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第1章 ママの秘密
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「ママのママ…おばあちゃんはね、身体が弱かったけれど、とても優しくて
きれいな人でね。
そしてとっても、強い人だったの」
ゆっくりゆっくりと、言葉を選んで、母親は話し出す。
「へぇ~」
初めて聞く話に、柚はひと言も聞き漏らすまい…と、身を乗り出す。
「おばあちゃんの写真は、ないの?」
だけど柚は…おばあちゃんの顏を知らない。
思い切って聞いてみると、母親はパッと顔をあげて、柚を見る。
「それがね…ないの」
ごめんなさいね、と頭を振る。
「え、どうして?」
ないって…全然ないの?
そんなことってあるの?
柚の言葉に、母親は困ったように、眉をへの字にする。
「そうねぇ~ママは、ここに何も持たずに来ちゃったから…
本当に、何にも持ってないのよ」
それにしても…まさか、こんなことを聞かれるなんて、少しも
思ってもいなかった。
こんなことを、打ち明けた…としても、果たしてこの子に、わかって
もらえるのだろうか?
母親は、少し不安だ。
何しろ柚は、まだ幼い。
ようやく3歳になったばかりだ。
もしも突拍子もないことを言っても、きっとまた、聞かれるはずだ。
「どうして?
なんで?
火事にでもあったの?
ドロボーにでも、とられたの?」
やはり納得がいかないのか、重ねて聞いてくる。
ドロボーが盗ることは、わからないけれど、
火事ならば、あってもおかしくはないだろう。
でも、何と言えばいいのだろう?
彼女は、曖昧に笑ってみせた。
でも、そんなことって、ある?
柚の家にあるのは、柚の赤ちゃんの頃の写真だけだ。
ママのアルバムさえない。
パパのは…置いてきたんだよ、と言っていた。
「じゃあ、それじゃあね、おばあちゃんの家って、どこにあるの?」
珍しく食い下がって聞いていた。
きれいな人でね。
そしてとっても、強い人だったの」
ゆっくりゆっくりと、言葉を選んで、母親は話し出す。
「へぇ~」
初めて聞く話に、柚はひと言も聞き漏らすまい…と、身を乗り出す。
「おばあちゃんの写真は、ないの?」
だけど柚は…おばあちゃんの顏を知らない。
思い切って聞いてみると、母親はパッと顔をあげて、柚を見る。
「それがね…ないの」
ごめんなさいね、と頭を振る。
「え、どうして?」
ないって…全然ないの?
そんなことってあるの?
柚の言葉に、母親は困ったように、眉をへの字にする。
「そうねぇ~ママは、ここに何も持たずに来ちゃったから…
本当に、何にも持ってないのよ」
それにしても…まさか、こんなことを聞かれるなんて、少しも
思ってもいなかった。
こんなことを、打ち明けた…としても、果たしてこの子に、わかって
もらえるのだろうか?
母親は、少し不安だ。
何しろ柚は、まだ幼い。
ようやく3歳になったばかりだ。
もしも突拍子もないことを言っても、きっとまた、聞かれるはずだ。
「どうして?
なんで?
火事にでもあったの?
ドロボーにでも、とられたの?」
やはり納得がいかないのか、重ねて聞いてくる。
ドロボーが盗ることは、わからないけれど、
火事ならば、あってもおかしくはないだろう。
でも、何と言えばいいのだろう?
彼女は、曖昧に笑ってみせた。
でも、そんなことって、ある?
柚の家にあるのは、柚の赤ちゃんの頃の写真だけだ。
ママのアルバムさえない。
パパのは…置いてきたんだよ、と言っていた。
「じゃあ、それじゃあね、おばあちゃんの家って、どこにあるの?」
珍しく食い下がって聞いていた。
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