人の出入りがあるからだ。
(ある意味、人の目があるから…安心といえば安心なのだろうか)

 それにしても、そのお客さんがなぜ、自分に?
と不思議に思っていると、
「ねぇ、あなた…先生って、もしかして…病気なの?」
と、いきなり切り出した。
 いきなり見知らぬオバサンが切り出したので、待子は大いに
動揺して
思わず「えっ」と声をもらすと
(なんでもう…バレているのだろう?)
「何かあったんですか?」
自転車のハンドルを、ギュッと握り締めて、詰め寄る。
「何かって…あなた、何にも知らないの?」
逆に待子の反応に、驚いたようだ。
「えっ、えぇっ?」
 もしかして、やっぱり何かあったの・・・?

 思わず待子はバタンと、自転車を倒すと、その女性に詰め寄り、
「大家さん、大丈夫なんですか?
 また、倒れたりしたんですか?」
 これはもう…のん気に学校へなど、行ってはいられない、と
その女性の襟首をつかむような勢いで、その女性の眼前に迫って、
待子は聞きとがめた。
「えっ?」
思いがけず、強い反応で…その女性自身、かなり驚いた様子。
「でも!同じ家なのに、どうして知らないの?」
とがった声で、待子に食いつく。
「倒れたんですか?
 それとも今…病院なんですか?」
チラリと大家さんの弟さんの顔が、頭の中でよぎり…
じれったそうに待子は繰り返し聞いた。
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